菅直人首相が中国政府要人に対して何度も使ったメッセージに「一衣帯水」という言葉がある。中国への親近感を込めてか、あるいは相手のことを知らずに中国に媚びるためか、とにかく日中は近しい間柄なのだという意味で使ったのだろう。
昔、故・衛藤瀋吉氏の授業で「唇歯輔車」(しんしほしゃ)という言葉を聞いたことがある。これも日中間の親しい間柄、あるいは抜き差しならぬ間柄を指す、よく使われた言葉だった。
だが、菅首相が歴史に詳しかったり、中国古典から何か教訓をくみ取ろうとかする人とは到底思われないので、「一衣帯水」など誰かが書いた原稿をそのまま使ったに違いない。
ここに採り上げる宮脇淳子氏の「中国人とのつきあい方」は、中国人とは何かを直ちに理解できる秀逸な内容だ。宮脇氏のビデオ講義「世界史はモンゴル帝国から始まった」のなかの一部。他の講義も同様に新鮮で興味深い。尖閣事件で盛り上がった中国人に対する素朴な疑問が、このビデオを見れば一気に氷解することは間違いない。
宮脇淳子氏は、東洋史学者で学術博士(東京外国語大学)。東洋史の碩学・岡田英弘東京外国語大学名誉教授の奥様でもある。
第1回 中国人とのつきあい方 1-2.wmv
第1回 中国人とのつきあい方 2-2.wmv