今年の残暑は厳しい。
朝夕大分涼しくなったが、日中の太陽は真夏と同じ、季節が止まったようにも思える。
今日も、マダラナニワトンボに会いたい一心で、里山へ出かけた。
やはり、秋の訪れを感じる。林道脇のクモの巣に犠牲になったトンボが巣に磔になっていた。
トンボ池は相変わらずオオルリボシヤンマの楽園だった。
飛翔するトンボの撮影を何度も試みる。数打てば当たるが、習性を飲み込んで、何とか連写するが、なかなか難しいものだ。
単独で産卵を繰り返すオオルリボシヤンマにときどきオスが邪魔をする。
産卵 ♀
♂ ♂
気づけばいつしかチョウトンボもいなくなった。クロイトトンボもオオイトトンボも姿を消し、ペアになったアオイトトンボがアシの間をスイスイ飛び交っていた。
産卵 ♂
キトンボが出始めた。この辺りはノシメトンボ、マユタテアカネが多い。
マユタテアカネ
ノシメトンボと少し違う。リスアカネではないだろうか。?
キトンボ
ギンヤンマ♂飛翔 ノシメトンボ
静寂の水面に蜂が吸水に止り、池の端の草むらにはウラギンヒョウモンが産卵していた。
歩いて移動しながら、腹部を垂直に立てて、土や枯れ枝や草に産卵している。彼女らの食草はスミレ類、間違いなく近くにあるのだろう。
ウラギンヒョウモンの産卵
付近のクマザサの回りをゴイシシジミが舞っていた。なかなか止まらず、ササの葉もきれいだ。
彼女は、ササの葉に寄生するササコナフキチュノアブラムシを探しているのだ。どうか見つけて早く産卵して欲しいと願った。
寒地でも、2,3回発生するようだ。
ゴイシシジミ
こうした例年の光景にも、待ちわびている黒い赤トンボは姿を現さない。例年に比べてもう10日以上も遅れている。
生息環境はデリケートだ。ほんのわずかの環境の変化で営々と続く種の存続が脅かされる。
いろいろな種の絶滅が報じられるが、もっと真剣に受け止めなければならないのではないか。
チョウやトンボにとって、当たり前の条件が整って初めて来年の種の存続が維持されるのだ。
黒い赤トンボ、マダラナニワトンボは絶滅危惧第1類に分類され、貴重な昆虫である。何としてもその生息を守らなければならないと思っている。
いつも立ち寄る池に行くと、この干ばつの影響で水位は多分1メートルくらい下がっているのではないだろうか。
普段の岸からは分からない浅瀬の砂地が十数メートルくらい地面が現れていた。
何となく磯の香りがする狭まった水面まで踏み込むと、大きな二枚貝が転がっていた。
いくつか見つかるカラスガイのような大きく、薄い貝殻は風化していて弱く、大分以前の産物ではないかと思われた。
近くの林に、ほおじろの親子がきた。怖さを知らない子供を気遣って親が盛んにさえずっていた。
ホオジロ 幼鳥親
一瞬、この暑さのなか季節を間違えそうだったが、山道の両脇にススキの穂が輝き、虫の音も聞き、ほどなく秋の季節を迎えるわびしさがただよっていた。
ソバの実も黒くなる イガも膨らむ
キンエノコロ 秀峰磐梯 ススキ揺れ
会津盆地に実りの秋
秋の入り口、残暑厳しい里山に、今日も興味をそそわれる自然観察ができた。