青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

ブルーラインパニック

2019年06月10日 22時00分00秒 | その他私鉄

(何があったの・・・?@横浜市営地下鉄下飯田駅)

さる6月6日の早朝に発生した、横浜市営地下鉄の脱線事故。日曜日、ちょいと野暮用で脱線事故現場の近くを通る機会があったので寄ってみる。完全に野次馬ではあるのだが、そこらへんはご容赦いただきたく。先日は同じ横浜市内で新交通システムのシーサイドラインが謎の逆走事故を起こしてもいますし、何かと神奈川県内は騒がしい事件が続いている印象があります。市営地下鉄はもとより、シーサイドラインも横浜市が6割を出資する三セク企業の運営ですから、横浜市のエライ人たちは結構気が気じゃないんじゃないだろうか。

事故現場は下飯田の駅の立場方すぐの場所で、半地下になっている下飯田の駅の開削部分から復旧作業をつぶさに見る事が出来ました。今回の事故の原因は、夜間作業に使用する保線用の車両をレールの上に乗っける道具(「横取り装置」と言われる機材)を取り外すのを忘れてしまい、始発電車がその上に乗り上げて脱線をしてしまったというもの。トンネルに入って自分が現場に見に行った時、ちょうど一番脱線がひどかった(らしい)4号車がトンネルから出されるところで、どうやら全部の車両の連結器を外し、引き通し管を抜いて、作業員が手押しでトンネルから事故車両を出しているようだった。大きな声で「はーい押して~!あと3m!2m!1m!」なんて声がかかる、緊迫の復旧作業であります。

トンネルから出された4号車。結局運転再開は本日月曜日の昼前という事で、まるまる4日間以上も復旧に手間取った今回の脱線事故。複合的な理由があったのだろうと推測されますが、一番の理由は線路の横のサードレール(第三軌条)から給電する市営地下鉄のトンネル径が架線集電方式の地下鉄と比べクリアランスが乏しく、脱線してトンネル内で傾いてしまった車両をジャッキアップするのに相当苦労した、という事らしい。市営地下鉄の保線員だけではどうにもならず、JR東日本の鎌倉車両センターから応援を受けたりしていたようです。

事故によって不通となった湘南台~踊場間は、相鉄のいずみ中央~踊場間に代行バスを走らせて賄っていましたが、そこまでの混乱には至らなかったように見えました。湘南台~横浜市内というルートは相鉄いずみ野線経由で確保されていますからねえ。それでも、市営バスだけでは代行輸送を満たすだけの台数が用意出来なかったと見えて、川崎南部や鶴見周辺をテリトリーとする臨港バスが横浜の片田舎(失礼)まで応援に来ておりましたね。 

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ワンチャンありそな初詣

2018年01月04日 23時00分00秒 | その他私鉄

(迎春旗付き御岳号@御岳登山鉄道)

子供のおたふく風邪の具合もまあまあ良くなって来たな、と思ったら今度は「家にいてもつまらないからどこか出掛けたい」と騒ぎ始めた。まあこちらもお天気のいい三が日にどこも出掛けないのも消化不良だなあってんで、「早めに帰って来れてそこそこ(乗り物的にも)楽しい初詣」という難しいお題をいただいた結果、武州相州の信仰を集める御岳山(武蔵御嶽神社)に登って参りました。

  

最寄り駅は青梅線の御嶽駅なんだけど、久し振りに青梅線で青梅の先の区間に乗ったね。青梅線って青梅の駅を過ぎるとホントに多摩川の渓谷に沿ったいい感じのロケーションのローカル線だよなあ。今はE233だけしか入線しないけど、それこそ石灰石貨物華やかなりし頃、ED16とオレンジの101系の時代に来てみたかった。駅から御岳のケーブルカーの滝本駅までは西東京バスで約10分。いつもは1時間に2本くらいらしいが、三が日だけにバンバン増便してました。

  

御岳山のケーブルカーの正式名称は「御岳登山鉄道」といい、京王グループの一員なんですね。ケーブルカーとしての歴史は古く、昭和9年の設立だと言うから驚き。現在の青梅線の前身である青梅鉄道が御嶽まで路線を伸ばしてきたのが昭和4年なので、その辺りから参拝客がどんどん増えて行った結果なんでしょうなあ。山の下の滝本駅から見上げるケーブルの線路の斜度は結構凄い。斜度25度は関東一なんだとか。

 

山上の御岳山駅からの大展望。若干霞がかってはいますが、天気の良い初春の関東平野である。遠く筑波山を見ながら、その手前に広がるのが首都東京。うっすら右上のほうに東京スカイツリーとか見えるの分かりますかね…?手前の狭山丘陵の真ん中に狭山湖と並んで建つぽっこりお椀型の構造物はたぶん西武ドームだろうな。右を見ると高尾山方面から城山丘陵、相模原台地の向こうに青く広がる湘南の海と江ノ島。

  

ケーブルカー駅から武蔵御嶽神社までは尾根道を伝って20分ほど。神社の表参道は参詣客の宿坊や土産物街になっていて、なんとなく山上の宗教都市感がプチ高野山のようだ。そもそも山岳信仰にケーブルカーという取り合わせ、日本ではすごく多いですよね。関東だけでも阿夫利神社の大山とか薬王院の高尾山、筑波山神社の筑波山ケーブルとかね。関西に目を向ければ高野山に始まって京阪の男山ケーブル、比叡山ケーブルや信貴山ケーブルなんかもみんなそう。この武蔵御岳山も山岳信仰の強い山で、「御岳講」と言う信者団体が関東一円に広がっているのだそうだ。


各地の御岳講から寄進された石柱の並ぶ最後の300段の石段上がりが結構フトモモに来る。子供が疲れたと文句を言い始めた頃合いで、やっと本殿が見えてきた。標高900mの山の上だから結構寒いですけど、いい運動で結構小汗かいた。


武蔵御嶽神社は犬を祭る神様。と言うことで戌年の初参りには相応しいのではないでしょうか。周りには最近のペットブームを象徴するように愛犬連れての初詣ファミリーが多数…あっちこっちでお互いの犬同士がキャンキャン吠えているのがちょっと騒がしい。いずれにしろ犬どもに囲まれての初春の願い、叶うかどうかは分からないけどワンチャンありそななさそうな。おあとがよろしいようで。
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路地裏コミュニケーション

2017年01月10日 05時12分35秒 | その他私鉄

(路地裏にて@七里ヶ浜~峰ヶ原(信))

午後になってようやっと日差しが出て来た連休最終日。遠出は出来る時間はないので、ちょいと撮りモノを探しに江ノ電まで行って来ました。鉄道の運行を司る現場の皆様も先週は終夜運転から初日の出&初詣で殺気立っていたものと思われますが、一週間経ってこの三連休の江ノ電の沿線はほどほどの落ち着きを取り戻していましたね。七里ヶ浜の路地裏で交わされる、緑同士のコミュニケーションです。
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目糞鼻糞くぬぎ山

2016年10月29日 23時22分50秒 | その他私鉄

(あらこんなところに小田急が@松戸駅)

2週間ぶりのお久しぶりですが、今年も秋の「私鉄10社スタンプラリー」の季節がやって参りました。関東一円に散らばった私鉄各社の駅まで行ってスタンプを押して、各会社ごとのカードを貰ってくるというレギュレーションは去年と変わりません。子供がやりたいって言ってるからやってるけど、時間とカネばっかかかって商品はしょぼいし、達成感と言う個人の感情以外はほぼ実入りのないイベントなので来年は正直ご免こうむりたいところ(笑)。と言う事で最近は首都圏を広い範囲でスタンプ目指してフラフラと彷徨っているのでありますが、松戸の駅で小田急4000系と遭遇して面食らう。綾瀬より向こうでこの色を見ることになるとはね。


今日は東武電車のスタンプ(東向島)と京成電車のスタンプ(京成津田沼・宗吾参道)をゲットしにはるばる千葉方面まで行って来たんだが、行きすがらの駅で新京成のイベントがやってるってのをポスターで見てしまったんで、急きょ予定を変更して東向島から北千住経由で松戸へ出てくぬぎ山に行ってしまった。正直自分の人生の中でまるで縁もゆかりもない新京成の車両には大して思い入れはないのだが、くぬぎ山のタヌキこと8500系は好き。もう残り3編成しかないらしいけど。


ちょっとキ〇ガイじみたショッキングピンクとホワイトと言う全く落ち着かないカラーリングに変えて一体どこへ向かおうとしているのかさっぱり分からない新京成。従来色と並べると、普通にマルーン基調の従来のカラーリングの何が悪いんじゃと思うんだが、しかしこのショッキングピンクは何だか地味な学生時代を送った冴えないボンクラ少年が髪を染めて高校デビューしたようで気恥ずかしい。こんな色使ってるの新京成かC-C-Bのドラマー(笠浩史)くらいのもんだろ。


ちなみにくぬぎ山のイベント、京急とか体験しちゃってる身としては小ぢんまりとして感じられましたけど、車庫線ほとんどを使っての車両の並べ方がやけに盛大だったのが印象深かったですね。今日はこんな下総の片田舎までご苦労な事にヨメさんと下の子供の女性陣も参戦していたのだが、ヨメさん曰く「新京成とか、この先の人生でもう一回乗るかと言われたら乗らなそうだよね。きっと一生この辺りに用事なさそうだし」とナチュラルに新京成沿線民をdisっていた。そんなヨメは生まれた時から現在まで生粋の相鉄線沿線民…たぶん八柱あたりの住民も「相鉄なんてこの先の人生で一回も乗らないだろうな」と思っているのではないだろうか(笑)。目糞鼻糞じゃ。
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Delicious Mirin 流山

2014年11月08日 22時06分44秒 | その他私鉄

(水色カラーの流馬号@流鉄線馬橋駅)

現在の流鉄線の主力車両5000系は元西武電車の新101系。新101系も結構な数が地方鉄道へ譲渡されて行っておりますが、東急の7200系あたりと双璧の嫁ぎ先の多さなんではないでしょうか。えーと、上信、秩父、伊豆箱根、三岐、近江、そしてこの流鉄ですか。と言う事は、この流鉄5000系とご面会したことで譲渡先の西武新101系をコンプリートした事になるわけですな。パチパチパチ。って別に自分そんなに西武線マニアでもないし新101系が好きな訳でもないんだけどw

上信  秩父  伊豆箱 
三岐  近江  流鉄 

まあ折角なんで、今までお会いして来た車両たちの姿を。秩父鉄道に行ってしまった車両(秩父鉄道6000系)の改造ぶりが激しいのが目立ちますが、まあどこも面影を残しつつ頑張っているようです。印象としては、新101系と言うか西武鋼製車の特徴である前面の銀鉄板はやっぱ外さないほうが自分は好みですわなあ。ちなみに流鉄の流馬号(水色編成)とほぼ同じカラーリングの車両が近江鉄道でデビューしていたりする。三岐だけ引き気味の写真だけしかなくて編成写真がなかった(笑)。

 

さて、そんな記念すべき最後の新101系こと流鉄5000系は特に発車の合図もなく馬橋駅を発車し、特に何の感想も語りにくい松戸市の住宅街を北に向け走り出しました(笑)。馬橋、幸谷、小金城趾、鰭ヶ崎、平和台、流山。どのみち全部乗っても10分ちょっとの短い路線、休日の日中は20分ヘッドのダイヤで2編成が行ったり来たり。真ん中の小金城趾で上下電車が交換、今日のもう一本は真っ赤っか~の赤城号でした。

 

あっという間の流山駅。今や流山市民は常磐新線ことつくばエクスプレスに南流山駅と流山セントラルパーク、流山おおたかの森駅が開業したせいもあり、東京へは一本で出れるようになりました。しかしながら、それまでの長い間はこの流山電鉄がせっせこせっせこ東京へ向かう流山市民を馬橋の駅まで送り届けていたんですよね…何となく、捨てられた女の風情と言うような絶妙な黄昏感が漂う流山駅には流山線の車庫があって、今日は使われない編成が留置されております。流鉄の現役車両は最近全て新101系に置き換わっており、赤、黄緑、オレンジ、水色、黄色の5編成があります。


流山駅の奥にある検修区。検修区の「区」の文字が旧字体の「區」となっているところが渋いのう。入区しているオレンジ編成は、7月に小金城趾の駅の近くで結構激しい踏切事故を起こしてしまった編成のようです。残り4編成あれば十分ダイヤは回って行くんだろうけど、直すのに結構長引いてるのかな。


流山駅。人口17万人を誇る流山市の玄関口にて、市役所の真隣りにある割には慎ましやかな佇まい。駅前通りには目立った商店もなく、江戸川に沿って走る県道へ続いております。昭和40年代後期に武蔵野線が通り、そして平成になってつくばエクスプレスが開通し完全に主役の座を奪われた流山線ですが、流山の名産品である白みりんの輸送に果たした流山線の功績は大きく、流山市の産業に多大な貢献を果たしたことに疑いはありません。往時はみりん工場(現在の流山キッコーマン)につながる専用線もあったらしく、駅前から斜めに伸びる路地はその専用線の跡なんだとか。


流山のみりんは「万上(マンジョウ)の本みりん」と言う名前で呼ばれ、現在はキッコーマンがその製造を引き継いでおりますが、千葉県の北部は、野田の醤油と流山のみりんと言う日本固有の調味料の産地だったんですね。そんな流山市でみりんが誕生したのが文化11年(1814年)、数えて今年は流山みりんの誕生200周年と言う事で、実に地味なアニバーサリーを迎えておるのであります(笑)。そもそも現在の流山電鉄は、みりんの出荷のために地元有志が資金を集めて作った流山軽便鉄道がルーツだしね。

  

心なしかほのかにみりんの甘い香りを残す流山の街、息子にトイレを済ませて折り返しの電車に乗る。帰りもきっちり小金城趾で上下の列車が交換し、ほとんど動きのないようなどんよりとした坂川の流れに沿って走った電車を、帰りは馬橋の一つ手前である幸谷駅で下車してみる。ここは名前こそ「幸谷」となっておりますが、位置的には常磐線の新松戸の駅の隣にあって、ロッテリアの横の路地を通って2分くらいで乗り換える事ができます。

流山電鉄自体はどこの電鉄会社のグループにも属さないインディーズ色の強い鉄道会社で、電鉄と並行した不動産経営で収益を上げているそうな。幸谷駅の真上にあるマンション(カーサ新松戸)も流鉄が経営しているんだって。全線通して乗ってもたった200円の運賃で、頼みの定期客はTXに取られ、実際TX開通以降は毎年鉄道事業では欠損を計上するなど楽な状況ではないようです。3両編成を2両編成に減車し、全面ワンマン化を行うなどの合理化に努めてはいるようですがねえ…

首都圏から30分程度でなかなか得難いのんびりムードは貴重なので、末永い健闘を期待したいもの。
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