■『ブータンに魅せられて』今枝由郎/岩波新書
週末東京、移動の電車のなかで読了。インドと中国に挿まれたブータン、この国のことは仏教国ということくらいしか知らない。先日書店でこの本を手にして読んでみようと思った。
著者の専門はチベット文化、鎖国状態に近かったブータンへの入国を何年もかかって果たす。新しい国立図書館の建設やチベット文字で処理できるコンピュータシステムの構築に尽力することになった著者が綴ったエッセイ。
日本は明治維新で千年以上もの長い年月をかけて培ってきた伝統文化を捨ててしまった。比してブータンは伝統文化を守りながら近代化を進めている。日本の常識はこの国の非常識、国に道路の建設を要望しながら熟考の末その要望を取り下げた地方の話題ひとつとってもそのことが分かる。
豊かな暮らしとは・・・、人生の充足とは・・・ これらのことを読む者に考えさせる良書。