エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

しばしの別れ コハクチョウの北帰行

2009-02-12 | 自然観察
            【コハクチョウ北帰行間近 猪苗代翁島にて】
 
信州では、もうコハクチョウの北帰行が始まったようだ。
 今シーズンも何度かハクチョウとの交歓があった。鳥インフルエンザ問題の影響で、皆がハクチョウを心配して過ごした冬だったのではないだろうか。ハクチョウも少し大変だったかも知れないが、大自然の流れに餌付けは要らないのかもしれない。でも、孫を連れて何度か水鳥たちに会いに行った。愛鳥の心も大切だが、大自然の一端に触れさせ、美しさ、厳しさを教えたいからだった。
 あまり人のいかない笹山浜にお別れに行った。静寂に水鳥の声が響いていた。湖面のさざ波にコハクチョウが流されていくように浮かんでいた。まだハネが灰色の幼鳥もいる。長い旅立ちを前にして、準備運動なのだろうか。あちこちで、さかんに羽を広げる仕草をしていた。いつも愛くるしい水鳥たちとの別れはさびしい。

磐梯山をバックに飛翔する姿を写真に撮りたいと思っている。翁島の田に行くと、雪が溶けた畦に集まって並んで休息していた。シベリアを目指し旅立つコハクチョウたちの無事を祈った。シベリアはどんな自然景観なのだろうかと想像した。これからの元気で帰れよと叫んだら、「分かったよ、また寒くなったら来るから」と答えてくれた。なぜこんなにも切ない気持ちになるのだろうか。

 いつ、どんな時にも磐梯は麗しく聳え、こころ癒される。
 啄木の句を呟く。これ以上の表現はない。
”ふるさとの山に向かいて言うことなし ふるさとの山はありがたきかな。”


<■ふるさとの山はありがたきかな ■>
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