年寄りの漬物歴史散歩

 東京つけもの史 政治経済に翻弄される
漬物という食品につながるエピソ-ド

沢庵の着色料 オーラミンの禁止

2006年04月11日 | タクワン
 明治時代、ドイツから輸入されたタール系色素は石炭を原料とする着色料で、安価なうえ、着色力も強いところから、食品加工に盛んに使用されていました。しかし、このタール系色素を含んだ食品を長期間摂取すると肝臓、腎臓障害を起すという毒性があるため、欧米では徐々に使用を規制し、米国で現在使用が認められているのはほんの少しだけです。日本でもかってタクワンやバターを黄色く色付けするのに使われていたバターイエローやオーラミンなどのタール系色素に発がん性が確認されて使用を禁止されたこともあり、科学的な研究が進むにつれて、食品の人工的な着色は制限されつつあるのが世界的傾向です。

主婦連 
戦後、昭和25年にたくわんの黄色は安全か(有害なオーラミンでした)、暮らしの不安や疑問などが多く寄せられたくあんの着色料オーラミンの使用禁止運動に取り組みました。
1953年(昭和28)6月有害着色剤オーラミンの使用禁止について要望し、人工着色料オーラミン使用禁止になりました。オーラミンはなくなっても人工着色した食品は依然として存在しています。

なぜ、タクワンが黄色いか解っていない。単に売れるから着色しただけでない。他に色々な着色でもいいはず。その着色の歴史が語られていない。

昭和30年10月10日 読売新聞 編集手帳より
市場や百貨店に並んでいる新しい沢庵、オーラミンの黄色い色で着色されうまそうに見える。タクワンをうまそうに見せるため有害オーラミンを使ったのを取締当局がいくら取締ってもオーラミンを使ったタクワンは市場から姿を消していない。
 なぜ有毒着色のタクワンを売るのかといえば、あれに色つけないと買い手がいないと言う。そういう如何にも買い手のほうに罪があるいいかただ。
 一時は売れなくなっても、消費者の方でまもなく毒のない安全なタクワンとわかったら売り上げは間もなく回復することは必定だ。
 (コメント)この記事の筆者は当時のタクワンのことを知らなかった。昭和30年当時、すでに”オーラミン“は食品に使用禁止になっていて、市場には出回っていなかった。従って、業者の反論の投書を載せざるをえなかった。
昭和30年10月14日の読売新聞への投書
去る10月10日、は本誌・読売新聞(編集手帳)に市場や百貨店に並ぶ黄色いタクワンは、有害なオーラミンを使用したので食べると中毒を起こすとあたかも、黄色いタクワンが有害であるかのように印象を与えたことは誠に遺憾で、この様な誤解を訂正するため、全国タクワン業者を代表して、事実を基礎として反論する。
 現在、市場に出回っている早漬け沢庵や一般のタクワンに使っている黄色染料は、すべて国家が食用着色料として許可したもので、すなわち食品衛生法第6条に基づく省令3号に明確に黄色タートラジンを許可する旨明記してあります。
(コメント)タクワン業者の意見は新聞の記事の反論になっていない。要はタクワンにどうして黄色く着色するのか?ということに説明がなっていない。着色許可されても使用しなくても良いはず。事実、江戸時代は人工着色料がなかった。
 今でも、添加物使用を騒ぐ本は危険性を説くだけでその使用の歴史をただ(食品を売らんがため)と結論している。単にそうだろうか?
コメント
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