tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

田中利典師の「蝋月供養法」(12/1~8)

2025年03月07日 | 田中利典師曰く
今日の「田中利典師曰く」は、〈蝋月供養法〉(師のブログ 2017.12.5 付)。年の暮れの蝋月(臘月=12月)の1日~8日に、1年を振り返って「蔵王権現供養法」を毎朝1座、行じるということなのだ。〈この思いつきは、吉野の権現様から、自坊の権現様への、思し召しだったのかもしれない〉とお書きである。では、以下に全文を紹介する。
※トップ写真は、椿寿庵(ちんじゅあん=大和郡山市)の椿(2010.2.6 撮影)

「蝋月供養法」
蝋月、つまり12月である。この12月1日から8日まで、禅宗では蝋八大接心といい、お釈迦さまがお悟りを開かれた成道(じょうどう)を記念して、昼夜寝ずに座禅する修行会がある。私は禅宗門ではないので、接心の座禅は出来ないが、代わりに、1日から8日まで蔵王権現供養法を毎朝、1座つとめている。

平成26年春に吉野山の役職を辞して、故郷綾部の自坊林南院に帰山したが、その節、50日100座の蔵王権現供養法を修した。自坊での活動を本格的に行っていくという、私なりの覚悟での修行だったが、だんだんと身辺が忙しくなり、またまた自坊のことがおろそかになりつつある。

そんな中、先の金峯山寺八千枚大護摩供で随喜した折、管長の八千枚護摩供修法の脇で、管長登壇の毎座ごとに、蔵王権現供養法を行じた。それが八座だった。そしてそのとき、自坊での、蝋八供養法を発心するところとなったのである。この思いつきは、吉野の権現様から、自坊の権現様への、思し召しだったのかもしれない。

自坊は来年開山45年を迎える。師である父の開基以来、綾部の地に金峯山修験の法灯が灯り、その灯を受け継いだ私だが、父のようにはなかなか大きな灯になっていかない。私なりの灯火のつなぎ方があるのかもしれないと懊悩する中で、ともかく、長年怠ったご本尊のご供養を申し上げようと発心した次第である。

生来、自分のこととなると、あまり熱心に取り組めないところがある。しかしながらまずは足下を堅固にしないと、なにをやっても砂上の楼閣となってしまうだろう。ただいま、猛省中である。

今年は5月に(マイコプラズマ)肺炎に罹患し、その後も体調不良が続いている。いろいろと考えるところも多い毎日なのである。蝋月にこの一年を振り返り、修行のひとときを過ごさせていただいている。ありがたいことである。とりあえずは蝋八をきちんとおさめて、また前に進むことが出来ればと思っている。
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宝剣「高照丸(たかてるまる)」復活プロジェクトに、ご協力を!(2025 Topic)

2025年03月06日 | お知らせ

今日(3/6)放送されていた奈良テレビ放送の「ゆうドキッ!」の「ひたすら推したい奈良ノススメ」に、奈良まほろばソムリエの会の梅田加都さんが出演された。彼女は御所市の「葛木御歳(かつらぎみとし)神社」の魅力を、詳しく紹介されていた。

梅田さんのお話の中に、神社はかつて盗難に遭った宝剣「高照丸」(ご神宝)復活のため、クラウドファンディングで資金を募集していることを知った。東川(うのかわ)優子宮司によると、〈研ぎ師は、御所市在住の大越明友様、塗師は奈良市の樽井宏幸様に依頼しております〉とのこと。


これは意義のあることだと思い、私も些少ながらお小遣いの一部を寄付させていただいた。しかし、まだ目標150万円の約6割の88万5千円しか集まっていない。クラウドファンディングを行っている「RiSSHi」のHPには、

葛木御歳神社の御祭神名を冠した宝剣「高照丸」は御歳神社の本殿内に神々と共に祀られてきたのですが、大正時代に盗難に遭い、以後空の桐箱だけが本殿内にありました。いつか、剣を神様にお返ししたい!そんな思いを持ちながら十数年が過ぎました。

そんな折、ご神縁にてYURAI(家族による音楽バンド)のえま(Ema)さんのご紹介で刀匠の横井彰光氏と知り合う機会に恵まれました。これはきっと宝剣を打って欲しいという神様からの啓示なのかもしれません。導かれるように発起人としてえまさんにご協力頂き、新たな宝剣を作るプロジェクトを立ち上げることとなりました。


剣は三種の神器の1つであり、
魂の宿る依代(よりしろ)でもあります。


ここに皆様からのお心を集めて神様へ捧げる宝剣を作ることは意義深いことであると思っています。皆様からの奉賛により現代の匠の技の粋を結集して素晴らしい宝剣を奉納したいと思っております。皆様方からの奉賛のご協力を賜りたく何卒お願い申し上げます。

皆さん、ぜひこの意義あるプロジェクトに、ご協力をお願いいたします!
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田中利典師の「仏教の普遍性について」(下)

2025年03月05日 | 田中利典師曰く
今日の「田中利典師曰く」は、〈仏教の普遍性について(下)〉(師のブログ 2017.11.22 付)。なお(上)は、こちらだ。日本でよく言う「山川草木悉有仏性」について、ダライ・ラマ法王と松長有慶師(高野山真言宗)の話である。以下、全文を紹介する。
※トップ写真は、椿寿庵(ちんじゅあん=大和郡山市)の椿(2010.2.6 撮影)

「仏教の普遍性について」(下)
現代の日本仏教界最高峰の碩学といえる高野山真言宗の松長有慶師とダライラマ法王との象徴的な面白いやりとりがある。以下、引用をする(紫色の部分)。


「ダライ・ラマ法王とは集まりの時に環境問題についての話をしました。日本人はものの中にも命を認める考え方を持っている。人間の道具としてものを使うのではなく、ものを命あるものとする、お互いの命の連関の中で環境問題を考えないといけないという話です。

仏教では一切衆生と言います。日本人は石ころでも命あるものとする。山や川も全て命があり、尊崇する。それがまさに自然観だろうと思うのです。しかし、そういう話をすると、いろいろな点で話が合うところと合わないところがあるのです。その点でダライ・ラマは非常に嫌っているのですね。

あの方は、自分がインド仏教のナーランダの伝統を継いでいるのだというプライドを持っておられます。だから、インドのものの考え方をする。よく考えてみると、仏教が中国に来て、動物と植物を衆生に含めるかどうか、一切衆生悉有仏性について、中国人は盛んに議論しているのです。

インド人は、動物、植物は命を持たないものだと考えます。しかし中国では、動物までは認めるけれども植物は認めない、あるいは動物も植物も認めるのか、そういう議論があるのです。

しかし、それが一番盛んに論じられたのは日本仏教です。ですから、日本仏教、特に平安仏教は、天台でも真言でも、そういう意味では一切のものの中に命が含まれている。そして、天地万物が自然環境に根付き、全てのものがそれぞれ命を持っていて、自分の命と同じなのだという考え方がある。この話をすると、ダライ・ラマは『違う』と言うのです。やはり命があるのは人間であり、動物までだということです。

そういう議論をしてその後物別れになったのですが、それから1年ほど経ってまた日本に来られ、一緒にお昼を食べながら話しました。この前あなたが言っていた石ころにも命があるという考え方は、神道の考え方だなと言った。勉強してきたのですね。

日本の仏教をそれなりに勉強してきたのです。ですから結局、仏教もそういう考えを持っていた。山や川といった命がないと思われるような全ての存在が命を持つという考えは、やはり日本に来て一番盛んになってきた」(2016年紀伊山地三霊場会議フォーラムより)

本稿では仏教の普遍性について話をしている。キリスト教、イスラム教という世界宗教は自分たちの持った普遍性を全世界に広めようとする教えである。であるから、その土地や国が持ってきた歴史や風土を破壊して、自分たちの宗教だけを広めてきたきらいがある。

いま世界を席巻しているグローバルリズムやISのイスラム原理主義っていうのは、そういうキリスト教、イスラム教が持っている価値観を基盤としているところがあるのではないだろうか。

その点、仏教は同じ世界宗教と言うが、それぞれの土地や国の風土を打ち壊して打ち立てるのではなく、うまく融合して、その土地土地に根ざした信仰を育んできたといってもよいだろう。どちらに本当の普遍性があるのか?そこのところを考えないとこれからの世界はますます困ったことになるように私は思っている。

現状の葬式仏教は糾弾されるべき点はごまんとある。寺族による寺院の私物化をはじめ、僧侶の資質の低下、葬式自体の形骸化と信仰心の希薄化などなど、数え上げればきりがないが、だからといって、あんなものは仏教ではないというなら、日本仏教は仏教ではないことになる。

しかし日本仏教は厳然と今も存在し、日本人の多くの人々の生きる支えと成っている。また葬儀という厳粛なる場を通じて、やはり仏教の持つ大きな力が人々の生きる支えを担う部分もけっして小さくない。

釈迦滅後、本来の仏教などというものはもともとこの世に存在などしていない、と私は思う。ダライラマ法王の説く仏教だって、釈迦が聞いたらひっくり返るかもしれない。わしゃ、そんなこと言うとらん、とのたまうかも知れないのである。

私は仏教が2500年にわたって持ち得た歴史自体が人類の叡智なのだと考えていて、そういう叡智が世界宗教としての仏教を仏教ならしめてきたといってもよいだろうと思う。

あっちこっちに話が言って、味噌も糞もごった煮の話になってしまったが、ふと、朝からそんなことを思いついて、筆を走らせてみた。つっこみどころ満載である。それは私の不徳でしかない。多くの叱責が予想されるので、前もってお詫びをしておく。

********

友人が仏教原理主義のような話題を累々と書いていて、そのことに、私自身が違和感があったので、そこを言いたいだけで思わず綴った文章です。まあ、それ以外の他意はありません。いまもその意見は変わっていませんが…(笑)
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トランプ米大統領が「デジタル焚書」、気候変動などアクセスできず

2025年03月04日 | 環境問題
アメリカのトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が、2025年2月28日(日本時間の3月1日未明)に会談し、激しい口論となり、予定していた鉱物資源の権益をめぐる合意文書への署名が見送られた。
※2枚の画像は、毎日新聞の記事サイトから拝借

「こんなことをしていては、ロシアのプーチン大統領を利するだけなのに…」と危惧しているが、今朝(3/4)の毎日新聞1面トップには〈欧州、有志国で平和維持 ウクライナ停戦案を米提示へ〉という記事が出ていて、少し安心した。

このトランプ大統領、先週(2/25)の同紙夕刊1面トップで、とんでもないニュースが報じられていた。〈「デジタル焚書(ふんしょ)」手染める覇道(はどう) 「気候変動」米連邦サイトから次々削除 トランプ政権 科学より信条〉という記事だ。「焚書(書物を燃やす)抗儒(儒者を生き埋めにする)」の「焚書」だが、これはすさまじい話だ。

「気候変動」など、特定の言葉やそれに関する情報が、次々に削除されているという。温室効果ガスのせいで、人類は「地球沸騰」と言われるほどの暑い夏を経験しているというのに、「デジタル焚書」とは、信じられない。以下、記事全文を紹介する。



トランプ政権に移行した米国で、連邦政府機関のウェブサイトから特定の言葉やそれを含む情報が次々と消されている。一つの例が「気候変動」だ。 「気候変動に関連するすべてのウェブコンテンツを特定し、スプレッドシート(表計算ソフト)にまとめるように」

米メディアに流出した農務省の内部メールでは、サイト管理者に気候変動を扱うページなどをリスト化して公開を止めるよう命じたことが明るみに出た。対応は順次進んでいる。農家の脱炭素を支援するプロジェクトの紹介ページなどは「アクセス権限がない」と表示され、一般ユーザーはもう閲覧できない。

航空宇宙局(NASA)の気候変動を解説する特設ページも、「より統合された科学」を扱うウェブサイトへの「引っ越し」を予告する。遠回しな表現だが、改廃を示唆しているとみていい。本丸ホワイトハウスのホームページで「気候変動」を検索すると、数件がひっかかる。どれもトランプ大統領が大統領令で「無効化」したバイデン前政権時代の文書の題名に含まれるものだった。

背景にあるのは科学をめぐる論争ではない。信条や価値観、さらに米国とは何かという世界観の相違に基づく情報統制だ。その意味では「デジタル焚書(ふんしょ)」と呼んでも差し支えないだろう。

第1次も1400件改変 専門家ら保存運動
第1次トランプ政権でも同じことが起きた。「アクセス拒否」と題した報告書がある。科学に基づく政策立案を推進する専門家のネットワーク「環境データ・ガバナンス・イニシアチブ」(EDGI)が、トランプ政権1期目の連邦政府機関のウェブサイトに加えられた変更を分析し、2021年に発表した。

それによると、気候変動とエネルギー、環境問題に絡んで少なくとも約1400件の改変があった。うち約300件は規制に関係する内容だったという。規制緩和の手続きの過程で関連する記述やデータを削除するパターンが多くみられ、一般市民の理解を「妨げる」意図があったと分析した。

今回、EDGIはトランプ政権の「より激しい攻撃」に備えて、昨年11月の大統領選後から政府機関のウェブページを保存して別の場所で公開するための作業を続けている。メンバーでカナダ・ゲルフ大のエリック・ノスト准教授(地理学)は「地域の擁護団体や研究者が(変更される前の情報の)コピーにアクセスし、十分に活用できるようにすることが重要だ」と指摘する。

抑圧はデジタル空間にとどまらない。環境保護局(EPA)では、貧困層やマイノリティー(少数派)に公害などの影響が偏る「環境正義」と呼ばれる課題に取り組む職員たちが、強制的な休職に追い込まれている。トランプ氏は就任初日の大統領令で、「環境正義」を冠した連邦機関の部局や補助金は「公共の無駄」だと冷淡に切り捨て、撤廃する方針を打ち出した。

EPAで環境正義の取り組みを拡大させたのは民主党のバイデン前政権だが、1992年に初めて専門部局を作ったのは共和党のブッシュ(父)政権だった。環境保護に対する超党派の肯定的な世論が、共和党に「ウオーク(社会正義に対する高い意識)」な政策の後押しをする時代もあったのだ。

ICJ勧告 出れば「燃料」
くしくも国連の司法機関である国際司法裁判所(ICJ)は今年、気候変動の影響から現在・未来の世代を守るため、国家がどのような法的義務を負うかについて「勧告的意見」をまとめようとしている。勧告的意見に拘束力はないが、権威ある決定として関係国の行動の指針となる。

東京大の高村ゆかり教授(国際法)は、気候変動に対する世界的な関心の高まりを受け、ICJが「人権侵害の回避、あるいは越境の環境被害を防止するため、一歩踏み込んで義務を明確化する判断はあり得る」とみる。ICJがどのような意見を出そうとも、トランプ政権に軌道修正は期待できない。むしろ国連を攻撃し、地球温暖化の国際枠組み「パリ協定」離脱など自身の政策を正当化する「燃料」とするはずだ。

一方で気候変動という言葉を隠し、見ないふりをしたところで現実の脅威からは逃れられない。各国は将来の米国の揺り戻しを見据え、着実に対策を進めながら嵐をやり過ごすしかないのである。【ニューヨーク八田浩輔】


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第18回奈良まほろばソムリエ検定の解答私案

2025年03月03日 | 奈良検定
好天に恵まれた日曜日(2025.3.2)、天理大学で「第18回奈良まほろばソムリエ検定」(奈良通2級、奈良通1級、奈良まほろばソムリエ)が実施され、奈良まほろばソムリエの会メンバーも、道案内、試験監督や問題配付・回収などを手伝った。
※トップ写真は、「奈良まほろばソムリエ」の試験会場(3/2 天理大学で撮影)

例年「自己採点したいので、解答案を知らせてほしい」というご要望をうかがうので、今回も以下に掲載しておく。「私案」なので確定的なものではない、あくまで「参考」として取り扱っていただきたい。

奈良通2級
Ⅰ エアエアエ イイアウ
Ⅱ ウエエウエ イエエア
Ⅲ イウエウイ エウウイ
Ⅳ イイイアア エアエウ アエイウア アウイエ
Ⅴ エイイイア ウアエウ
Ⅵ イイアイウ アアイエ
Ⅶ アイイイイ アアアウ
Ⅷ ウウウアイ アウアウ
Ⅸ ウイアエエ ウウウエ
Ⅹ エアイイエ アイウアイ

奈良通1級
Ⅰ ウアアウエ エエアイ
Ⅱ アウイエウ アウウイ
Ⅲ アエウイア エイエウ
Ⅳ イエウアウ エイイエ アウイアイ エアウウ
Ⅴ エアイイア エウイエ
Ⅵ ウアイエウ アウイア
Ⅶ イアエアウ アイウウ
Ⅷ エエウウア エイアイ
Ⅸ ウ(ウ)エエイ アイアア
Ⅹ ウアアイウ ウイアアエ
第83題(上記Ⅸのかっこ書き)は、飛鳥・藤原の世界遺産の構成資産数が変更されたため、全員正解となった。

奈良まほろばソムリエ
Ⅰ エアアアエ イエイアア ウイウイア アエイウエ ウアウエイ
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