パンパンの小水タンクを空にしてすっきりした私はJR西広島駅の改札口を出た。マダムジョイ(スーパー)は目と鼻の先にあった。
紙屋町から己斐までの電車が開通したのは大正元年(※1)十二月八日であった。当時の広島電気軌道株式会社(※2)が最初に電車を走らせたのがこの線で、ついで広島駅前から紙屋町を通って御幸橋までの線と、旧八丁堀から白島までの線は同年十二月二十三日に開通した。
「がんす夜話 / 薄田太郎(たくみ出版 昭和四十八年)」
薄田さんの言う市内線の己斐駅と宮島線の西広島駅とはもともと(少し離れた)別の位置にあったが、平成13(2001)年11月に統合されて現在の駅名に変更された経緯がある。
西区福島町から新己斐橋を渡ってきた路面電車が西広島(己斐)駅に向かう最中であった。私と電車はほぼ同時に目的地に着いたのである。

※著者注1 1912年
※著者注2 現在の広島電鉄株式会社の前身
