昨日、唐突に「産経新聞」一面を飾ったスクープ(?)。
ある都立高等学校での出来事だが、一般教員と管理職との対立図式が透けて見えるような事件だ。
そもそも、この事件は極めてプライベートな問題だったはず。それをマスコミに通報した人がいて、問題は大きくなった。マスメディアで報道されれば、教育委員会は「学校を適正に指導する」という「伝家の宝刀」を必ず抜く。「伝家の宝刀」と言えば聞こえはいいが、要するにすべてを学校の責任として、誰を処罰の対象にするのか決めるだけのことだ。
この「事件」は、本来、全国紙の一面に出るような大きなものではない。にもかかわらず、これほど大げさになったのは、当該学校内部の対立、教育委員会の意向など、隠された意図が必ずあるはずだ。
閉鎖的な学校社会での事件は、必ず教育委員会の「指導」で適正化されることになっているが、実は、教育委員会自体が極めて無責任な組織である。行政委員会としての教育委員会は、事務局のお飾りに過ぎず、実際には事務局官僚の政治的意図に基づいて物事が決定されている。こんな組織に「指導」され、懲戒処分を受けることになる当該校長は、まことに気の毒、不運だったとしかいいようがない。
都立高、女子生徒の虐待通告せず 校長、緊急性認めず「様子見る」
8月8日0時46分配信 産経新聞
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児童相談所への主な虐待通告元の推移(写真:産経新聞) |
[フォト]児童虐待の検挙199人と過去最多 死亡数も大幅増 22年上半期
関係者によると、4月下旬、担任の男性教諭が生徒の顔に直径約4センチの青あざがあることに気づいた。前歯も少し欠けていた。生徒が「酔った母親からの暴力に悩んでいる」と話したため、担任は男性校長(60)らへ報告した。その際、校長は緊急性を認めず「様子を見る」として児童相談所へ通告しなかった。
7月上旬、担任は再び生徒の様子がおかしいことに気づき、左腕と左足にそれぞれ直径約4センチの黒あざを見つけた。生徒が「中間テストの結果が悪かったという理由で、酔った母親からいすで殴られた」と訴えたため、担任が独断で児童相談所へ通告したという。
生徒は児童相談所に保護され現在、都内の里親家庭へ身を寄せている。生徒は父親と死別、母親と2人暮らしだった。
文部科学省は、確証がなくても虐待通告するよう通知している。校長は取材に対し「緊急性があるか総合的に判断し、様子を見守ることにした。判断ミスとは思っていない」と話した。
都教委の高等学校教育指導課の宮本久也課長(52)は「虐待の疑いがあれば通告するのが本来であり、学校の対応が適切だったとは考えていない。事実確認した上で、しかるべき対応を取る」としている。