tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

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田中利典師の ドキュメンタリー映画「四万十~いのちの仕舞い」推薦文

2025年03月20日 | 田中利典師曰く
今日の「田中利典師曰く」は、〈ドキュメンタリー映画「四万十~いのちの仕舞い」〉(師のブログ 2018.1.28 付)である。
※トップ写真は、映画のワンシーン。映画.com から、画像を拝借した

利典師は旧知の溝渕雅幸監督(生駒市在住)のドキュメンタリー映画「四万十~いのちの仕舞い」のパンフレットに、推薦文を書かれた。以下、その全文を紹介する。

ドキュメンタリー映画「四万十~いのちの仕舞い」
ドキュメンタリー映画「四万十~いのちの仕舞い」のパンフレットに、実は私の一文が掲載されている。本編の監督溝渕雅幸さんとは、3年前に取材を受けたNHKEテレの「こころの時代~花に祈る、山に祈る」で出会った。溝渕監督があの番組の回の、監督を担当をされていて知り合い、取材後も知友が続いた。

その監督のドキュメンタリー映画が新作「四万十~いのちの仕舞い~」。あろうことか、パンフレット掲載用の一文を依頼され、更に、2月には神戸と大阪で開催されるロードショーで、監督とのトークセッションも仰せつかっている。ありがたい御縁である。その一文を以下、紹介する。ちょっとだけ、パンフレット掲載文とはいじっているが…。

****************

「自然の摂理の中で生きている」 金峯山寺長臈 田中利典
命は循環する。「自然の摂理」である。それを私は美しいと考えている。この映画に登場する高知の四万十川…。その四万十の恵みである鮎も、ゴリも、そして春の桜も夏の蛍も、循環する美しい自然の一部として映し出される。

なにより主人公の、訪問在宅医療に生涯をかけ従事する医師小笠原望も、医師の訪問を受け在宅で人生の終焉を迎える患者さんたちも、その同じ命の循環の中で訥々と紹介されていく。それら全部が、たおやかな流れに身を横たえる四万十川流域の、自然の大きな営みの一部でしかないのだ。そう教えてくれているのではないだろうか。

だからこの作品を観賞する私たちは、人生の終焉の苦しみとか、訪問医療の大変さとか、在宅看取りの困難さとかに立ち尽くすのではなく、命を精一杯生ききって、自然の摂理に身を任すことへの「救い」を見いだす。

人は生きて、死ぬ…。小笠原医師でもどうすることも出来ない命の終焉。その命の終焉=「仕舞い」の現場で、懊悩することなく、自然のままに、命を全うする患者と、それに寄り添い続ける訪問医の日常。

小笠原医師の活動は菩薩の如く清浄しいが、たんたんと映し出される終末医療の生々しい現実に、命のはかなさと、たった一つしかない自分の命の、かけがえのなさが描き出される。何より、看取られて逝くばあちゃんたちの息づかいが、強く私の心を打つのだった。

「自然の摂理」と書いたが、この自然は欧米世界がいうところのnatureではない。人間に隷属する環境自然のnatureではなく、「おのずからあるもの」として存在する自然である。「おのずからあるもの」が日本人の自然なのだ。

人の生も「おのずからあるもの」であるなら、人の死もまた「おのずからあるもの」である。人生の終焉とは「おのずからあるもの」に帰って行くだけなのだ。

以前は日本中がそうだった。自然豊かな田舎が自然から疎外された大都会に変わり、物質文明の過度な発展の中で自然環境の破壊が急進して、自然へのまなざしも今は変わった。自然を畏怖する心も消えた。そしてそれにつれて命の終焉の場面やその様相も大きく変化して行ったのかもしれない。

しかしながら大自然の循環と恵みが希有な形で今に残る四万十川と、その流域に生きる人々。そして慈悲深き訪問医の活動を通じて、忘れかけていた何かを思い出すことになるだろう。「自然の摂理」として人生の終焉を迎え入れることの大いなる救いとして…。

*************

私のこの一文を通じて、少しでもこの映画の素晴らしさが人々に届けばと切に願うものである。
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約50人の芸舞妓が 奈良に集結!「第7回 ならまち花あかり」、4月5日(土)~6日(日)開催!(2025 Topic)

2025年03月19日 | お知らせ
全国の27花街(かがい)から、50人もの芸舞妓さんが奈良に集結! そんな空前絶後の大イベントが、4月5日(土)、6日(日)に奈良市内で開催されます(主催:奈良元林院花街復興プロジェクト)!

昼間(13:00~15:30)は「大和をどり」(それぞれ@8,000円。5日は「なら100年会館中ホール」、6日は「ならまちセンター」)、6日の夜(18:00~20:00)は菊水楼(地下大宴会場)で「大宴席」(@30,000円)。なお大和をどりの両日券は、@15,000円。

お申し込みは、「5日 大和をどり」「6日 大和をどり」「大和をどり両日券」「6日 大宴席」。大野菊乃さんのFBには、

4月5日(土)6日(日)奈良市にて27花街 50名の芸・舞妓が奈良市に集結します。各花街、お座敷で披露されているそれぞれの町に特化した舞を披露します。この規模では、最初で最後になりますので歴史に残るイベント、この機会に是非とも。

ならまち花あかり演目
1️⃣4月5日(土)100年会館 午後1時から3時半

司会 元 祇園甲部ジャズシンガーMAKOT O
福井浜町芸妓組合 理事長もも子偲び草
元禄花見踊り  立方 かな子 かな恵 元林院 菊乃 地方 もも子
岐阜鳳川伎連 岐阜音頭 さのさ 立方 喜久有 喜久次 地方 喜久次
長野諏訪大手見番 春雨 立方 美代遥 地方 田村由かつ
向嶋墨堤組合  清元 青海波 立方 千景
地方 琴’千代
新潟古町芸妓
新潟みやげ
おけさづくし 立方 あおい 地方 結衣
伊豆長岡芸能事業協同組合 
民謡 農兵節   
立方 九美 まめ六
三味線 上村彰洋(世界チャンピオン三連覇)
唄  田村由かつ 
愛媛松山検番  鶴亀
立方 千代鷺 八千代鷺 鼓千
地方 田村由かつ
小鼓 伊豆長岡芸能事業協同組合 九美
元林院検番 創作舞踊
立方 菊乃 地方 上村彰洋 曽爾テラワキ

2️⃣4月6日(日) ならまちセンター 午後1時から3時半
オープニング 
福井浜町芸妓組合理事長 もも子偲び草
木更津芸寮組合 木更津八景 立方 小若 
地方 紅葉
安城芸妓組合 新内小唄  松の栄 立方 てまり 地方 絵美 鼓 由美
会津東山芸妓  会津観光小唄  立方 真衣 伊おり 地方 実千代
桑名桑華連
桑名の殿様 立方 朝子
地方 名古屋名妓連 菜摘  唄 月子
名古屋名妓連 舞ごよみ 名古屋名物 立方 桃太郎 こと美 地方 菜摘
秋田川反芸妓連 秋田音頭 立方 まめ佳 地方 和丸
盛岡芸妓連 金山踊り 産婆かっぽれ
立方 富勇 地方 よう子
金沢芸妓
一舞一管 花笑み
立方 ひがし茶屋街 七葉 
笛 主計街茶屋街 笑弥
さっぽろ名妓連 北海さのさ 雪あかり
立方 はな恵 唄 かつ恵 三味線 さわだ
博多券番 博多節 黒田節 博多よかよか
立方 こまこ 和可奈 地方 綾子
赤坂組合 木遣くずし
立方 真希 地方 桃太郎
新橋組合  さわぎ
立方 七重 地方 美葉
京都五花街 仮)京の四季か祇園小唄 
立方 上七軒 市きよ
宮川町 とし倖
先斗町 市優里
祇園東 満彩音
地方 祇園甲部 だん佑
元林院検番 
長唄 俄獅子 立方 菊乃 藤間信乃輔
唄 杵屋輝久次
唄 杵屋勝欣太
三味線 杵屋多佳
三味線 杵屋多佳鶴
小鼓 伊豆長岡芸能事業協同組合 九美
小鼓 伊豆長岡芸能事業協同組合 まめ六
大鼓 会津東山芸妓 真衣
笛  向嶋墨堤組合 凛香
陰囃子 鳳川伎連 喜久次


皆さん、ぜひお申し込みください!




以下のチラシの「予定」は、すべて「既定」になっている

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田中利典師の「心外無別法(しんげむべっぽう)」

2025年03月18日 | 田中利典師曰く
今日の田中利典師曰くは〈心外無別法〉(師のブログ2018.1.10 付)。難しい言葉だが、華厳経に出てくるそうで、意味は〈認識の対象である一切の現象は各自の心識から出たもので、心識と別に存在するものではないということ〉(例文 仏教語大辞典)だそうだ。
※トップ写真は、椿寿庵(ちんじゅあん=大和郡山市)の椿(2010.2.6 撮影)

よく「良いことはおかげさま、悪いことは身から出たサビ」というが、そのように考えることが大切、ということのようだ。まあ、なかなかできないことではあるが。では、以下に全文を紹介する。

「心外無別法」
人生では、なんども他人からひどい目に遭わさせることもある。あるいは、友人と相克したり、家族でもめたり、息子や娘が思うようにならなかったり、身の回りでは不具合なことは常から起こるが、そういうときは、必ず、人のせいにしないで全部自分が悪かったからだ、と思うようにしている。自分のせいでうまくいかなかったのだと、思うのである。

反対に自分の力では到底なしえないことが出来たり、事業がうまくいったり、素敵な人物に巡り会ったり、他人の大きな力添えをもらっえたりしたら、神仏のおかげ、世間のみなさんの支えのおかげで、そうなったのだと思うようにしている。自分の力などたかがしれているのであるから。

こういうと、エライりっぱな人に聞こえてしまうかもしれないが、いつもいつもそう思えるというわけではない。所詮は煩悩多き凡人である。でも、でも出来るだけそういう風に思おうとはしている。「心外無別法」とは華厳経に出る聖句であるが、実はそういうことを言っているのではないだろうか?

自分を取り囲む世のことは、全て自分の心が作っていることで、自分の心以外に全てをおさめるすべはないのだ。ただし仏の聖句はいつも「それがそうできない人間の心」の裏返しを教えているのだから、なかなかむつかしいものだとは思うのだけれど。
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境内に犬養孝氏揮毫の万葉歌碑、三十八柱(みそやはしら)神社(桜井市大福)/毎日新聞「やまとの神さま」第112回

2025年03月17日 | やまとの神さま(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は毎週水曜日、毎日新聞奈良版に「やまとの神さま」を連載している。先月(2025.2.19)掲載されたのは〈ご祭神の数を名称に/三十八柱神社(桜井市)〉、執筆されたのは2023年に入会されたばかりの新人、弘瀬典子さんだった。
※トップ写真は三十八柱神社の本殿=桜井市大福で

本文には書かれていないが、この神社の境内には、犬養孝さんが揮毫した万葉歌碑が立つ。大伴坂上郎女(大伴家持の叔母)の「こもりくの初瀬の山は色付きぬ しぐれの雨は降りにけらしも」(初瀬の山はすっかり色づいたことだ。しぐれの雨が降ったに違いない)という歌である(歌碑の表記は万葉仮名)。

大福から初瀬は3kmほど離れているが、初瀬の山々を遠望して詠んだのかも知れない。では、記事全文を紹介する。

ご祭神の数を名称に/三十八柱神社(桜井市)
三十八柱(みそやはしら)神社は寺川の南側、三輪山が東に見える位置に鎮座しています。ご祭神は宮中(きゅうちゅう)三十六柱と伊邪那岐命(いざなぎのみこと)、伊邪那美命(いざなみのみこと)の計三十八柱で、神社名になっています。

法隆寺に伝わっていた『太子伝玉林抄(たいしでんぎょくりんしょう)』という本には、『聖徳太子伝暦』の注記に、小墾田宮(おはりだのみや)は大福の地にあった、との記載がありました。

当社に伝わっている『三十八柱神社由緒記』の1718(享保3)年の記録では、当社を「小治田宮(おはりだのみや)」と呼んでおり、明治初期の神仏分離の際に現在の名称に改めたことが分かっています。

郷土史を研究した前宮司の石井繁男・元県立奈良図書館長が小墾田宮=大福説を1975年に提唱。この説を支持した哲学者の梅原猛氏揮毫(きごう)の「小墾田宮伝承之地」の石碑が境内に立てられています。これと別に明日香村豊浦の古宮遺跡が、発掘調査の結果、小墾田宮推定地とされています。

江戸時代後期に修復されたという本殿は、千鳥破風に付けられた立派な龍の浮彫が見どころとなっています。秋祭りは毎年10月第1土曜と日曜に行われ、境内では神楽が舞われ、参拝者には一人ずつ鈴でお祓(はら)いをする、全国的に珍しい形で斎行(さいこう)されています。(奈良まほろばソムリエの会会員 弘瀬典子)

(住 所)桜井市大福479
(祭 神)宮中三十六柱、伊邪那岐命、伊邪那美命
(交 通)近鉄大阪線・大福駅から北へ徒歩約5分
(所蔵品)陶製狛犬、木製狛犬=ともに原則非公開
(駐車場・電話)なし


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かき揚げに関東風つゆ、日清食品「どん兵衛 鬼かき揚げうどん」/まろやか味のうどんが食べたい!(7)

2025年03月16日 | グルメガイド
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」のY理事は、自他ともに認める「新しいモン好き」である。彼は月初(2025.3.4)のFacebookに〈どん兵衛 新作か!鬼かき揚げ。新作好きの私は、思わず買った〉と、写真入りで紹介されていた。フタには〈甘みと旨み際立つ 大切り玉ねぎ〉とある。おお、これはおいしそうだ。



彼によると、特売で@149円(たぶん税込み)だったという。最近の日清の看板商品(カップヌードル、どん兵衛など)は軒並み強気の価格設定をしていて、それくらいの値付けは当たり前になってきている。

それで私はもっぱら税別で100円を切るような、スーパーのPB商品ばかりを買っているが、まあ、たまには良いかな、と思っているとき、たまたま近鉄郡山駅前の「マツゲン大和郡山店」で、写真の商品を発見した(3/6)。なんと!税別118円(税込み@127円)! 思わずカゴに2個、放り込んだ。



なお、この「鬼〇〇」というフレーズは、最近、流行っているようだ。『デジタル大辞泉』の「鬼」には、〈[補説]近年、俗に、程度がはなはだしいさまを表すのにも用いられる。「―のように忙しい」「―うまい」「―電(でん)(=短時間に何度も電話をかけること)」〉。

同様に「神〇〇」もよく目にする。全般的にテレビ的・即物的な言い回しが増えているようで、昭和生まれには、やや抵抗がある。



早速、家で食べようと(3/12)、麺の上に粉末スープを振りかけると、おや、魚粉(かつおなどの削り節)の匂いがとても強い。今までのどん兵衛(西日本版)にはなかった香りである。お湯をかけて5分待って出来上がりを見ると、色目も濃い(濃口しょうゆ使用か)。

食べてみると、おお、やはり関西風の「昆布ダシ+薄口しょうゆ」ではなく、「かつおダシ+濃口しょうゆ」の関東風の味だ! これは衝撃である。



実は私は2009年から、「わが国におけるうどんツユの変遷」を追っていて、当ブログでも、「第1回 ツユが辛くなった?」(2009年)から「第6回 中間まとめ」(2014年)まで、リサーチを続け、今も進行中である。考えてみると、もう16年も続けているのだ。

リサーチの詳細はブログを見ていただきたいが、簡単に申し上げると、東西で歴然とわかれていたうどんのツユ・ダシの味が、どんどん画一化・均一化されてきている、ということである。しかもそれは、カップ麺に、よりハッキリと現われているのである。



競争にしのぎを削る大メーカーは、敏感に時代に対応しているということなのだろう。日清食品のHPを見ても、通常のどん兵衛(きつねうどん)は西と東に分かれているが、「どん兵衛 鬼かき揚げうどん」は分かれていない。全国統一をもくろんだと思うが、あっさり味に慣れた関西人には、「これは関東系の味付けだな」と思ってしまう。

スープの中身を読んでみた(成分の多いものから順に記載されている)。通常のどん兵衛(西・きつねうどん)は〈スープ(食塩、魚介調味料、粉末しょうゆ、魚粉、七味唐辛子、ねぎ、糖類、こんぶ粉末こんぶ調味料)〉、鬼かき揚げうどんは〈スープ(食塩、糖類、粉末しょうゆ、魚粉、かつおぶし調味料、ねぎ、香辛料、たん白加水分解物)〉。



鬼かき揚げうどんには、「こんぶ粉末」も「こんぶ調味料」も入っていない。その代わり、「糖類」や「かつおぶし調味料」が入っているのである。これでは味が違うはずだ。

気を取り直して考えた。関西のうどんの具材は「きつね」がメイン、関東は「かき揚げ」だ。シンプルな味のきつねには、あっさりとした昆布だし、シッカリとした味のかき揚げには、シッカリとした魚介だしが合う、ということかも知れない。

いずれにしても、あと5~10年もすれば、スープの味は全国で画一化されるかも知れない。私の目の黒いうちに、見届けたいものである、長生きしなければ…。思わぬ「気づき」の機会を与えてくださったYさん、ありがとうございました!
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