■『雪まろげ 古手屋喜十 為事覚え』宇江佐真理/新潮文庫を読み終えた。
浅草で古手屋を営む喜十とおそめ夫婦には子どもがいなかったが、店先に置き去りにされていた赤ん坊、捨吉を育てている。
「髪結い伊三次捕物余話」は仲のよい夫婦の子育て物語としても読むことができた。「古手屋喜十 為事覚え」もまた子育て物語としてシリーズ化することが意図されていたとも思われるが、作者が亡くなってしまったため、作品は2冊のみで続編が書かれることはなくなってしまった。髪結い伊三次より、好みのシリーズになったかもしれず、なんとも残念だ。
この際、宇江佐作品を集中的に読むことにする。で、次は『雷桜(らいおう)』角川文庫。
この作品について宇江佐さんは『ウエザ・リポート 見上げた空の色』のなかで**ただ、心の片隅には『雷桜』の原型らしきものは存在していた。(中略)ヒマラヤかどこかの山奥で狼に育てられた少女が発見されたというニュースを読んだ記憶があった。(後略)**(250、251頁)と書いている。私はこの「ウエザ・リポート」を入院中に読んでいた。
この原型をどのような物語に仕立て上げたのだろう・・・。