澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

「地球市民」という名の”売国者” 仙谷由人

2010年12月23日 12時37分14秒 | 政治

 本日の産経新聞「正論」欄に「ある”地球市民権力者”の専横」(下掲)という一文が載っている。「産経新聞」ならではの辛口な批評だが、同感できる部分が多い。

 「地球市民権力者」とは仙谷由人官房長官を指す。仙谷官房長官のホームページには、真っ先に「地球市民として自由で平和で健全な世界をつくろう」と書かれている。護憲論者特有の不気味なほど、甘ったるく、観念的な世界観が伝わってくる。仙谷が「資源も飢えや痛みさえも分かち合おう」「同じ地球に生まれた私たちだから」という「地球市民」的観点から、尖閣諸島の中国漁船も追い払わず、中国人船長を起訴もせず釈放したとでもいうのだろうか
 
 「地球市民」などという言葉は、偽善の最たるもの。現実の国家関係、政治力学などを覆い隠す、美辞麗句に過ぎない。「地球環境」「共生」「平和」「市民」などの空疎な言葉も同類だ。
 民主党政権になって、仙谷由人のように現実政治には通用しない空虚な観念論がおおっぴらに通用するようになった。統治権力の骨格を為す官房長官がこの有様だから、この政権は「国益」のことなど一顧だにしていないのではないかと思えてくる。
 「正論」が次のように指摘するのも当然だろう。

『わが日本国の驚くべき官房長官について語ろうと思う。この人物はホームページで自らを日本国民ではなく、「地球市民」と規定している。では、この「地球市民」は尖閣諸島沖の中国漁船事件で一体、何を守ろうとしたのか。少なくとも、われわれの住む日本国という実体ではない。地球市民が住む「平和社会」という幻想を守ろうとしたのである。』


《仙谷由人のHP》
地球市民として自由で平和で健全な世界をつくろう

地球市民として世界の人と仲良くしよう
お互いの存在を尊重し共に栄えよう
資源も飢えや痛みさえも分かち合おう
友愛を育み大きな夢を現実にしよう
同じ地球に生まれた私たちだから
同じ地球に暮らす私たちだから
平和な世界で各人が個性を生かし
自由にのびのびと元気に暮らそう

 

そのために仙谷由人が、今、取り組んでいる3つのこと

1. 分権化(生活に身近な分権は、市民と自治体が決めて実行できる仕組)と自由化(規制緩和)
 自由化すると、全てが元気になります。人間は、本来豊かになりたい、幸せになりたいと思っています。これに上(中央)からブレーキをかける、がんじがらめの規制を緩和しなければ、人が本来持つ向上力を奪ってしまいます。分権化・自由化すると、すさまじいエネルギーがわいてきます。規制緩和により、経済は発展します。

2. 平和で自由な近隣諸国との関係を創造 
 まず、平和な東アジアを創ります戦後の反省の中で、日本はアジアから目を背けてしまっていましたが、戦後50年たった今、まず日本、中国、台湾、韓国、北朝鮮などの近隣諸国とは、折り合いをつけ、仲良くやっていくべきです。アジアがまとまると、世界一の経済圏になります。豊かな資源を生かし、お互いに自由に行き来ができ、助け合って生きていく『アジアの時代』を創ります今、そのためのリーダーシップを日本がとる時期です。

3. ナチュラル(自然派)指向
 きれいな川をコンクリートで固め、海をテトラポットで覆ってしまったら、地形も生態系も変わってしまいました。機能性と引き替えに、くつろぎの場を失い美観を損ねてしまいました。自然破壊を止めないと、消費型の生活パターンを正さないと、地球とそこに暮らす人は、生き長らえてはいかないのです。汚してしまった大気や水も、そこから育てた食べ物も、私たちの体に戻ってきます。地球の自然を私たちの生活を、もっとナチュラルに、自然…

 

   

【正論】筑波大学大学院教授・古田博司 ある「地球市民権力者」の専横

 ◆「日本国民」と自己規定せず

 わが日本国の驚くべき官房長官について語ろうと思う。この人物はホームページで自らを日本国民ではなく、「地球市民」と規定している。では、この「地球市民」は尖閣諸島沖の中国漁船事件で一体、何を守ろうとしたのか。少なくとも、われわれの住む日本国という実体ではない。地球市民が住む「平和社会」という幻想を守ろうとしたのである。

 9月7日、国防動員法が施行され国家総動員体制下にある中国から、一隻の「民兵船」がやってきた。わが国の領海を侵す第一歩として、海上保安庁の巡視船に体当たり攻撃をしかけ、船長以下は拘束された。正式に逮捕するには令状が必要になる。そこで令状を請求してよいですかと、菅直人民主党官邸にお伺いを立てた。

 海上保安部編集のビデオ映像を見た前原誠司国土交通相(当時、現外相)は、逮捕を主張した。仙谷由人官房長官は内心では反対ながら、本気で反対しなかった。船長を逮捕して裁判にかければ、公判維持のため、ビデオは非公開とせざるを得ない。ビデオを隠匿し、「平和社会」を守れる。とにかく、映像を民衆に見せてはならない。それは民主主義に優先する。

 官邸からゴーサインが出て令状が請求され、翌日、船長は逮捕された。13日午後には船長以外14人を釈放し、中国機で送還してあげた。仙谷氏はこれで別の状況が開けると思った。しかし事態は氏の予期せぬ方向へと進む。同じ「平和社会」の隣人のはずの中国が、19日に船長の即時無条件釈放を要求し、報復措置として日中の閣僚級交流を停止した。22日には、日本向けレアアース(希土類)の輸出全面差し止めに踏み切ったことが報じられた。23日には、建設会社フジタの社員4人が拘束されたことが判明する。平和主義者はあわてた。ゆえに、「中国に分かってもらえるはずだと思っていた」と、後に語ったのである。

 ◆ビデオ非公開は長官の意思

 仙谷氏の朋友、松本健一内閣参与が最近、テレビニュースで語ったように、ビデオ秘匿と外務省無視は当初から仙谷氏の意思であった。かくして仙谷氏の“独断外交”が始まる。氏は朋友、中国コンサルタントの篠原令氏を通じ、程永華駐日中国大使と事前調整を始めた。ある外務省幹部の言が残されている。「日中関係が緊迫したときに首相官邸が日本の外交官を信用せず、中国外務省に相談したことに衝撃を受けた」という。

 23日には前原外相が、クリントン米国務長官とニューヨークで初めて会談し、長官は、尖閣諸島が日米安全保障条約第5条の適用対象になるとの見解を表明した。

 24日には那覇地検が、処分保留で中国漁船長を釈放する。不起訴処分は検察の判断で然(しか)るべきだが、この判断に仙谷氏の政治介入があり、同氏が在日中国大使館に釈放を事前通報していたというのが、12月6日付毎日新聞のスクープである。仙谷氏は否定したが、25日未明の石垣空港には釈放された船長を中国機が出迎えに来ていた。スクープ当日には、テレビで先の篠原氏が「船長を釈放しなければ中国軍が尖閣に上陸し、戦争になっていた」と擁護した。

 ◆独断外交の結果、中華風無視

 では、仙谷氏の目的は何かといえば、「平和の破壊者」をかばうことにあった。船長を釈放すると以後は公判が開けなくなり、ビデオ非公開事由が消滅してしまう。仙谷氏は速やかに動いた。29日、密命を受けた民主党衆院議員の細野豪志氏が訪中、篠原氏、須川清司内閣官房専門調査員とともに、戴秉国国務委員(副首相級)、中国外務省幹部らと7時間会談する。中国側は「衝突ビデオ非公開」「仲井真弘多沖縄県知事の尖閣諸島視察中止」を要求し、仙谷氏がこれをのんで、民主党はビデオの非公開を決定したとされるが、疑問が残る。映像を見せて非公開の要求を中国側からあえて引き出したと見る方が自然であろう。

 仙谷氏の努力の結果として、翌日フジタ社員3人が解放され、10月9日にはフジタ社員の残る1人も釈放された、かに見えた。ビデオは無事隠匿され、仙谷官房長官は「平和社会」が守れたと得意顔だった。だが本当に効いていたのは密約の方ではなく、クリントン長官の表明の方であった。メンツを潰(つぶ)されたと感じた中国は29日、ASEAN(東南アジア諸国連合)関連会議への出席でハノイ訪問中の温家宝首相が菅首相と会談しないと伝えた。そして議場で、尖閣諸島は中国領だと強引にも宣言、菅首相に中華風無視の態度をあからさまに示したのである。

 その後は周知のように、11月4日、映像の前半部分がインターネット動画サイトに流出した。ビデオ非公開の意味は完全に消滅し、仙谷氏は処罰しろと怒りまくったという。結局、日本側の対応は、仙谷氏主導の外交によりビデオ隠匿を主目的として展開された。これは、日本国民の誇りを汚し、中国の攻撃的姿勢でほころびた「平和社会」を必死で繕おうとした、ある「地球市民権力者」の専横の笑うに笑えない記録である。(ふるた ひろし