年寄りの漬物歴史散歩

 東京つけもの史 政治経済に翻弄される
漬物という食品につながるエピソ-ド

沢庵漬の名称と文献2

2006年04月24日 | タクワン
農業全書 宮崎安貞 1697(元禄10)年刊
干し大根10月の末、いまだ寒気の甚だしいくない時に(大根を)抜き洗って,ヒゲ根を取り去り、2把をくくり合わせ、軒下あるいは樹木のまたに掛け干し,又は竹木をわたし掛けて干すも良い。シシビに干たる時もみなやしもとの如く干し、二三度各の如くしてその後よく干しそこないようにして、コモに包み、湿気なきところにおさめ置き,折々出し干棚にて干してカビのはえないようにすべし。または極めて良く干してつぼに入れ、口を封じ置き,梅雨前に取出し、少し干してまえの如く壷に入れ置くべし。また,良き程干したるとき,盤の上に置き、横槌にてしっかりと打ち付けておくも味が良い。打つときは(大根)頭より尾の方へ打つ方が良い。(大根の)甘味が尾まで行き渡ることになる。初めまず揉み上げ和らげその後打っても良い。
 又漬物にする事、糠に漬け、味噌に漬け、其の他漬け様色々ありてどれもおいしく家事を助け利益多いものなり。
 また、中国(地方の人)は国によっては多く作って、根葉も漬け置き、冬中これのみ菜(野菜の代用)に用いて朝晩のおかずとしている。最も飢えを助けるものと言う。このように山野の植物の中で大根に勝るものは少ない。土地があるときは必ず余分に作るべし。
 一種小大根あり,野生の大根で正月に掘って漬物とする。伊吹菜またはねずみ大根と云う。その大根はねずみの如く細い。近江・伊吹山にあり、そこの名物である。干し(ねずみ)大根の方法は良い大根を寒中30日の間木または枝の間に縄を引いてそれに掛け干し、その後は前と同じ方法で干し置く。とっても味が良い。
参考
シシビ 干し肉を刻み、麹(こうじ)と塩に漬け込んだもの。
小大根とは西国にての呼び方、はだの大根は小大根より少し大なり。
 宮崎安貞1623~1697(元和9~元禄10)近世の三大農学者の一人
九州・山陽道・畿内などの農業事情を見聞する旅を行い,先進地域の農業技術を実地に移すべく農書の刊行を行った。

当時、西日本はまだ大根の糠漬・沢庵漬を知らなかったとも言えるので記述がなかったと思う。今の鹿児島県山川漬・山口県寒漬の製法と農業全書の漬け方と似ている。


コメント
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