透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

四角い宇宙船

2008-05-31 | A あれこれ



「建築トランプ」の枚数は13×4+2(ジョーカーが2枚)=54枚、です。35枚目の今回はこれ、「星野富弘美術館」。星野富弘さんと彼の作品についてはここに書くまでもないでしょうから省略します。

群馬県みどり市にあるこの美術館の計画案はコンペによって選ばれました。1,200を越える国内外の応募案の中から最優秀に選ばれたのはヨコミゾマコトさんのこのトランプに描かれているユニークな案でした。

1辺が52メートルの正方形に詰め込まれた直径が5メートルから16メートルの円、その数は33個だそうです。廊下の無いこのプランは円形の部屋のお互いに接する部分に出入口が設けられています。

美術館が1辺52メートルの正方形だと知って、ふと「せんだいメディアテーク」を思い出しました。確か「せんだい」もそのくらいの大きさの正方形のプランではなかったかと。

残念ながら手元にはそのことを確認できる資料がありません。ネットで検索して「せんだい」の1辺の長さがおよそ50メートルだということは分かりましたが、正確な寸法は分かりませんでした。

ところでこの美術館の設計者、ヨコミゾさんは伊東豊雄さんの事務所のOBでせんだいメディアテークを最後に独立しました。彼の意識の中には当然「せんだい」の寸法もあって、それを意識したのかも知れないなどと勝手に思っています。ま、たまたま面積的に一致したのでしょう。

このコンペの審査委員長は伊東さんでしたが、「ヨコミゾ君、卒業祝いだよ」などと伊東さんが考えるはずなどもちろん無いでしょう。斬新なプランと薄い鋼板による構造はこの美術館のプログラムに的確に応えていて充分最優秀に値する、という評価だったんでしょう。

残念ながら私はこの作品を実際に観ていませんから軽率には書けませんが、写真などをみる限りどうも周辺の環境との乖離、違和感を感じます。そう内藤廣さんは「建築には環境との応答が必要である」と主張し(『建築的思考のゆくえ』王国社)、現代建築を地理的、歴史的な文脈と全く無関係、まるで宇宙船が降り立ったようだと評しましたが、まさにこの美術館は四角い宇宙船を思わせる外観ではないか、と思います。豊かな自然に囲まれた湖の辺に降り立った宇宙船を美術館のサイトのトップページの動画で見ることができます。→ http://www.tomihiro.jp/


「地理的な文脈に沿った建築、環境との応答」、「そんなの関係ねぇ~」ということなんでしょうね、きっと。 あの磯崎さんだって昔、神岡町役場で宇宙船をやりましたから。


 


つつむ

2008-05-30 | A あれこれ

♪しのび会う恋を
つつむ夜霧よ
知っているのか
ふたりの仲を

♪二人を夕闇が 
包むこの窓辺に
明日も素晴らしい 
幸せが来るだろう

♪亜麻色の長い髪を 
風がやさしくつつむ
乙女は胸に 
白い花束を


本文とは関係ありません

 先日「包む」をシリーズ化しようと思っているなどと書いて「しまった」。「しまった」と思ってももう遅い。「路上観察」「民家 昔の記録」「繰り返しの美学」「S君やみやーざさんとの会話」「夜のアルコールなブログ」「ブックレビュー」などのシリーズと同様時々書こう。

で、今回は「つつむ」がでてくる歌。

直ちに上の3曲が浮かぶ。偶然にも3曲とも恋の歌だ。こう懐かしい歌を挙げれば歳が分かろうというもの。

石原裕次郎は既に亡くなっているし、加山雄三はとっくに70歳を超えたおじいちゃん。「亜麻色の髪の乙女」は島谷ひとみがカバーしているが元々はGSのヴィレッジ・シンガースのヒット曲。メンバー達が今何をしているかなど知るよしもない。

ああ、一体今夜は何を書こうというのか・・・。「つつむ」シリーズ早くも危うし!? アルコール効果か?今回はこの辺で。


環境にやさしい生活

2008-05-29 | A あれこれ


 ▲グラフ1


 ▲グラフ2

               

 ▲グラフ3

 日本の食料自給率が30パーセント台にまで落ち込んでいることは時々マスコミでも取り上げますから、よく知られていると思います。では木材はどうでしょう。先日参加した「人と環境にやさしい住まいづくりセミナー」のプレゼン(グラフ1)によると平成9年に国内自給率が20パーセントを割り込んだとのことです。

このことから木造住宅に使用される木材の約8割は「外材」というのが実情だという理解でほぼ合っているでしょう。このような状況下にあって、セミナーを主催した長野県内のある会社で建設している木造住宅は約8割地元長野県産の木材を使っているとのことでした。

グラフ2は長野県に於ける林業関係従事者数の推移を示しています。セミナー会場で撮った私の写真が鮮明でないので判然としませんが、昭和40年には1万人を超えていたのその数は、平成17年には1,500人位にまで減少しています。

グラフ3には国産材に比して輸入材がいかに輸送エネルギーを要するかが示されています。欧州材を輸入するのに要するエネルギーは木材1立方メートル(m3)あたり原油220リットル(l)と読み取れます。

食料同様、日本の木造住宅(木造に限りませんが)がいかに環境に負荷をあたえて建設されているかが分かります。

このような状況を知ると県産材8割の住宅、地産地消住宅が何を意味しているのかが自ずと分かります。そう、森林保全に有効で輸送エネルギーをほとんど使わない「環境にやさしい住まい」というわけです。

日本の国土の約67パーセント、長野県では約78パーセントが森林でありながら(同セミナーの資料)あまり資源として活用されていないという現状はどう考えても不自然、不合理だと言わざるを得ません。食料も木材も自給率が僅か4、50年で今の水準に急激に落ち込んでしまったのは何故なのか、少しでも自給率を回復するにはどうすればよいのか・・・、私にはそこまで考察が及びません。

せめて「パスタ」ではなく「コメ」を食べ、「ビール」ではなく「日本酒」を飲む、そんな生活を心がけたいと思います、などと書いてはみましたが・・・。


*セミナー主催者の了解を得てプレゼン資料を掲載しました。


棟飾り

2008-05-28 | A あれこれ




民家 昔の記録 19800331 撮影 

このころは一眼レフカメラを使っていましたが民家の撮影には望遠レンズが有効でした。今回もサービスサイズのプリントをデジカメで撮りましたが光量不足かもしれません。

■ 高知県梼原町の民家は既に取り上げました。今回はその隣り村、東津野村高野(当時、20050201から津野町)の民家です。須崎から梼原までバスで2時間半かかったと当時の記録にあります。

破風の小さい入母屋造りがこの辺りの民家の特徴です。この民家には7つの針目覆があります。その上に竹の棟木(?)を架け渡しています。更に白い布の小旗のような飾りを3箇所につけています。こんな民家が山あいの村に点在していて感激したことを今でも覚えています。

梼原町には数年前に隈研吾さん設計の新しい庁舎が出来ました。林業の町に相応しい木造の庁舎です。見学に出かけたいと思いますが遠い・・・。





「行きずりの街」を読む

2008-05-27 | A 読書日記



■ 日曜日、ここで読書をして時間調整、それからあるセミナーに参加しました。『行きずりの街』志水辰夫、久しぶりの新潮文庫。書店に行くたびに気になっていた本です。

お気に入りブログの「チュウズディ食堂 シーズンⅡ」にこの文庫本の写真が載っているのを見て読むことに。

写真には写っていませんが帯には1991年度「このミステリーがすごい!」第1位、とあります。このミステリー、そして恋愛小説は昨年でしたか、書店で目立つようになった、と記憶しています。
隙間時間を読書に充てています。今回はこの辺で。


「ランボー 最後の戦場」

2008-05-26 | E 週末には映画を観よう



■ 今回の舞台はミャンマー。大型サイクロンに襲われて甚大な被害を被っても海外からの援助を頑なに拒否しつづけた軍事政権(ようやく受け入れを決めたようだが)の国、内戦が何年も続いている国。

少数民族を虐殺する軍隊、住民達が一瞬にして吹き飛ぶシーンが続く。とても正視できなかった。これはミャンマーの現実を伝えるためにつくられた映画だと理解すればいいのだろうか、それにしてもこれほど凄惨な殺戮シーンを描かなくてはならなかったんだろうか。これが本当にミャンマーという国の現実なんだろうか・・・。

映画のストーリーはシンプル。少数民族を支援するために医薬品など携えて集落に入ったボランティア団体が軍に拉致される。彼らを救出するために傭兵部隊と共に山の奥深くの集落目指して川を遡って行くランボー。現地でランボーが目にしたのはこの世の地獄だった。そして山中で展開する軍との壮絶な戦い。もう一度観ようなどとは決して思わない。

ムダに生きるか
何かのために死ぬか
お前が
決めろ

それにしてもこのシビアな選択肢はどうだろう。


 


佃島の「天安」

2008-05-25 | A あれこれ

                
■ 民家 昔の記録。今回は佃煮屋の老舗 天安です。1982年4月29日撮影。佃島も今はすっかり様変わりしたでしょうね。当時2枚に分けて撮った写真を上下に並べてデジカメで撮りました。スキャンしてパソコンに取り込んで加工する・・・、とてもそこまでする「ずく(信州の方言)」はありません。

店主から100年以上前の建築だと伺ったという記録があります。この天安は今でも当時のままの店構えで営業しているようですから(屋根の上の看板は更新したようですが)、もう築130年以上ということになるでしょう。軒下が暗くて見えませんが、出桁造りの風格ある商家です。

下の写真に注目願います。出入口の敷居ですが、実はこれ外せるようになっているんです。記録によるとこれはお客さんの出入りが楽になるようにとの配慮だそうです。一体いつ頃このようにしたのかは残念ながら分かりませんが、バリアフリーの発想を既にしていたのですね。


取り外しできる敷居!

この老舗はよく知られているようで民家の本にも載っています。


「民家のデザイン」川島宙次/相模書房 昭和61年発行

この店を訪ねてから既に26年。再訪してみたいと思っています。

日本三大・・・

2008-05-24 | A あれこれ



 「日本三大がっかり名所」なんていうのがあるんですね、知りませんでした。札幌の時計台と高知の播磨屋橋、それと那覇の守礼門だそうです。札幌時計台と播磨屋橋は実際に見たことがありますが「え、何、これがそうなの・・・」実にあっけなく、ま、確かにがっかりでした。

この国ではいろんなものの代表を「三大○○」と三で括る文化(?)があるようで(他国にもあるかも知れませんが)、ネットで検索してみると「三大○○リスト」がいくつもヒットします。

三大成人病「ガン、心臓病、脳卒中」 なにも、こんなものを例示しなくても、といわれてしまいそう。三人娘「美空ひばり、江利チエミ、雪村いづみ」古い!といわれそう。「巨人、大鵬、卵焼き」好きなもの、三大好物 これも古い!といわれそう。三大美祭「秩父夜祭、祇園祭、高山祭」 これならいいか。日本三景、御三家、三大夜景・・・と挙げていけばきりがありません。

  *****

建築トランプで姫路城を引きました。姫路城・・・、知りません、書けません。こんな本で俄知識を得て何か書いてみてもつまらない・・・。



で、三名城ってどこだっけ?と調べてみたのですが、これが定まりません。熊本城、姫路城、大坂城、名古屋城、そして松本城。

ひとつだけ取り上げるとすればやはりこの姫路城になるような気がします。ちなみに以前NHKで放送した「夢の美術館 世界の名建築100選」という番組では姫路城と松本城が選ばれていました。 
http://www.nhk.or.jp/yumebi/list/index3.html

残雪の北アルプスを背景に桜に囲まれる春の松本城、こんな美しいロケーションは他の城にはないですね。私が三名城を選ぶとすれば姫路城と松本城、それと・・・迷いますが美しい城として熊本城を挙げておきます。


祝 北京五輪出場決定! 女子バレー

2008-05-23 | A あれこれ

 柳本監督率いる女子バレー、北京オリンピック最終予選で今夜韓国に勝って5戦全勝、オリンピック出場を決めました。目標に向かって必死になる姿は、美しく感動的でした。

キャプテン竹下佳江のトスワーク、高橋みゆきの気迫あふれるアタック、杉山祥子の技巧的なプレー、素晴らしい!! 

今夜は缶ビール片手にTVでバレーボール観戦。北京オリンピックのバレーボール会場ってどんなデザインでしたっけ?

缶ビール2缶ですっかり酔ってしまって、アルコールなブログすら書く気力がありません。今夜は読唇じゃなかった、独身。

夜更かししてディープAの塚原愛(注、色っぽいNHKアナウンサー)を見ることに・・・。


「こぶしの上のダルマ」を読む

2008-05-22 | A 読書日記


不安な気持ちの時に読むとこころが落ち着く。これは医者でもある作家が処方してくれる「抗不安剤」だ。この作家のエッセイ集『冬の水練』を取り上げたときこう書きました。

『こぶしの上のダルマ』の解説で文芸評論家の池上冬樹は**生きてあることの苦しみと哀しみと辛さの膜を、一枚一枚はいでいってくれるような謝意を覚える。**と書いています。更に**ある読書会で出会った南木佳士ファンの女性が〝南木佳士は常備薬なんですよ〟と言っていたのを思い出す。**と続けています。

そう、女性ファンと全く同じです。私にとっても南木佳士は常備薬です。繰り返し繰り返し同じことを書いていることを承知の上で文庫が出るたびに買い求めて読んでいます。

「稲作問答」 七十歳になる農家のお年寄り西野さんと九十歳の梅沢ばあさんと二人の主治医でもある私の会話、信州弁丸出しの彼らの会話が味わい深いです。

この作家の作品は晩秋から初冬の頃に読むのがいいと思っていますが、それまで待ちきれませんでした。

「包」 四川大地震

2008-05-21 | A あれこれ

■「包」は羊水にやさしく包まれている胎児の姿を描いた象形文字からきているそうですね。ネット検索してこのような説明を見つけました。

羊水に包まれた胎児といえば映画「2001年宇宙の旅」のラストシーンに登場するスターチャイルドがまず浮かびます。宇宙空間を漂うスターチャイルドが一体何を意味するのかということについては諸説あるようです。今回はそのことには触れません。

「包」という視点を据えることで全く関係ないと思っていたものが突然密接な関係をもつ存在になるというのは面白いことです。大気に包まれた地球とロールキャベツなども「包」という共通項で括れるのはその一例です。

さて、中国・四川大地震の惨状が毎日テレビや新聞で報じられます。死者、不明者合わせると7万人を超える被害には胸が傷みます。建物の安全性と建設コストは一般論としては正の相関関係にある、と言っていいでしょう。安全性を高めるとコストもアップするというわけです。両者のバランスポイントをどの辺に見出すかは国情によって異なるでしょう。今回の地震で倒壊した学校などの様子を見ると柱も梁も日本と比べて随分細いし破断面に鉄筋が確認出来ないものもあります。しかしだからといって直ちにそのこと批判する気にはなりません。既述のようにそれは国情によると思うからです。中国には中国の事情があるというわけです。

さて今回のテーマ「包」に話を戻しましょう。

今朝の新聞に「赤ちゃん守った母 最後のメール」という記事が載っていました。新華社電が伝えたというこの出来事を全国紙が取り上げたかどうか分かりませんが、信濃毎日新聞の社会面に掲載されていました。



**「愛していたこと 忘れないで」 中国の四川大地震で、救出された男の赤ちゃんを抱きかかえるように死んでいた母親が、携帯電話に愛するわが子への最後のメッセージを残していた。**と記事は伝えています。

建物のがれきの下に女性が四つんばいの格好で死んでいるのを発見した救助隊が、女性の下の毛布にくるまれた三、四カ月の赤ちゃんを無事救出したそうですが、赤ちゃんは母親の体に守られていたのでした。

「包む」、中身を傷つけず安全に守るということがその第一義だとすればまさにそのような奇跡が起きたのですね。この記事を読んで思わず涙してしまいました。

「かわいい坊や、もしあなたが生き延びたら、私があなたを愛していたことを絶対に忘れないでね」


秋野不矩生誕100年展

2008-05-21 | A あれこれ


信濃毎日新聞 文化面 080520 

■ 新聞に「秋野不矩生誕100年展」を取り上げた記事が載りました。

**インドとの出会いは運命的なものだった。六二年、勤めていた京都の美術大学で、「誰かインドの大学で日本画を教える人はいないか」と声がかかった時、「私が行きます」と即座に引き受けた**というエピソードを美術家のやなぎ みわさんがこの記事で紹介しています。


浜松市秋野不矩美術館 撮影日 051112

日本画家、秋野不矩(1908~2001)は藤森さんの処女作、神長官守矢史料館を実際に見て、藤森さんに美術館の設計を依頼することを即決したそうです。




神長官守矢史料館 撮影日 060804
こんなほら穴のような打合せ室は藤森さんしか設計できないでしょう。

秋野不矩は54歳のときにタゴール大学の客員教授を務めインドに一年間滞在してから、繰り返しインドに旅をして強烈な光と乾いた大地を90歳を越えるまで描きつづけたということです。

やや黄色味を帯びたインドの土に似た表情をこの神長官守矢史料館に見たからではないか、藤森さんに設計を依頼することを決めた理由を私はこう推察しています。

浜松市(当時はまだ天竜市か?)に秋野不矩美術館を訪ねたのは05年11月のことでした。白大理石の床、藁すさ入りの漆喰仕上げの壁と天井で出来た空間に展示されていたのは「オリッサの寺院」でしたか、絵と展示空間とがピッタリ決まっていたことを覚えています。藤森さんは不矩の絵に刺激されて展示空間を設計し、不矩は完成した展示空間を見てから「オリッサの寺院」を描いたとのことですから、当然のことなのかも知れません。

秋野不矩生誕100年展はまず京都国立近代美術館で開催されたそうですが、モダニストの槇さん設計のこの空間が秋野不矩の絵の展示スペースとしてどうだったか見たかったと思います。


京都国立近代美術館 撮影日不明(10年以上前)

展覧会は浜松市秋野不矩美術館で6月7日から7月24日まで開かれたあと、神奈川県立近代美術館葉山で8月9日から10月5日まで開かれるとのことです。

モダンな葉山は「不矩のインド」の展示空間としてどうか、確かめに行きたいと思います。案外無機的な空間と秋野不矩の乾いた絵はマッチするかもしれません。


 


「西鶴という鬼才」を読む

2008-05-19 | A 読書日記

 井原西鶴の名前は教科書(巻末に載る日本文学史略年表あたりか)に代表作『好色一代男』と共に出てきたと思うがそれ以上のことは何も知らなかった。

本書の各章のサブタイトル(副章題)を並べるだけで西鶴の多才ぶりが分かる。
「経済小説家の眼」
「ポルノ小説家の表現」
「タレント作家の演技」
「エンタメ作家の技巧」
「西鶴の謎」

裕福な町人の子として大坂に生まれた西鶴、34歳のとき妻を病気で亡くす。**男やもめで乳母を雇えず、かといって養子も無理なら、人さまの女房から母乳をもらうしかない。** 最終章「人生を探る 西鶴の謎」では「好色一代男」の作家が実は真面目で男手ひとつで必死に子育てをする様子が描かれる。妻と死別した後は生涯独身だったという。

西鶴は1693年に52歳で亡くなるが、13回忌の追善集『こころ葉』に収録されているという次の追悼句があとがきで紹介されている。

野は花に蹴つまずいても発句かな(野原の花にけつまずいても、西鶴はその体験を句に詠んでしまうほどだった) 蘭芝  

西鶴は妻を亡くし子供も亡くすというつらい経験をはじめ自身の人生のあらゆる経験を作品にしてしまう強さ、したたかさ、図太さを備えた人だったということを本書で知った。

『西鶴という鬼才』浅沼 璞/新潮新書 読了。


日々の暮らしを優しく包む天然素材の家

2008-05-18 | A あれこれ


大屋根の架かる半屋外空間、セカンドリビング。
目板張りと塗り壁材くし引き仕上げの外壁。

 建築史家であり建築家でもある(今や順番が逆かな)藤森照信さんは「建築は素材だ」と言います。なるほど、藤森さんが手掛けるのはいつも手づくり感あふれる天然素材建築です。縄文建築団という素人集団が藤森建築の施工を楽しんでいます。

今日の午後、住宅の見学に出かけました。長野県内の住宅メーカーが手掛けたこの大人の棲家「四季」も天然素材の家でした。

構造材には根羽杉を使っているそうです。杉材は松材などより強度はやや落ちるものの、木肌が美しく上品で、数寄屋建築には欠かせない材料です。床は赤松の無垢材、珪藻土で鏝むらを出した壁仕上げが柔らかく温かみのある雰囲気を醸し出しています。天井は杉板張り。壁との取り合いは底目地仕上げ、にげが利かない仕上げで施工は大変ですが、見た目はすっきり。

リビングに繋がる和室、壁と天井は珪藻土仕上げ、この部屋も廻り縁がなくすっきりとしています。床の間の壁と襖に使われているのは薄い桜色の和紙、床柱は茶室によく使われる百日紅ですが、モダンな和室によく合っています。

日々の暮らしを優しく包むように感じる杉板張りのヴォールト天井、心地よい空間です。

ところでこの住宅に使われている木材の大半が長野県産だと案内していただいた方から伺いました。国産材を使えばウッドマイレージは例えばシベリヤ産の材料を使う場合の1/7、北欧材の1/14で済むと先日朝のラジオ番組(日本全国8時です ゲスト月尾嘉男氏 0515(木))で聞きました。

フードマイレージと同様にウッドマイレージも高いのが日本の現状ですが、このように「地産地消」で地球環境にも優しい住まいづくりを実践しているこの工房信州の家に拍手です。


 


葛藤

2008-05-18 | A あれこれ

080518 早朝 散歩の途中で

藤の薄紫は好きな色。

「葛藤」ってつるの巻き方が左巻きと右巻きだから起きるんだと確か中学生の頃教えてもらった。その時は「へー、そうなんだ」とたぶん納得したのだろう、葛と藤がそれぞれどっち巻きなのかは調べなかった。

ネットで調べてみると葛は左巻きだが、藤は種類によって左巻きも右巻きもあるようだ。左巻きの葛と藤なら葛藤は起こらないのか・・・。

今朝早く散歩の途中でこの藤を見て「葛藤」を思い出したが、近くに寄れないのでこの藤が右巻きなのか左巻きなのかは確認できなかった。植物に詳しい人なら花房の長さなどから藤の種類を特定してどっち巻きなのか直ちに分かるだろうが。ヤマフジなら左巻きのようだが・・・。

ところでそもそも右巻きって?左巻きって? 

これが右巻き、ほんと?