国際緊急援助隊の派遣によって、中国の対日感情が一気に好転したかのような脳天気な報道が続いているが、現実はそんな甘いものではないようだ。
今朝の産経新聞は、次のように報じている。
日本の国際緊急援助隊は18日、「いちるの望み」(隊員)をかけ、多くの生徒、児童が下敷きになった学校の倒壊現場での捜索・救助活動を始めた。ただ、同隊への感謝の声が絶えない被災民とは異なり、人民解放軍などの反応は手放しで「歓迎」とはいかないようだ。(綿陽市北川県 野口東秀)
中国政府が日本の援助隊を真っ先に受け入れたのには、日中関係の重視や国際協調をアピールする狙いがあったが、民政省などは「反日感情」を危惧(きぐ)し受け入れに消極的だったという。
その懸念は、被災住民に関する限り払拭(ふっしょく)されたといっていい。しかし、捜索・救助活動にあたる軍などの間には複雑な感情がみられる。
捜索・救助活動を現場で統括するのは基本的に人民解放軍だ。実際、大規模な災害時に救助や物資の輸送などを行えるのは、軍や消防などをおいてほかにない。
17日、日本の救助隊は青川県の被災現場で活動したが、軍の兵士の一人は「あれは日本隊だろ。早く帰れよっていう感じだ」と口走った。…ある中国筋は「軍が仕切る現場で日本隊に生存者を発見させると思うか」と話す。…「軍などが一旦捜索し救助活動を終えた現場で、もし日本隊が生存者を発見したら、それこそメンツが立たない」とも言う。
現場の軍関係者などのよる感情の吐露は、日本からの援助隊を受け入れる土壌が整っていないことを浮き彫りにしている。《野口東秀記者 産経新聞 2008.5.19》
朝日新聞やTVのワイドショウばかり見ていては、こういう情報は全く伝わってこない。中国への好き嫌いは別としても、このような冷静な情報をきちんと伝えているメディアは、中国の太鼓持ちと化した朝日よりずっとましだと思う。