透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

新しくオープンしたスタバで朝カフェ読書

2024-09-28 | A 読書日記


 スターバックス松本なぎさライフサイト店の顔見知りの店員さんのひとり、Hさんが最近(2024.08.27)オープンした松本笹部店に移動したことを知った。昨日(27日)の朝、笹部店に行ってみた。Hさんがわざわざカウンターから出て来て、私の名を呼び、にこやかに迎えてくれた。 

ホットのショートをマグカップで、と注文する必要はもちろんなかった。

*****

この数日、忙しくて、本を読む時間が取れていなかった。毎日少なくとも1時間は本を読もうと思っているのに・・・。持参した『R62号の発明・鉛の卵』安部公房(新潮文庫1974年発行、1993年24刷)を小一時間読んだ。新しい店舗はやはり気持ちが良い。

自室に安部公房の作品が新潮文庫で23冊ある。既に15冊読んだ。残り8冊を月2冊をノルマにして年内4か月で読み終えようと考えているが、今月はこの『R62号の発明・鉛の卵』1冊しか読めそうにない。

『R62号の発明・鉛の卵』には安部公房の初期の短編が12編収録されている。うち8編を読み終えた。表題作の「R62号の発明」はカバー裏面の紹介文に**会社を首にされ、生きたまま自分の「死体」を売ってロボットにされてしまった機械技師が、人間を酷使する機械を発明して人間に復讐する**とある。

人間社会の危うい未来予想のようだ。この作品は1953年に発表されているが、今日的な問題の提起ではないか。人間の一部がロボットなのか、ロボットの一部が人間なのか・・・。ロボットをAIに置き換えてもよい。

**僕たち、生きているか死んでいるのかのどちらかに割切ってしまう常識論に、こだわりすぎていたと思うんです**(10頁)という登場人物の発言を唐突に引用したが、医学部出身の安部公房らしい自問、そして読者への問いかけだと思う。

自己の存在を規定するものは何か、それを手放すとどうなる・・・。安部公房が読者に問うているテーマは今日的だ、と『箱男』の読後に書いたが(2024.06.29)、「R62号の発明」の読後の感想も同じだ。

「盲腸」は羊の盲腸を移植された男が藁(わら)だけの食事をとる話。それは食料危機のために世界の人口の90パーセントが慢性的な栄養失調状態に陥っているという状況解消のための実験的な試み。ここでも次のような台詞を男に言わせる。**「私はこの腹の中にうえられた羊の盲腸と、まだしっくりやれるところまではいっていないのです。分かりますか、先生、思想のことを言っているんですよ。羊の盲腸をくっつけた私と、くっつける前の私と、いったいどっちが本当の自分なんだ。(後略)}**(128頁 下線は私が引いた)

人間の存在を根拠づけるのもは何か、人間は何を以って存在していると言うことができるのか・・・。人間の存在の条件とは? 安部公房はこの哲学的で根源的な問いについて思索し続けた作家だったと、『箱』の読後に書いたが(2024.05.29)、「盲腸」からもこのような安部公房評は変わらない。

12編すべて読了後に改めて書きたい。


 


「空穂と源氏物語」加筆

2024-09-27 | A あれこれ




 窪田空穂記念館(松本市和田)で開催中の「空穂と源氏物語」を23日に見てきた。なお、この企画展の会期は10月27日まで。


空穂が現代語訳した「桐壺」の原稿

歌人で国文学者の窪田空穂が源氏物語を現代語訳していることは知っていた。学生時代から源氏物語に親しんで以来、最晩年まで関心を寄せていたという。会議室が展示会場に充てられ、源氏物語の現代語訳原稿などが展示されていた。






上段:昨年(2023年)作品社から刊行された窪田空穂訳の『源氏物語』全4巻(各巻2,700円+税)
下段:マンガ『源氏物語 あさきゆめみし』大和和紀 

会場には窪田空穂(昭和)の他に与謝野晶子(明治)、瀬戸内寂聴(平成)、角田光代(令和)の「桐壺」の書き出しの訳文を並べて展示してあった。読み比べると違いがあり、興味深い。

会場に掲示されていた解説文によると、空穂の現代語訳の特徴は逐語訳にあるという。逐語訳って? 原文の一つの文章をそのまま一つの文章として訳す方法、と説明されていた。このために原文を読むにはもってこいの教科書を評されていたと、館内で得た別の資料にある。

資料に続けて書かれていた文章を載せる。
**文章の持つ味わいは説明し難いものであるが、強いて言うと情熱を抑えた緊張味のある文章で、したがって音楽的(リズミカル)な文章である。しかもその文章は気品を備えていて、読みはじめると人の心を捉え、心を落ち着かせつつ引っ張ってゆくのである。文章の魅力という言葉があるが、これは源氏物語の文章の評語として生まれて来たかの感さえあるほどである。**

原文を読まなければ分からない源氏物語の魅力を説いた文章。原文を読むことなどとても無理、現代語訳を読んだということで満足、ということにしておこう・・・。 

以前書いたことがあるけれど、源氏物語全54帖(もちろん現代語訳)を再読するのはとてもできそうにないが、宇治十帖だけならできそうな気がする。2023年に窪田空穂訳の『源氏物語』が刊行されていたことは知らなかった。さて、どうする。空穂訳で宇治十帖を読んでみようかな・・・。





平穏無事に一日過ごせたこと

2024-09-25 | A あれこれ

 今朝(25日)9時6分過ぎ、上高地線の3000形電車(3003-3004号車)が松本に向かって奈良井川橋梁を通過して行きました。橋梁脇の踏切の手前およそ600mの交差点を9時6分の直後に通過するのがベストのタイミングです。今朝はちょうどそのタイミングでした。

で、今日は何か好いことがあったかなと考えるに、特にありませんでした。いや平穏無事に一日過ごせたことですね。

11月3日に引退することが決まっているなぎさちゃん(なぎさTRAIN 3005-3006号車では味気ないな)にここで会えるかどうか・・・。まだ1か月以上あるのでたぶん会えるでしょう。


2024-09-22 | A 火の見櫓っておもしろい


 インスタグラムに今まで観てきた火の見櫓を紹介しています。それが一通り終わったら、『信州火の見櫓めぐり』という本に出来ないかな、などと考えています。北信から南信まで市町村別に整理して、短文を付けて・・・。


『あ、火の見櫓!』を自費出版したのが2019年9月。あれから早くも5年経ちました。その後、火の見櫓のタイプには地域性があることを数字で示すことができたり、脚のタイプ分けを試みたりしています。これらを加えて拙著の改定版を出すのも好いかもしれません。

これ、目標というか、夢です。





すばらしい!

2024-09-21 | E 朝焼けの詩


2024.09.21 05:25AM


2024.09.21 05:27AM

刻々と変わりゆく朝焼けを見ていて、自然が空をキャンパスに描く絵ってすごいなあと思った。

*****

一昨日(19日)、朝夕2回上高地線の奈良井川橋梁の踏切で電車の通過待ちになった。で、明日(20日)はきっと好いことがあると思った。

ドジャースの大谷翔平選手がメジャー史上初の50-50(50本塁打、50盗塁)を達成した。好いこととは、これだったのだ。自分自身に関わりのあることで好いことが起こると思っていたが、そうではなかった。

大記録の50-50を達成できるかどうか、五分五分()だと思っていたが、大谷選手は見事に達成した。すばらしい!

自分に関する好いこともあった。それは「ワード」で実に便利な機能を見つけたこと。基本的な機能だと思うけれど、普段ワードを使う機会があまりないので今まで知らなかった。「エクセル」の方が何かと便利で使い勝手も良いとずっと思っていた。来週からは作業が格段にしやすくなるだろう。「ワード」すばらしい!


 


明日はきっと好いことがある。

2024-09-19 | A あれこれ


 19日の朝、9時6分に上高地線の奈良井川橋梁西側の踏切で列車の通過待ちになりました。
上り(松本駅行き)の20100形(20101-20102号車)が通過して行きました。
頭首工が視界を遮って・・・、5秒早ければドンピシャだったと思います。


夕方、5時27分、下りの20100形(20103-20104号車)が奈良井川橋梁を通過して行きました。
この位置も悪くはないので、ドンピシャとしておきます。
明日はどんな幸運が待っているんだろう。

なぎさちゃんの引退日、いや、初代なぎさTRAIN(3005-3006号車)のラストランは11月3日。
それまでに、ここで会いたいものです。あと1か月半、その幸運はきっとあると信じています。

見張り台の床のタイプ分け

2024-09-16 | A 火の見櫓っておもしろい

 


 

 火の見櫓の構成要素である見張り台のタイプ分けを試みている。見張り台は床と手すりによって構成されているから、それぞれについてタイプ分けをして、その組合せによって見張り台をタイプ分けするのが適切だろう、と考えた。

まず床。火の見櫓の中分類で見張り台の平面形を扱っているので、小分類では平面形の違いは考慮しない。

床面を構成している線状部材(その大半は平鋼(写真)。他に丸鋼がある)の敷きならべ方に着目する。床材の敷きならべ方には一方向に並べる方法と床面を複数に分割してそれぞれの方向に並べる方法がある。これはタイプ分けの視点として有効だと思う。で、前者を仮に1方向並べとし、後者を分割数に応じて3方向並べ、4方向並べとしたらどうだろう・・・。分割数は柱の本数と同じになっている(ただし例外はつきもの)。ネーミングがいまいちだから、更に考えよう。ということで見張り台のタイプ分け「考え中」。

床を鋼板やエキスパンドメタルにした見張り台もあることに留意したい。


 


249枚目 木工作家・金子裕一さん

2024-09-15 | C 名刺 今日の1枚

写真①

写真②

写真③

写真④

金子裕一個展『土に還る』

会期:9月14日(土) - 9月16日(月)
11:00 - 17:00
会場: BLUE HOUSE STUDIO
長野県東筑摩郡朝日村針尾1037-6


 木の持つ風合いの魅力、手づくりの魅力。衒いの無い造形の作品を観ているだけで心が安らぐ。加えて作品にぴったりの展示空間(写真①)。作品に塗る柿渋もベンガラ(写真④)も自分でつくるという金子さんのこだわりに拍手! 

在廊中の金子さんとあれこれ話しをした。その時渡したのは249枚目の名刺だった。


 


記憶と記録

2024-09-15 | A あれこれ


 今日(15日)書店へ注文していた本(*1)を受け取りにいったところ、早くも来年、2025年のダイアリーが並んでいたので買い求めた。

1978年から1980年までの3冊のダイアリーが実家で見つかったのは今年?  去年? 脳の記憶機能の劣化が進み、こんなことまで既に消去されていて思い出せない。

この年1978年から昨年2023年までのダイアリーを自室に保管している。1978年のダイアリーには前年1977年の11月6日から記録がつけられていることから、この日から今と同じように日々の出来事や読書記録などをつけ始めたものと思われる。


1978.10.11 ぼくは初恋の人と横浜でデートして観光船に乗ったことは覚えていたし、日付を書き込んだ台紙にチケットを貼って(写真)、スクラップした新聞記事などと一緒に保管していたけれど、この日どこで待ち合わせしたのか、どうしても思い出せなかった。この年のダイアリーの当該日の記録を見ると、「2PM 横浜みどりの窓口」となっている。そうか、あの日は横浜駅のみどりの窓口で待ち合わせしたんだ・・・。

別の日にはMさん(3年ぶり)という記録もある。このことは全く記憶にない。そうか、Mさんと再会していたのか・・・。

ダイアリーの最後には住所録があるが、そのリストを見ると今現在までつきあいが続いている友人が何人もいるし、顔が思い浮かばない人もいる。46年(*2)という時の流れ・・・。

記録することにどんな意味がある? 

北 杜夫は追憶の作家だ。『幽霊』などの作品を読むと感じるけれど、追憶する、来し方を振り返るって、時には必要だと思うけどな。記録はその助けになるよね。そう思うからぼくはダイアリーへの記録を続ける。2027年には50冊になる。


*1『奪還 日本人難民6万人を救った男』城内康伸(新潮社2024年)

*2 48年を訂正した。


33会の旅行の計画

2024-09-14 | A あれこれ

 33会は中学の時に同級生だった仲間の集まり。3年3組だったことに因んで、33会という名前がつけられた。33会で2006年に初めて旅行に行ったが、行先は京都だった。以来何回か旅行をしてきて、今年の1月に松山旅行をした。その際、これからは「毎年旅行に行きた~い」という声があがっていた。今までは1年おきに旅行をしていたので。そのような希望を受けて来年の1月に別府温泉と小倉・門司港へ2泊3日の旅行をすることになった。昨日(13日)毎回お世話になっている旅行会社に相談に行ってきた。

8月の暑気払いで旅行の行先が決まったけれど、その時には門司港は行先には挙がっていなかった。相談にのってもらったTKさんの提案で小倉に門司港が加わった。

旅行の概要は次の通り

 1月8日(水) 塩尻(松本)→名古屋→小倉→別府 
地獄めぐり 和風ホテル泊(2食付、男女各1室、宴会もホテル内  2次会は男部屋ですることになるだろう)

   9日(木) 別府→小倉→門司港 
駅周辺で昼食、レトロな建物群めぐり 門司港駅近くのホテル(シングル)泊 宴会はホテル近くの適当な飲食店で予約をお願いしておきたい。

JR門司港駅は国の重要文化財に指定されている。他にも駅周辺には旧大阪商船門司支店や旧門司税関などの古い建物がある。門司港レトロ展望室(設計:黒川紀章)から夕景を見たい。

   10日(金) 門司港駅→小倉
小倉城、小倉城公園、松本清張記念館、八坂神社、旦過市場他
午後 買い物など 小倉→名古屋→塩尻(松本)

国の重要文化財に指定されているJR門司港駅、それから小倉城と松本清張記念館は前から行きたかったところ。その願いが叶う。 パンフレットの小倉エリアには森 鷗外の旧居も載っている。旦過市場をパスすれば行くことはできるだろうが、団体旅行だから、どうかな。





「日本列島はすごい」伊藤 孝

2024-09-13 | A 読書日記


『日本列島はすごい』伊藤  孝(中公新書2024年)を読み始めた。

この本の序章に産業技術総合研究所(産総研)の地質調査総合センターが運営する「地質図Navi」が紹介されていた(8頁)。ネットで検索してアクセスしてみた。地図情報に落とし込まれた様々な情報が公開されているすごいサイトだ。

読み進むとこの地質図Naviの海面上昇シミュレーションを使って海面を約プラス70mした時とマイナス123mした時の日本列島の姿が掲載されていた(29頁)。これは地球上のすべての氷床の氷が溶けたとき、海面が約70m上昇すると言われていることと、2万年前の最終氷期の最寒期には海面が123m低下していたとされることにより決められた数値。

この海面上昇シミュレーションを使って試してみた。現在より水位が25m上昇したら、どうなるだろう・・・。25mという数値に特に意味はない。ただなんとなく。海面が25m上昇すると、房総半島が切れて島になる。関東平野がかなり水没する。北海道も二つに分かれてしまう。佐渡も二つになる。


地質調査総合センターウェブサイトの「地質図Navi」の海面上昇シミュレーションによる試行図

この本に過去2万年間の海水準の変動グラフが載っている(27頁)。そのグラフから約2万年前から約7000年前にかけて、100m以上海水面が上昇したこと、それ以降はほとんど一定で非常に安定していることがわかる。もし、25m上昇すれば東京は海上都市となる。いや、これはSFの世界。でもその場合、交通、情報、エネルギー、上下水などのインフラはどうするんだろう・・・。技術的に解決することができるのだろうか。やはり首都機能移転かな、標高の高い松本に。