今日の「産経新聞」掲載のコラム「台湾有情」に興味深い記事がある。「今こそ”日台FTA”」いう記事だ。
初めて訪台した日本人が「地下鉄の割り込みはないし、エスカレーターで誰もが右側に立っている。人も車も交通ルールを守り、日本と変わらない。」と驚くエピソードが書かれている。(下記参照)
唐突な話になるが、毛沢東はかつて「ズボンを穿かなくても原爆を作る」と宣言して、中国は現在の核大国、超大国になった。米ソと対立する状況の中で、国内の政治体制を引き締めるために、大躍進(1958~)、文化大革命(1966~)などの大衆動員をおこない、その結果、数千万単位の人民が死地に追いやられた。中共(=中国共産党)は、この過去の暴政を自己批判するどころか、「中華愛国主義」の拠り所にさえしている。
暴政によって引き裂かれた社会の信頼関係は、容易には回復しない。現在、中国が殺伐な拝金・コネ社会であるのも、共産党の暴政に起因するところが大きい。
東アジア世界の中で、日本が共通理解を持ってつき合える相手は、おそらく台湾だけだろう。かけがえのない隣人を大事にすべきなのだが、実際にはますます「媚中」傾向が強まっている。
「日台FTA」こそ、まず進めるべきだろう。
今こそ「日台FTA」
2010年8月4日 産経新聞 「台湾有情」より
7月は日本人の来訪が相次いだが、中国と関係の深い友人、近親が初めて訪れた台湾をほめちぎるのを聞いてうれしかった。
「地下鉄の割り込みはないし、エスカレーターで誰もが右側に立っている。人も車も交通ルールを守り、日本と変わらない。中国がこのレベルになるのにどのくらいの年月がかかるか、気が遠くなるほどです」
一昨年まで3年間、江蘇省南通市で日本語を教えた大学時代の友人は、帰国後こんなメールをくれた。
同省蘇州市で日本企業の工場長を務めている近親は「タクシーの運転手が親切だし夜道も安心して歩ける」とすっかりくつろいだ表情だった。
治安の良さや外国人への心配りなど、台湾は世界の一流国並みだ。ところが中国の妨害で国際社会からは疎外されている。馬英九政権は世界の自由貿易化に乗り遅れまいと6月末、中国との自由貿易協定(FTA)に相当する経済協力枠組み協定(ECFA)に調印した。そうすれば中国は台湾が諸外国とFTAを結ぶことに反対しない、と期待したからだ。
ところが調印後も中国が軟化する気配はない。日本は最良の隣人を助けるためにも、台湾とFTAを結ぶべきではないか。中国の顔色をうかがっているばかりでは、台湾は中国にのみ込まれかねない。(山本勲)