毎年の出前授業、B小学校で、新しい5年生の授業「総合学習」に出かけた。
先ずは、「昆虫じーちゃん」の自己紹介を兼ね、昆虫少年だったころの話しから始めた。
例年は、7月はじめの授業でヒメシロチョウの感動の産卵の様子を観察していた。
今年は何故いまの時期か・・・昨年秋から飼育していたヒメシロチョウの蛹が冬を越し、そろそろ羽化しそうだ。
この蛹を前に、何とかみんなに羽化の様子を見せたいと思った。
とはいえ、丁度の羽化の瞬間んどは無理な話、目的はいつも同じ、ふるさとに生息するヒメシロチョウを知ってもらう授業だ。
昆虫について、何枚もの写真で話した。
中心はヒメシロチョウ、食草のツルフジバカマを植えた鉢4つを持参、それぞれに蛹の付いた枯れた茎を添えた。
教室では3人グループで鉢を囲み、蛹やツルフジフジバカマをスケッチさせた。
ツルフジバカマは昨年採っておいた種の鞘を割り、種を取り出させた。
全員が意欲的で、家に帰って種を蒔くという。
観察を終えた鉢を教室にプレゼントした。おそらく数日中に羽化するチョウを見て欲しかった。
ツルフジバカマは、学校の中庭に移して、成長の様子をときどき見てもらうようにした。
やがて花を見て、種を取って、来春の芽吹きまでを身近で観察してほしい。
13名の5年生、2時間の授業は楽しくつかの間に過ぎ去った。 生徒たちは、熱心で積極的に質問も飛び、興味を持ってくれた。
前半の話しをしたところで、窓を見ると雨はほとんど落ちていない。野外へ出ることを決定した。
野外観察は、まず、事前調査の際に気づいた土手のオクウスギタンポポを観察から始まった。
だが、事前に確認したはずの白いタンポポがなかなか見つからない。ようやく雨で開きかけの1株を見つけ、ついでにエゾタンポポとセイヨウタンポポの区別などを話した。
途中、雨が落ち始めN先生は乗り気でなかったが、傘を持ちに戻り、野外観察を続行した。
約200mの目的のツルフジバカマの野原へ向かうと、赤い枯れた茎の間のあちこちに5~6cmの新芽が出ていた。
途中の道路沿いのナズナやハコベ、ノジスミレ、ヒメオドリコソウなどを、摘んだりメモを取ったりしながら熱心に観察して歩いた。
教室に戻ってのまとめ ○生物多様性について ○森林生態系について、そして○ヒメシロチョウを保護について かみ砕いて話した。
最後に、机で学ぶ勉強も大切だが、今日の自然観察のように、実際のものに触れ、体験することが大事なこと、いつも自然に目を向けてと話した。
残念ながら、ヒメシロチョウには会えなかったが、我が自作のパンフレットでヒメシロチョウを詳しく学ぶことができたと思っている。
こうした小学校での授業は,考え抜いた保護の具体的実践の一つだ。
これまでの3年で30数名がふるさとの貴重なチョウを知ったはずだ。
自分たちの地域で,絶滅の危険性が高い(絶滅危惧第1類)ヒメシロチョウが生息していることを知ること。
そこから興味関心が高まり、保護の思想が生まれるはずだ。
今日の拙い授業から子ども達の自然への興味・関心が少しでも高まってくれればと思う。
授業後のいつもの感想である。