大学祭が今週末にあるからだろうか、今日の授業には7名しか学生が来なかった。ジジババは5人全員が出席していたので、どこかの教養講座かと見間違う雰囲気が漂った。
だが、S教授は一切手抜きナシ。毎回、自分で作成したレジュメと史料を配布する。ボードには必ず地図を書き、歴史的経緯と地理的関係を総合的に説明する。これは本当にありがたい。
きょうのテーマは、カール・ギュッツラフという人。19世紀半ば、東アジア全域で活躍したプロテスタントの宣教師。当時、清朝政府が「国禁」としていたキリスト教の布教を進めると同時に、英国政府の通訳として、アヘン戦争にも深く関わった人物だ。私自身、かつて中国に暮らし、同じような経歴を持つ外国人と関わりがあっただけに、その生涯を興味津々の思いで聴いた。
帰りは弁当屋で中華風弁当を買い、近くの丘の一番高いところで食べる。日差しが強く、意外にも寒くはなかった。空を眺めながら、とりとめもなくキリスト教がアジアにもたらした禍福を考えたりした。私の親族には、キリスト教の熱心な信者がいたが、その生涯は決して幸せなものではなかったことも…。
(台湾・台南の馬祖廟)
澎湖諸島にいたとき、街のあちこちに馬祖を祀る廟を見た。馬祖は福建省出身の海洋民が信仰する神。彼らが足跡を残した、シンガポールから天津までの海岸地域に広く見られる。台湾では、淡水や台南にも大きな廟がある。澎湖諸島では、この馬祖廟を研究している真面目な日本人女子大生に出会った。 果たして、彼女は確かな研究成果を得たのだろうか…。
これまでの自分を考えると、特に宗教に突き動かされたことはない。今の私には、一神教ではなく、より穏和な馬祖のような民間宗教の方が心安まる思いがする。