青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

秩父鉄道に乗って来ました(中編)

2008年02月04日 21時58分01秒 | 日常
(画像:ヲキ230@武川駅)

秩父鉄道の石灰石輸送には、この「ヲキ」と言う貨車が使われてます。
「ヲ」から始まる車両って他にあるのかねえ。
ちなみに、鉱石専用の貨車を「オアカー(Ora Car)」と言うそうで、「ヲ」は、オアカーの頭文字から取ったものらしい。それなら「オキ」でいいんじゃないかと思うのだが?

●秩父鉄道の貨物列車
秩父鉄道の貨物列車は、石灰石とその加工品であるセメントを中心に、一時は旅客列車を凌ぐほどの頻度で走っていました。しかしながら、最近になって太平洋セメント秩父工場からのセメント輸送が廃止。輸送品は石灰石のみとなってしまいました。
現在は影森駅の近くの三輪鉱山から削り出された石灰石を、熊谷市内の太平洋セメント熊谷工場へ輸送するのが主な仕事。セメント輸送が廃止されたとは言え、日中は沿線のそこかしこで姿を見せる貨物列車。まだまだかなりの本数が走っており、健在振りをアピールしているようですね。と言う訳で、三峰口駅からまずは三輪鉱山のある影森駅へ行ってみる事に。

影森駅は、御花畑駅の一つ三峰口寄りの駅。駅前に止めてある自転車の数からもそこそこ利用している人はいる様子。駅の周りは基本的に店もなくひっそりとしておりますが、構内はとにかく広い!。画像で言うと左側の山の中に貨物の専用線が伸びていて、鉱山から貨物列車はまずこの影森駅へやって来ます。
さっそく駅構内には山から石灰石を積み込んで来たばかりの貨物列車が停車しており、早速駅の反対側から側線の貨物列車を見学してみる事にする。青い電気機関車を先頭に、てんこ盛りの石灰石を積んだ貨車は、数えてみたらひいふうみい…の堂々の20両。この20両と言うのが秩父の貨物の基本編成だそうです。バッチリと編成のケツまで入れて写真を撮りたかったのだが、長過ぎて画角に収まりませんw
ほどなく電気機関車のモーターが低く唸り出し、ピィ~ッ!と汽笛一斉鳴らしましてこれが貨物列車の発車の合図。機関車がゆっくり牽引にかかると、一個一個のヲキ車の連結器に「ガン・ガン・ガン・ガン・ガン・ガン…(20両分)」とまるで波のようにテンションが掛かっていくのが圧巻!(こんな事に興奮している俺って一体)。一番後ろの車両までテンションが掛かったのを確認して、貨物列車は蛇のように体をくねらせながら影森駅を発車するのでありました。

満載の石灰石を積んで走る貨物列車の総重量は、機関車が50t+自重荷重で1両50tのヲキ×20両=1050tにもなる。JRの最新鋭通勤電車E233系がほぼ満員の状態で400tくらいだから、約2.5倍の重さの列車が毎日毎日線路の上を走る事になる。そんな訳で秩父鉄道の線路は貨物列車が走行する区間、特にセメントの積み出し駅であった武州原谷貨物駅から大野原駅~皆野駅あたりまでは枕木もPC(コンクリート)で、レールもしっかりしています。50年選手の国電101系も明らかにその区間だけは乗り心地がいいので分かったんだけど(笑)。人間は石灰石以下の扱いかよw

午後は、影森から運ばれて来た貨物が熊谷のセメント工場へ向けて分岐する武川駅を見学。武川駅から工場のある三ヶ尻駅を通ってJR熊谷貨物ターミナルへ向かうのが貨物専用の三ヶ尻(みかじり)線。その基点として、ここも影森駅同様広い構内に何本もの側線が引かれています。ここでは、三ヶ尻で石灰石を降ろして身軽になった貨物列車が停車していました。同社の用語で、石灰石を積んで走るのを「積載」と言うのに対し、帰りの空になった貨車を回送するのは「返空」と言うそうです。駅構内の跨線橋の上から見た貨物列車は、まさに「返空」の名にふさわしい空っぽの状態でした。軽そう。宅配寿司の帰り道みたいなもんだな。

側線には、一仕事を終えた秩父鉄道の機関車軍団が憩っております。
秩父鉄道に在籍する機関車はデキ100・200・300・500の4形式で総勢16両。機関車が16両も在籍していると言う事が凄い。たぶん私鉄で一番多いんじゃないだろうか。パッと見ではどの機関車もカラーリングは同じだし、そう取り立てて差がないように見えるのだが…今回の訪問ではデキ100型300型500型を見る事が出来ました。良く見ると窓の上のヒサシだったり、前面のライトだったり、台車だったり、微妙なところは違いますね。みんな日立製作所製造です。見る事が出来なかったデキ200型は、同じ太平洋セメント系列の三岐鉄道へ2両が譲渡された関係で1両しかいないらしい。譲渡先の三岐鉄道では、中部国際空港の埋め立て土砂の輸送に活躍したんだって。へえ~。

何気に、旅客輸送と並行して定期貨物輸送を行っている私鉄は、秩父鉄道・岳南鉄道・三岐鉄道の3社しかないみたい。
目の前のこの光景は、既に私鉄の風景としては貴重なものなんでしょう。

続く。
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