年寄りの漬物歴史散歩

 東京つけもの史 政治経済に翻弄される
漬物という食品につながるエピソ-ド

中韓のキムチ本家論争に日本から参戦 4 日本でのガラス瓶入りキムチの普及

2021年01月26日 | キムチ
さてこれから1988年ソウルオリンピック前から始まったのキムチに関しての日韓のキムチ本家バトルを書きたい。
 関東での韓国キムチの瓶入りが売れ始めたのが、昭和の終わり頃だった。はっきりとした記憶が無いが1980年くらいだろうか。もう少し後からかもしれないがこの当時、ガラス瓶入り韓国キムチを日本・関東地方で大いに販売していた業者が3社あって、二つは韓国人系(株)三輝と永盛ジャパン で一つは日本人の韓国水産物貿易の余業として乳業会社の冷蔵庫を利用して冷蔵コンテナでキムチを日本に運び、細かく取り扱い業者を増やしていった(新宿・小島屋物産)。今では日韓関係の悪化や乱売等の荒波を乗り越え川崎市の三輝だけが生き残った。永盛ジャパン社はまだブランドは残っているようだが記憶では韓国での製造者が放漫経営で危機となり、一時欠品して他の韓国系業者に販路を取られたようだ。漬物の栄枯盛衰の歴史は記録を残さないと記憶から消える。
 ここでは韓国キムチの拡販努力した小島屋物産のHさんのことを書きたい。キムチのブランドは(キムチの金さん)であった。なぜ金さんというブランドの由来を聞いたことがある。韓国の名字は日本と違って圧倒に少ない。日本ではNHKで名前の由来だけでTV番組が出来る。ところが韓国では少ない。
金という名字が多く、親族間の結婚が制限されているので、同じ苗字の恋愛は系統を調べないと恋が出来ない。日本は3親等までで、いとこ同士の結婚は法的には許される。日本史で一番初めの流罪となったのが女性で同じ母の兄と妹の不倫だった。
 Hさんは魚等の販売から各貿易会社と付き合いがあり、マグロ漁船の隅に日本食品を積み込みでグアム島貿易の納品漬物業者と知り合い、関東の漬物業者へ広がった。韓国系のキムチ取り扱い業者は韓国人の焼肉関係に販売していて、関西では売れていても、朝鮮人差別感のある関東では一般の日本人経営の食品店には納品できなかった。主な理由は戦後の混乱期のイメ-ジが残っていて、食のクレ-ム対応が期待できなかったこともある。特に瓶詰は割れたガラスで口内を切ったというクレ-ムやエビなどの海産物(韓国では入れるのが常識)がキムチに入っていて、慣れない日本人が味付けの目的のエビを虫の混入(異物混入)と騒いだこともあった。今はプラスチック容器となり、さらに海産物は日本人向けキムチに入れないように指導し、足りない風味は調味料でカバ-しているようだ。初期のキムチ販売は夏から始まり、小島屋物産から冷蔵車で来て冷蔵庫に保管しても、漬物輸送のトラックが冷蔵車でなく、温度管理ができない問題があった。そこで築地市場の中で廃棄していた発砲スチロ-ル製のリンゴ箱を確保し、その中に12個入りのキムチを2箱いれ、冷凍した保冷剤・時にはドライアイスを入れ、得意先まで輸送し、得意先の冷蔵庫に入れた。(築地市場には発砲スチロ-ルの魚箱があるが臭いがあって再使用は無理だった)この間温度が10°Cを超すと発酵が進み、場合によっては密封したビンが破裂する恐れがあった。破裂対応で空気の洩れる余地を残した包装に変えた。従ってキムチを横倒しに運ぶと、汁漏れするものがあった。またキムチのクレ-ムでシンナ-のような臭いがあるというクレ-ムがあった。これは難儀した。押し蓋の無いガラスビン入りキムチは表面にカビのような感じのするものが出来ることがあって、製造時にアルコ-ル殺菌・今のコロナで手洗いするアルコ-ル噴霧をキムチの表面にかける。開封時にアルコ-ルが消えるが稀に過剰に噴霧した食用アルコ-ルが化学反応してシンナ-のような臭いがする。しかし開封して時間が経つとシンナ-のような臭いが消えるのでクレ-ムを言った人が嘘を言ったと疑われる。そこで新規に開封していないキムチの開封するとシンナ-のような臭いがして、クレ-ムを言った消費者の冤罪を解決した。韓国の発酵したキムチに慣れなく、加熱キムチしか知らない日本人に本場のキムチの常識をHさんが日本人食料品店に売り方と管理の仕方を教え、販路を拡大した。日本人経営の食料品店向けキムチ販売の初期の話で今はこの様な対応は昔話となり、業界の古い人しか知らない。販売実績が上がると、美味しさと輸送方法の工夫が伝わり、日本人の漬物業者が韓国のビン入りキムチを取り扱うようになった。同時に多くの日本人経営の食料品店に韓国製のキムチが並んだ。小島屋物産の営業努力が無ければ今日のキムチ売り場になるのは88年のソウルオリンピックの後になったかもしれない。この頃から販売デ-タ解析が始まっていたので、営業が口先でなく客観的に韓国製ビン入りキムチが数字で売れていることを示せていた。そこにも日本の特有の予期しないことが待っていた。
5に続く
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする