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透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

火の見櫓と秋葉様

2020-02-29 | B 石神・石仏


(再)塩尻市片丘 4脚64型 撮影日2020.02.28

 道祖神は集落の守り神として集落の主要な道路沿いに祀られていることが多い。元々は集落の入口(位置的には集落のはずれ)に門番、ゲートキーパーとして祀られたのだ。貧乏神や疫病神が集落に入ろうとするのを阻止する役目を負うて。その後集落が広がって、いつの間にかはずれではなくなったということだろうか。こうなると火の見櫓の立地条件と重なる。道祖神と共に二十三夜塔などが祀られていることも少なくない。

この火の見櫓は既に取り上げている。過去ログ

すぐ近くに火防の神様・秋葉大神が祀られている。火の見櫓と秋葉大神は最良の組み合わせだが、今まで秋葉大神(秋葉様)に注目していなかったので、既にこの組み合わせを目にしていたかもしれないが、記憶にはない。同じ石神でも道祖神には関心があるので、火の見櫓の脚元に道祖神が祀られていると、いつも気が付いていた。ちなみに左の蠶玉(こだま)大神は蚕の神様。過去ログ

          
 *  訓読み:かいこ、こ  

普段目にすることのない難読漢字だが、蠶玉様というのはお蚕(おかいこ)の神様のことだ、と近所の物知りなおじさんに昔教えてもらっていた。


 


なぜ迷う?

2020-02-27 | A 本が好き 



 渋谷駅が迷路のように分かりにくい、と先日書いた。なぜ分かりにくいのか? この疑問に答える本が見つかった。『なぜ迷う?複雑怪奇な東京迷宮駅の秘密』田村圭介(じっぴコンパクト新書2017)。

コンビニで注文していたこの本を今日(27日)受け取った。書店で注文すべきかもしれないが、コンビニは名前の通り「便利」。

東京の複雑なターミナル駅の空間の構造とその成り立ちについて書かれた本。駅を「切り貼り」構造、「立体」構造、井桁「構造」にタイプ分けし、それぞれのタイプについて具体的に論じている。

これはおもしろそう。 


 


1238 安曇野市穂高の火の見櫓

2020-02-27 | A 火の見櫓っておもしろい


1238 安曇野市穂高柏原 3脚8〇型 撮影日2020.02.24

 常念岳に向かって伸びる道沿いに立つ火の見櫓の姿が凛々しい。





見張り台の高さは約11.2メートル。屋根のてっぺんまでの高さは約15メートル、高い部類に入る火の見櫓。脚は短く、がっしりしている。接合に全てボルトを使っている。柱の接合には重ね継ぎ手ではなく、突きつけでガゼットプレートを介した接手が用いられている。



3角形の櫓に8角形の屋根という組み合わせは少ない。



脚部。美脚とは言い難い。だがトラス構造のがっしりした脚も好い。


 


33会の旅行

2020-02-26 | 旅行記

 新型コロナウイルスの感染者数が増加している。この時期の旅行は自粛する必要があるのかもしれない。が、33会の旅行を予定通り実施した。旅行と書けば大袈裟、静岡県の駿河健康ランドまで出かけ、温泉に浸かって(日頃の疲れを癒やして)、宴会で食べて飲んできた(今回も大いに盛り上がったことは言うまでもない)。今回の参加者は少なく、5人だった。

33会(中学の時、3年3組だったことに因んでつけた親睦会の名前。ずいぶん長い間交流が続いている)では1年おきに旅行に出かけていて、昨年の1月に出雲大社、足立美術館に行ってきた(過去ログ)。だから今年は旅行する年ではないのだが、1年おきだと後何回も行くことができないから、毎年行きたいという女性陣からの要望を受けて、今年も出かけることになったのだった。

Sさんの提案で駿河健康ランドまで出かけたのだが、信州健康ランド(長野道の塩尻北ICのすぐ近く)から無料の送迎バスがあり、往復ともそのバスを利用して行って来た。

多額の費用がかかるような贅沢な旅行ではない。でも、気の置けない仲間がいて、楽しく旅行ができる、こんなうれしいことはない。

33会、次は暑気払い。







「あ、船だ!」海なし県育ちは、泊まった部屋の窓から見えるこんな風景に感動する。だから写真を何枚も撮ってしまう・・・。


 


「日本の民俗宗教」

2020-02-25 | A 本が好き 



『民俗学』宮田 登(講談社学術文庫2019)を読み、続けて『日本の民俗宗教』松尾恒一(ちくま新書2019)を読んだ。

**古代から現代まで、数々の外来の文化の影響を受けて変容し形成された日本の民俗宗教を、歴史上の政治状況、制度の変遷とともに多角的に読み解く。**とカバー折り返しの本書の紹介文にある。

ただ字面を目で追うだけ、内容が頭に入ってこなかった・・・。民俗学に関する基礎的な知識を持っていないと理解することが難しい、ということなのかもしれない。途中で投げ出そうかとも思ったが、なんとか「読み終えた」。

**本書では、日本の民俗的な信仰が、日本の風土や精神性から自ずと形成されたわけではなく、古代より海外との関わりの中で、ときに国難を乗り越えるための政策として制度化され、寺院や神社といった宗教施設のみならず、自然や村落の景観を形成する上で大きな役割を果たしたことを主眼とし、それが現在にどのように継承されているかについて考えてきた。**(あとがき 227頁)

あとがきのこの件(くだり)を読んで、「そうだったのか・・・」。

読解力乏しい私ゆえ、こんなこともあるさ。 


 


1236 安曇野市穂高の火の見柱

2020-02-24 | A 火の見櫓っておもしろい


1236 安曇野市穂高田中 1脚無〇型 撮影日2020.02.24

 立春も過ぎて暦の上だけでなくすっかり春になった。そろそろ火の見櫓巡りを本格的に再開したい。今日(24日)は穂高方面へ所用で出かけたが、ついでに火の見櫓も見てきた。

これは防災行政無線柱に見張り台を付加し、半鐘も吊り下げたと解すべきかもしれないが、もちろん1本柱の火の見櫓、即ち火の見柱と捉えることもできる。だが、昔からある火の見櫓とは違い、存在感がありすぎて風景によく馴染んでいるとは言い難い。





田中地区の公民館の2階までは螺旋階段を付けているが、それから上は梯子になっている。鋼管柱に付けられた梯子を登り降りするのはかなり怖いはず。見張り台まで螺旋階段を設置することが望ましいが、景観上は梯子の方が好い。どちらを選択すればよいか、判断に迷う・・・。


 


朝カフェ読書

2020-02-19 | A 本が好き 



 一週間単位で生活のリズムを刻んでいるが、火曜日は朝カフェ読書をすることが多い。退職してサンデー毎日になったらどうなるだろう・・・、一週間単位の生活ができるだろうか。今日は何曜日だっけ?なんてなりはしないだろうか。

昨日(18日)朝カフェで読んだのは『民俗学』宮田 登(講談社学術文庫2019)。先日東京駅前の丸善で買い求めた文庫本だ。

民俗学の学問的体系が分からないので、この本がどのように位置づけられるのかよく分からないが、総論的な入門書ということで良いのでは。ハレとケそしてケガレ、ムラとイエ、稲作と畑作、盆と正月などの章題で解説されている。週末の連休に読み終えることができればよいが・・・。


 


141枚目は火の見櫓巡りの先達

2020-02-18 | C 名刺 今日の1枚

 
141 堀川雅敏さん

 **長野県の火の見櫓の数は2,300基くらいという推測値があります。ある方が2004、5年に長野県内全域を調査して1,870基の火の見櫓を確認し、発見率を80%として算出したという数です。**(『あ、火の見櫓!』25頁)このある方というのは松本市在住の堀川雅敏さんのこと。

「長野県にはどのくらい火の見櫓があるのか」メディアで聞かれる度にこの数字を基にその後各地で撤去されていることを考慮して推測値を挙げてきた。

想雲堂のオーナー渡辺さんの紹介で幸運にも昨晩(17日)堀川さんにお会いすることができた。で、火の見櫓をめぐる対談をした。

対談の様子はいずれ紹介されることになる。その時はこのブログでお知らせしたい。

市民タイムス(2005年6月8日)に掲載された堀川さんの火の見櫓巡りのことを紹介する記事の結びに「地域のランドマークとしての機能も果たしている火の見櫓を大切にしてほしい」とある。この堀川さんのコメントに同感だ。

本を出してから、新たな出会いの機会が増えたような気がする。


 


カオス渋谷

2020-02-16 | A あれこれ考える

 「白山通りのいえ」でS君と建築談義をした後、連れ立って渋谷に出た。渋谷には何年も行っていないがその間にすっかり様変わりしている。渋谷の今の様子を見たかった。

渋谷駅は迷路、という印象があるが、今や渋谷駅の周辺も迷路のまちと化した、という印象。案内図を見てもまちを把握できそうにない。



雑誌『新建築』の2019年12月号に渋谷のまちづくりの特集が組まれている。その中の「複雑な都市基盤の更新」という小見出しの記事に渋谷の谷地形を繋ぐ横方向の「スカイウェイ」と縦方向の動線となる「アーバン・コア」の概念図が載っているが、これが渋谷の都市計画で実際にどのように実現されているのか(これから実現するのか)現地では把握できなかった。

「アーバンコア」は単なる移動動線用の狭いスペースに過ぎず(と決めつけてしまう)、大勢の人の移動をきちんと捌くことが機能だとすれば、それは無理ではないか。渋谷スクランブルスクエアの「アーバンコア」に立って、そう思った。

**戦前からの都市の骨格が現代においても変わらず、自然発生的にまちが広がることで生まれた渋谷のダイナミズム。これを壊さずに、まちを再構築するためには(後略)**(「新建築201.12」049頁)

要するに混沌としたまちに秩序を与えようという意図の無いまちづくりがすすめられているということなのだろう。

カオス渋谷はカオスのまま、それが渋谷らしさだよねということ。崩れてしまったかのようなカーテンウォール(下の写真)はこのことを表現しているのだろう。

車にもバスにも定員があり、観光地にもキャパがある(この頃、京都などの観光地ではキャパオーバーによる混乱が起きていると聞く)が、渋谷の駅周辺にも鉄道や屋外空間なども含め、総合的に捉えた場合のキャパがあるだろう。高層の商業ビルが何棟も出現しているが、もうとっくに渋谷のキャパを越えてしまっているのではないだろうか。渋谷カオスの根本にこのことがあるように思う。すり鉢の底のような渋谷の地形的な特徴もカオスと関係しているという指摘もある。だからこそ「スカイウェイ」が構想されたのだろう。でもねぇ、地形まで建築的に何とかしてしまおうなんて発想には無理があるんじゃないかな・・・。



昔、江崎玲於奈氏だったか、が理想的な組織についてオーガナイズドカオス(Organized Chaos)という概念を提示して説明していたことを思い出した。都市然りではなかろうか。渋谷にあるのはカオスであって、オーガナイズドカオスではないなぁ。渋谷を再訪すれば印象が変わるのかな。

渋谷ヒカリエや渋谷スクランブルスクエアをうろついてから、新宿駅に向かうために渋谷スクランブルスクエア3階の改札口(たぶんそうだと思う)から山手線の乗り場に行こうとして、間違えた。「U1さん、そっちじゃない!まっすぐですよ」僕を見送ってくれていたS君が声をかけてくれなければ、帰りのあずさに乗り遅れただろう。判断力の低下、いや、夕方の大混雑で前がよく見えなかったから分からなかった、と言い訳しておこう。

ああ、カオス渋谷。


 


白山通りのいえ・版築のいえ

2020-02-15 | 建築・歴史的建造物・民家



 久しぶりに大学の後輩S君を「白山通りのいえ」に訪ねた。いつの間にか隣にマンションが建っていて『新建築』に掲載されたころとは様子が変わっていた。モダニズム建築は均質化、規格化された材料によって構成されるがS君が手がけている建築は色にばらつきがあり、寸法にも誤差がある材料を許容する(*1)。


*1 S君が昨年フランスから持ち帰った床タイル 

「白山通りのいえ」の外壁は左官仕上げだが(メモしなかったので詳しく説明できないが、確か地元の土をモルタルに混ぜて作った材料を使っている)、経年変化でいい表情をしていた。




設計室には版築のいえの模型が置かれていた。











「版築のいえ」は形も構造も独創的。設計を始めてから完成まで8年かかったと聞いた。『住宅特集』に掲載されている写真は美しいシーンを捉えているが、この住宅の魅力は写真に撮ることができない別のところにあるような気がする。

放射状に配置された版築にはモルタルを充填した竹の芯材(?)が等間隔に並べてある。これが構造上有効なのかどうか。版築は強度の実証実験もしたそうだ。

小屋組みの直交しない仕口は加工が難しい。大工さん泣かせの(大いに喜ばせる)構造だ。

彼はルーチンワークのように同じ手法を繰り返すようなことはしない。常にチャレンジする彼の姿勢に拍手したい。


 


西日暮里 諏訪神社の狛犬

2020-02-14 | C 狛犬



 12日は都内のホテルに宿泊した。翌朝、山手線西日暮里駅近くの諏訪(諏方)神社へ。久しぶりに狛犬を観察した。





江戸後期、1809年(文化6年)生まれの狛犬。古い狛犬は総じて彫りがすばらしい。 目や口に色を付けることで顔の印象が変わってしまっている。無彩色の方が好み、狛犬には彩色しない方が良いと個人的には思う。向かって右側が獅子、左側が狛犬だが、その狛犬の大きな角が折れてしまっているのは残念。


拝殿

 



拝殿前の青銅製の狛犬

この狛犬の来歴が台座に彫ってあるようだが、見落とした。やはり落ち着いてきちんと観察しなければいけない。この狛犬を紹介しているサイトを参照させていただいた。

文化6年(1809年) 石彫狛犬 れ組頭中にて奉納
大正12年(1923年)9月 関東大震災破損修理
昭和20年(1945年)5月 戦災破損修理
昭和43年(1968年)5月 青銅狛犬再建

神社の案内板の説明に**日暮里・谷中の総鎮守として広く信仰を集めた**とあるが、地元の人たちがこの神社を大切に思っていることが、この狛犬の来歴からもうかがえる。


 


140枚目

2020-02-14 | C 名刺 今日の1枚


140 東京の友人のひとり



東京国立博物館 平成館で開催中の「出雲と大和」展を観た。その後、湯島の小料理屋・ふくろう亭で友人と飲んだ。2016年の12月、この店で友人と飲んだとき、火の見櫓巡りの書籍化を勧められたのだった。あの時、ここで飲んでいなければ、出版することにはならなかったかもしれない。