都月満夫の絵手紙ひろば💖一語一絵💖
都月満夫の短編小説集
「出雲の神様の縁結び」
「ケンちゃんが惚れた女」
「惚れた女が死んだ夜」
「羆撃ち(くまうち)・私の爺さんの話」
「郭公の家」
「クラスメイト」
「白い女」
「逢縁機縁」
「人殺し」
「春の大雪」
「人魚を食った女」
「叫夢 -SCREAM-」
「ヤメ検弁護士」
「十八年目の恋」
「特別失踪者殺人事件」(退屈刑事2)
「ママは外国人」
「タクシーで…」(ドーナツ屋3)
「寿司屋で…」(ドーナツ屋2)
「退屈刑事(たいくつでか)」
「愛が牙を剥く」
「恋愛詐欺師」
「ドーナツ屋で…」>
「桜の木」
「潤子のパンツ」
「出産請負会社」
「闇の中」
「桜・咲爛(さくら・さくらん)」
「しあわせと云う名の猫」
「蜃気楼の時計」
「鰯雲が流れる午後」
「イヴが微笑んだ日」
「桜の花が咲いた夜」
「紅葉のように燃えた夜」
「草原の対決」【児童】
「おとうさんのただいま」【児童】
「七夕・隣の客」(第一部)
「七夕・隣の客」(第二部)
「桜の花が散った夜」
落語の「花色木綿」を御存知ですか。
「広い庭のある家に侵入しろ」といったら公園に忍び込み、「電気がひいてあってこじんまりしたところを狙え」と言われたら交番に盗みに行ってしまうような間抜けな泥棒が主人公。
兄貴分にも見限られ「泥棒を廃業しろ」と宣告された泥棒は、何とか自分の実力を証明しようととある長屋に忍び込む。ところが、物色している最中に何と家人が帰ってきてしまった。
あわてた泥棒はひとまず縁の下にもぐりこむ。入れ違えで入ってきた家人(八五郎)は、荒らされた室内を見るやものすごい勢いで部屋を飛び出し、何故か家主を連れて戻ってきた。
実はこの男八五郎、家賃を払えずに困っていたのだが、たまたま泥棒が入ってきたのをいいことに『泥棒に入られ金を持っていかれたから』と家賃を免除してもらおうと考えていたのだ。
八五郎からインチキの事情を聞いた家主は、「被害届を出すから」と彼に何を盗られたのかと質問をいたします。
あせった八五郎は、家主が羅列した『泥棒が盗って行きそうな物』を総て盗られたといって急場をしのごうとした。
ところが、途中で布団(裏地が花色木綿で出来ていた)が出るや、花色木綿が着物の裏地の一種だと知らない八五郎、それ以後に家主が挙げた洋傘や紋付、果てはタンスに至るまで総て「裏が花色木綿」と答えてしまったため話はどんどんおかしくなり、おまけに八五郎のインチキ話に激怒した泥棒が飛び出してきたため嘘は見破られてしまう。
結局、見つかってしまった泥棒は、家主に泥棒に入った理由を訊かれ、以前兄貴分に教わったとおり「出来心で」と答えて許してもらう。次に八五郎がインチキ話をした理由を訊かれ「つい、出来心で…」。おあとがよろしいようで・・・。
ということで「花色木綿」は出来心のことをいうのですが、噺が古すぎましたね。
ちなみに、この「花色木綿」の花の色、どんな色だかお分かりですか。ピンクだとか赤を想像した人は、八五郎を笑えません。
ではどうしてブルーを「花色」と呼んだのでしょうか。
実は花色の「はな」とは、「はなだ」という植物の名前の変化したものなのです。
「はなだ」は「縹」と書き、露草の別名なのです。青い露草からつくった染料で摺り染にした色を「はなだいろ」と呼んだのです。
ブルー・ジーンズの少しさめた色を想像していただければよいと思います。
花色に染めた木綿の布は、丈夫で色落ちせず、着物の裏地に良く使われたのだそうです。
したっけ。