信濃毎日新聞 2月27日付朝刊第一社会面より
■ 昨日(27日)の朝刊にこの記事が載っていた。昨年の秋に全国大学生協連が行った調査によると大学生の40.5%が読書にあてる時間をゼロと答えたそうだ。1日の読書時間は平均26.9分。下宿生の書籍購入費は月1820円。全国30大学の学生8930人の回答結果だという。
学生の間でスマートフォンが普及。ゲームなどのアプリに比べて、読書の優先順位が後退したためではないか、との分析も紹介されている。大学の授業などで本を紹介されることだってあるだろうに・・・・。
学生時代に環境工学のK教授が世界一流の頭能はすごいと評し、フランス生まれの細菌学者ルネ・デュボスの『健康という幻想 医学の生物学的変化』紀伊國屋書店(初版1964年)を紹介してくださった。早速買い求めて読んだことを覚えている(20代で読んだ本には水色のテープが貼ってある)。初読がいつか記録にないが、1978年9月に再読した記録がある。
**本書は世界的な細菌学者たるデュボス博士が、豊かな生物的知識を基にし、過去と現代、文明と未開、人間と動物、気象と人間など多角的に人類が病気と闘ってきた歴史を反省しつつ、透徹した思想により、本当の健康とはどういうものであるかを設問する。現代人におくられた秀れた健康論、人生論として万人におくる一級の書である。** このようにカバー裏面に紹介されている。
ルネ・デュボスの著作については松岡正剛氏も「千夜千冊」で取り上げている。(→こちら)
その中で松岡氏は本書について**ぼくが一番おもしろかったのは『健康という幻想』である。これは人類がどのように健康や長寿を求めたかという歴史を、ふつうなら病気の歴史にしてしまうところを、ひっくりかえして「健康幻想史」にしてみせたのだ。それを抗生物質の発明者が書くところが、デュボスのデュボスたるゆえんなのである**と書いている。
もう1冊『粗い石』フェルナン・プイヨン/大和書房(初版1973年)。やはり学生時代に確か英語の教授が「君たちは建築学科の学生だから」と薦めてくださった長編小説。
帯に**南仏トロネの僧院建設をめぐる純粋な信仰と赤裸な人間の罪とを抒情的瞑想のうちに描き切った傑作長編**とある。馴染みの無い世界を舞台にした小説で描かれている場面がリアルにイメージできず、読みにくかったことだけは今でも覚えている。
再読する機会はもう無いかもしれないが、共に残しておきたい500冊、いや200冊に入る本だ。