■ インスタグラムに岐阜県高山市は奥飛騨温泉郷、福地温泉の木造の火の見櫓が紹介されていた。
木造の火の見櫓はレア。この火の見櫓の所在地、福地温泉まで自宅からおよそ60km、車で1時間半。それほど遠くはない。今日(31日)見に行ってきた。「昔ばなしの里」の入口付近に立っているという情報だけを頼りに現地へ。
主要道路沿いの小さな建物の外壁に付けられた「昔ばなしの里」という看板はすぐ見つかったが、火の見櫓が見つからない・・・。平日のせいか閑散としている温泉地。道路を歩いてきた地元の人と思しき若い女性に声をかけて聞いたが、「分かりません」。せっかく来たのに見つからないなんて・・・。
脇道に入って朝市用だろうか、駐車場に車を停めた。火の見櫓は駐車場のすぐ近くに立っていたが、木に覆われていて見えなかった。高性能のやぐらセンサーが反応、見つけることができた。
1396 岐阜県高山市奥飛騨温泉郷福地 3柱 前面梯子両側面交叉ブレース(木造)撮影日2022.10.31
木に囲まれていて、姿が分からないが、木造柱3本の櫓だ。正面が梯子で、残りの2面は交叉筋交い(木造だから筋交いとしたがブレースと同義)で構成されている。
逆光で櫓がシルエットとなって浮かび上がり、交叉筋交いが2段あることが分かる。
3本の柱のうち、1本を長く伸ばし、上端部に腕木を持ち出して乳付きの半鐘を吊り下げてある。柱上端には腐朽を防ぐためにキャップがしてある。梯子を組んだ左側の柱と半鐘を下げた柱に欠きこみがある。この位置に手すりが取り付けられていたと判断できる。屋根があれば最高なんだけどな。
脚元の様子。柱間距離およそ1.6m、そう柱脚部は1辺の長さがおよそ1.6mの三角形。柱根本の直径およそ22cm、梯子桟のピッチおよそ49cmと現場計測。
「昔ばなしの里」と「露天風呂」という看板を梯子桟に取り付けてある(写真に文字写らず)。
この工作物はもともと火の見櫓だったのか、温泉地の看板だったのか、どっち? という疑問。温泉地の看板だったとすれば設置場所が疑問、1枚目の写真に写っているような主要道路沿いに設置しなければ、目に入らず看板としての用を成さないし、看板にわざわざ半鐘を吊り下げることもないだろう。
設置場所周囲の様子や床を張った見張り台があることなどから、もともと火の見櫓だったと考えるのが妥当だろう。用済みとなって看板用の櫓に転用したのだろう。現地でヒアリングしたかった・・・。
火の見櫓の近くの街灯も柱が木造、渋い。