エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

寺田寅彦の示唆に富む警鐘

2012-03-24 | 文芸

    ”大震災あれから巡り竹の秋

  書斎からながめる春は、まだ浅い。小雨に濡れる椿の緑と黄ばんだ竹の葉が風に揺れている。

「竹の秋」は春の季語。親の竹は、新緑の時期に葉っぱが黄色く枯れたようになり、終には落葉する。まるで秋の紅葉のような現象を「竹の秋」と言う。

庭の黄ばんだ竹の葉は、春を迎える明るさに影を落とす一抹の寂しさを感じさせた。

 そんな肌寒い早春の庭をながめながら、寺田寅彦随筆集を持ち出し、目次から「天災と国防」、「災難雑考」などを拾った。

そこには、地震の「現象」は止められないが「災害」は注意次第で軽減しうること、さらに文明が進むほど自然災害は甚大となる事実、

「安政地震」とは事情が全く違うこと、また、事故の責任の取り方や検証の意義、

気象学的地球物理学的に絶えず脅かされる運命に置かれる日本であることを一日も忘れてはならないことなど、

もう80年も前の物理学者の震災への示唆に富む警鐘があった。天災は忘れた頃に来たのだ。

 

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