透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

226 1本柱の火の見

2011-11-29 | A 火の見櫓っておもしろい

 
226 写真提供 Tさん

 立体的な構造でないと櫓とは言わない。従ってこのような1本柱の構造は櫓ではない、などというのは野暮というもの。これも立派な火の見「櫓」だ。千曲川のほとり、戸倉上山田温泉でこれを見かけたTさんが写真を撮ってきてくれた。

鋼管柱に四角い見張り台を持ち出している。その詳細が分からないのは残念。ちゃんと消防信号板もついている。小屋根付きの半鐘はなんとゴールド。半鐘を叩かないところが次第に増えているが、この火の見櫓はどうだろう。温泉街のオブジェではないと思うが・・・。


追記(160607):その後火の見柱と呼ぶことにした。


神田駅

2011-11-29 | A あれこれ



撮影111120

先日東京した際、神田駅で撮った写真です。ボツにしてしまうのがもったいなので、載せておきます。梁の下弦材のカーブがいいですね。力学的に合理的な形なのではないかと思います。恣意的な形ではなくて、意味のある形に惹かれます。屋根面のブレースには火の見櫓でおなじみ、リング式ターンバックルが用いられています。



これもやはり神田駅のホームで撮った写真です。単材で、エイッ!と架けてしまうより、このような複合梁の方が、なんというか「味」がありますね。丸鋼のテンションロッドをやはりリング式ターンバックルでとめています。

駅のホームの架構っていろんな工夫があって面白いです。



225 上越市板倉区の火の見櫓

2011-11-28 | A 火の見櫓っておもしろい

 
225 写真提供 新潟のヤグラーcoltyさん

■ 以前上越市の火の見櫓を紹介しました。同市板倉地区にある「ゑしんの里記念館」まで出かけた際に見つけたものです。今回取り上げる火の見櫓も板倉区にある火の見櫓です。

3角櫓に6角形の屋根、円形の見張り台。これは普通の組み合わせです。でも、踊り場から上は梯子が櫓の中には納まらなかったのでしょう、外に設置されています。珍しいです。

coltyさんは脚部のデザインについて「ハイレグ系」ではなくて「さるぼぼ系」だとご自身のブログに書いておられます。なるほど、確かに!な指摘です。隣は消防団の器具置場でしょうか、なかなか渋い建物です。頑固一徹なオトッチャンといまどきの娘、といった構図ですね。

火の見櫓 みんなちがって みんなおもしろい



「木をめぐる対話」を読む

2011-11-27 | A 読書日記

 

 休日のひと時カフェ・シュトラッセで『木をめぐる対話』木材活用推進協議会(非売品)を読む。

木材活用推進協議会が多くの人びとに木について理解を深めて欲しいとの願いから開催している「木のシンポジウム」、過去7回分をまとめた本。

隈研吾、内籐廣、小嶋一浩、藤森照信、北川原温、安藤忠雄ら有名建築家が「木」をどのように捉え、どのように設計しているのか、本書に収録されているそれぞれの講演記録で知ることができる貴重な本。先日東京した際、友人から贈られた。

**木は現代的な人間が求める軽さもやわらかさももっていると思います。**(33頁)隈研吾

**木を一度抽象化した集成材を使うほうが多いというのが現実です。つまり素材を一度ニュートラルにしないとうまく扱えないわけです。**(63頁)小嶋一浩

**木材を使うと、仮に近代的な構造システムを使っても、近代的なものの考え方に反しているためにコントロールしきれないということです。いろいろな矛盾を受け入れなければ木造は成り立ちません。**(79頁)内籐廣

**毎回木と格闘しています。**(115頁)藤森照信

**木は完ぺきな工業製品ではないので、問題が起きたときにいつでも対処できるシステムになっているというのが大事なんです。(275頁)山梨知彦(日建設計:木材会館設計者)

**経験は知識よりも確かです。そのことは桶と樽の話をすると分かりやすい。私達は普通に桶は柾目取り、樽は板目取りにします。それは水の漏れ方が違うからです。**(317頁)小原二郎


カフェ・シュトラッセのバス停看板


224 火の見櫓観察のポイント

2011-11-27 | A 火の見櫓っておもしろい

 
224 火の見櫓のある風景 東筑摩郡麻績村にて 撮影111121


 火の見櫓観察のポイント 改訂版


1 火の見櫓の立地、環境

10 周辺の状況・環境、観察時の季節や天候、時間など 
11 消防団詰所(屯所)、消防倉庫の有無
12 観察者の主観的な印象


2 火の見櫓の全体の様子 

20 形式:1本柱、梯子型(2本柱)、櫓型(3本柱、4本柱 その他の型)
21 櫓の高さ、脚の長さ、脚間長さ
22 プロポーション:上方への絞り方(櫓が描く曲線の様子) 総高/脚間長さ、逓減率
23 屋根と見張り台の形、大きさ及びバランス
24 色
25 発錆状況


3 火の見櫓を構成する各部の様子

30 屋根の有無 屋根の形(平面形と立体形)と飾り(避雷針と飾り、蕨手、その他)
31 半鐘の有無 半鐘の形 半鐘用の小屋根の有無 形
32 見張り台の有無 見張り台の平面形、床の構成、手すりのデザイン
33 櫓の材料(鋼材、木材、石、コンクリート)
34 櫓の平面形と立体形、構成部材の種類と接合方法(鋼材:ボルト、リベット、溶接)、ブレース(筋かい)の材料と構成  
35 梯子の構成部材 手すりの有無など
36 脚部のデザイン 単脚、複合脚(トラスの組み方やアーチの有無 カーブの様子) 
37 基礎:独立基礎、一体型(塊状)基礎
38 消防信号表示板の有無 銘版の有無と記載内容(製造所名、製造年、寄贈者名など)
39 スピーカー、サイレン、照明、ホース掛け等の有無  


 4 その他 


 


223 松本市平田東の火の見櫓

2011-11-27 | A 火の見櫓っておもしろい

 
223 松本市平田、国道19号線の火の見櫓 撮影111125

 国道19号線は松本市内の渋滞が常態化しています。で、車の窓から火の見櫓の写真を撮ることができました。残念ながら電線が邪魔をしていて(電柱や電線がしばしば火の見櫓観察の邪魔をします。)、見張り台の様子がよく分かりません。

この火の見櫓、脚が2段になっているように見えます。消防信号表示板の下にトラス状の脚があって、さらにその下に簡素な構成の脚があります。仮に下の脚を後から足したのだとすると、柱材がジョイントされているはずです。あるいは最初からこのような構成だったのかもしれません。残念ながら詳細が分かりません。

この火の見櫓、大きな看板にかくれていて、最近まで存在に気がつきませんでした。



寒い!こたつで本を読もう

2011-11-26 | A 読書日記

    

『私が源氏物語を書いたわけ』山本淳子/角川学芸出版  
源氏物語研究の第一人者が、資料を駆使して、その時代と人間関係を描き出す。

『コンニャク屋漂流記』星野博美/文藝春秋
先祖は江戸時代、紀州から房総半島へ渡った漁師、屋号はなぜか「コンニャク屋」。ルーツを探して右往左往、時空を超える珍道中。

『木をめぐる対話』木材活用推進協議会(非売品)
太田邦夫、隈研吾、内田繁、内籐廣、小嶋一浩、藤森照信、稲山正弘、北川原温、安藤忠雄、山梨知彦、小原二郎、林以一/馬場璋造


 


火の見櫓と道祖神

2011-11-26 | B 石神・石仏


塩尻市大門2丁目の火の見櫓と道祖神  



 火の見櫓の脇に道祖神が祀られている。鳥居付きの道祖神はあまり見かけない。

桔梗ヶ原のワインで有名な塩尻、中心市街地の商店街からちょっと入ると、道路にまで日々の暮らしがこぼれ出ているような空間となる。火の見櫓と道祖神に見守られている街・・・。


撮影111113


― 写真集「火の見櫓」

2011-11-25 | A 火の見櫓っておもしろい



写真集「火の見櫓」 石川元之/第三書館

 石川氏が1995年に始めた全国火の見櫓巡りは既に1,000箇所を越えているという。この本には全国の火の見櫓が紹介されているが、なかには随分珍しいものもある。

茨城県常総市の火の見櫓はコンクリート製の台座の上に火の見櫓が立っている。長野県小谷村の火の見櫓は櫓の中心を電柱が貫通している。今でもあるのなら是非見に行きたい。櫓がなんと六角形の火の見櫓もある。鉄骨造の櫓だが、見張り台の床から上が木造のものも載っている。

残念なことに本書では火の見櫓の所在地と撮影年月が記載されていないものが大多数だ。

火の見櫓 みんなちがって みんないい。まだまだ私の火の見櫓巡りは続く・・・。



― 写真集「火の見櫓」

2011-11-24 | A 火の見櫓っておもしろい

 

 信濃毎日新聞の読書欄に「火の見櫓」というタイトルの写真集が紹介された(20日付朝刊)。著者の石川元之さんは1995年に始めた火の見櫓巡りが既に1,000箇所を越えているという。大変な数だ。

新聞に載っているのは茅野市金沢の火の見櫓だが、私もこの火の見櫓のことを偶々ネットで知って観察に出かけている。過去ログ

私はこの火の見櫓のユニークな点は道路をまたいで立っていることだと思って、火の見櫓の下を通る軽トラックを写し込んだ。新聞の写真はすぐ後方の中央東線を走行する電車を捉えている。同じ対象物でもそれを捉える視点は様々だ。石川さんが火の見櫓をどのような視点で捉え、それを写真でどのように表現しているのか大変興味深い。

この本は既に注文してある。今日にも届くだろう。読了後、続稿しよう・・・。


 


週末東京 7

2011-11-23 | B 繰り返しの美学

高架下建築



 日曜日の早朝、神田駅から東京駅方面に向かって歩く。煉瓦造の高架、アーチがトン、トン、トンと繰り返されている。「繰り返しの美学」な構成。


路上観察 高架下の倉庫@神田 撮影111120

 煉瓦のアーチ下のコンクリートブロックの壁。コンクリート打ち放しの架梁、きちんと割り付けられたPコン。穴あきブロックの通気口。

シンメトリックな構成。誰かの作風に似ている。誰だろう・・・。

コレハウツクシイ。


 19日(土曜日) 西新宿のホテルで開催されたとんぼ24会に参加
 20日(日曜日) 現役学生との交流会に参加

今回の「週末東京」終り。


週末東京 4

2011-11-22 | A あれこれ


モダン ガウディ 







今年の7月にJR中央線の武蔵境駅前にオープンした「武蔵野プレイス」はユニークなデザインの外観だ(写真上)。近未来的なデザインを見ていて、これは「モダン ガウディ」だと思った。

内部は、壁から天井に連続的につながる「かまくら」のような空間。風除室も「かまくら」のようにコーナーが丸い空間だ(写真下)。「かまくら」は連続的につながっていてそれぞれ閉じてはいないのに人を包み込むような空間で実に落ち着く。

1階の中央部分の大きなホールはカフェと図書の貸出コーナーが一体になった空間。この組み合わせはユニークだ。心地よいざわめきの中で、ある人はコーヒーを飲み、ある人は雑誌を読んで、休日のひと時を過ごしている。

設計者(kwhgアーキテクツ 川原田康子+比嘉武彦)は武蔵野プレイスについて**4つの機能(図書館・生涯学習・市民活動・青少年活動)をあえて入り混じったものとして配置することによって、さまざまな人が集まりやすい場所をつくろうという試みである。** と雑誌「新建築」に書いている。

機能によって空間をきちんと分節するという従来の建築のような空間構成を採らず、曖昧に混ぜてしまおうという発想、設計意図がうまく具現化されている、と私はみた。


しばらく前にkwhgアーキテクツによる安曇野市庁舎のプロポーザルのプレゼンテーションを見たが、コンセプトをかなり直接的に建築にした提案はなかなか面白かった。