テレビ朝日系「報道ステーション」で放送された「”神の医師” 101歳の戦後」が、大きな感動を与えているそうだ。
「感動」に冷水をかけるようで恐縮だが、まず下記の映像を見てほしい。これは、中国側で制作された「山崎宏物語」である。山崎宏が、暴虐を重ねる日本軍(皇軍)を脱走し、中国共産党のもとに抱かれて、今や幸福に生きているというストーリーだ。
だが、考えてみてほしい。中共(=中国共産党)が「革命根拠地」に立てこもった延安時代には、共産党員同士で苛烈な粛清や洗脳が行われた。それは毛沢東が実権を握るための殺し合いと言っていい。そこで完成された「人間改造」の手法は、「解放後」の大躍進、プロレタリア文化大革命で存分に使われた。善良で豊かな人間的感情を持つ者は、「反革命分子」として糾弾され、「洗脳」されるか、殺害されるかのどちらかの道が待っていた。そのような暗愚と相互不信の中国社会で、山崎宏という人が今まで生き延びられたのは、それなりの「存在価値」があったからだ。
中共にとっては、山崎宏は「反日教育」の宣伝材料に尽きる。人民に対して、日本は暴虐非道の国であるが、中国側に尽くした日本人はかくも幸福になれる、すべては(毛主席の)中国共産党のおかげだという宣伝なのだ。
問題なのは、テレビ朝日が中国側の宣伝材料をそのまま使っていること。この脱走兵が「神の医師」になったとまで言うのなら、それが事実かどうか検証をすべきではなかったか? 彼を知る軍関係者にインタビューするとか、国内でもいろいろな検証は可能だったはず。にもかかわらず、テレビ朝日は「神の医師」という中国側の報道(物語)をそのまま垂れ流しにした。
毛沢東時代(1949-76)の中国は、日本軍国主義と日本人民を区別して、前者を「批判」していた。だが、江沢民以降の中国は、日本・日本人そのものが「邪悪」なのだという「反日教育」を進めている。
悪魔のような日本人でも、中国共産党に帰依すれば「神の医師」になれる…これが山崎宏ストーリーに他ならない。次の映像を見れば、中国の意図はあきらかだろう。テレビ朝日は、これをどう説明するのか。
《百歳侵華老兵在華贖罪》
ここでは「毛主席」という言葉が何度も繰り返される。この映像をUPさせたのは、JapWarCriminalsと称する米国在住の中国人。Japとは、聞き捨てならない言葉だ。「戦争犯罪者の日本野郎」という意味だ。