昨年、4月に私がアップロードした「米国から見た日本の台湾統治」が、きょう8万アクセスを超えた。1年7ヶ月での「快挙」(?)だが、この間においても、台湾における中国の影響力は確実に強まっている。
台湾における50年間の日本統治時代について、現在の民主化された台湾では、客観的、実証的に考証され、きちんとした評価がなされている。
この「米国から見た日本の台湾統治」は、米国ディスカバリーチャンネルが放送した「知られざる台湾」の一部だが、日本の台湾統治を台湾の近代化に寄与した重要な時代として描いている。
昨年4月、NHKはシリーズ「JAPANデビュー」の第一作として「アジアの”一等国”」を放送した。この番組は、日本統治時代をことさらに貶め、中国の歴史観・反日史観に擦り寄る作品だとして、視聴者から多くの非難が寄せられ、現在、訴訟事件に発展している。
このように、大きな影響力を持つメディアに対して何も主張しなければ、歴史記述は次々と書き変えられてしまう。台湾における日本語世代はもう八十歳代半ば、あと十年経てばほぼ消滅する。彼らは、日本統治時代を知る生き証人だ。日本による台湾統治の功罪を身を以て熟知していたから、蒋介石の国民党が台湾を武力制圧した後でも、日本統治時代を懐かしむ声は消えなかった。
これは「植民地統治を正当化するのか?」などと声高に叫ぶような話ではない。台湾の日本語世代の多くは、確かに日本統治時代を懐かしんでいるのだから。映画「台湾人生」(酒井充子監督)にも登場する蕭錦文(しょうきんぶん)氏から直接お聞きした説明によれば、それは「文明、文化程度の差だった」からだ。1947年、蒋介石軍は突如として2万人もの台湾人指導者層を虐殺した。「二二八事件」だ。さらに、日本的なものをすべてを嫌う蒋介石は、日本語の使用を禁止し、日本文化を根絶やしにしようとした。このときのような蛮行は、法治主義が貫かれた日本統治時代では起きなかった。この対比において蕭錦文氏は「日本統治時代を高く評価」しているのだ。
「ひとつの中国」という虚構を掲げ、チベット、ウイグル、内モンゴルを漢民族の支配下に置いた中国共産党政権は、台湾に遺る日本統治時代の記憶を忌み嫌っている。満州国の歴史は、すでに「偽満州国」として封印され、闇の彼方に葬り去られた。中共(=中国共産党)支配の正当性を主張する者にとっては、それらは「不都合な真実」であるだからだ。
以上のような意味で、この「米国から見た日本の台湾統治」は、第三者である米国の視点で制作された番組であるので、ぜひ多くの人々に見ていただきたいと思う。
米国から見た日本の台湾統治~「知られざる台湾・台南市」より