なぎさライフサイトのスタバにて 窓際の一人用の円卓をふたつ使用した。 2024.05.30
■ 昨日(30日)、IT君と3カ月ぶりにいつものスタバでカフェトークした。カフェトークではいつも本のことが話題になる(過去ログ)。IT君は『県犬養橘宿禰美千代』義江明子(吉川弘文館 人物叢書)を、ぼくは『村野藤吾 建築案内』村野藤吾研究会 編(TOTO出版)と読み始めたばかりの『川端康成』十重田裕一(岩波新書2023年)を持ってきた。
県犬養橘宿禰美千代? 知らないなあ。歴史に疎い私はこの名前を初めて目にした。藤原不比等の奥さんだとIT君。藤原不比等の奥さん? ぼくは藤原不比等のこともよく知らないのに・・・。
この女性について、はしがきに次のように紹介されている。**県犬養橘宿禰(すくね)美千代は、七世紀末から八世紀前半の宮廷において、絶大な影響力をもった女性である。彼女は、敏達(びたつ)天皇系王族である美努(みぬ)王の妻となって葛城(かずらき)王・佐為王・牟漏(むろ)女王を生み、のち、藤原不比等の妻として安宿媛(あすかべひめ 光明皇后)と多比能(たひの)を生んだ。(後略)**
読書家のIT君は日本史に関する本をよく読んでいて、この紹介文に出ている人物が頭に入っている。(そっと書く。ぼくは不比等という名前を知るのみ)。
彼が古代から現代まで、何回も行き来していて、随分深い世界に入り込んでいることが分かる。その一方で難しい数学の本も読んでいるということだから、読書世界がぼくとは全く違う。喩えれば、ぼくは海岸を歩き、拾った貝殻を見ているようなものだが、IT君は沖に出て、海中に潜って、きれいな魚を観察してるかのよう。
『川端康成 孤独を駆ける』でぼくが示したのは1963年に行われたという、高校生が5月1カ月間に読んだ本を調査した結果の一覧表(188頁)。男女別、学年別に示されている表で、男子は3学年とも1位は「伊豆の踊子」。女子は1年生が「友情」で、2年生と3年生はモーパッサンの「女の一生」。「伊豆の踊子」は1年生が4位、2年生は10位に後退、3年生は20位までの表に入っていない。
この極端な男女の違いは何を意味するのか・・・、議論した。男子生徒はロマンチストで淡い初恋にいつまでも惹かれているけれど、女子生徒は高校生になってリアルな恋に目覚めて、「伊豆の踊子」には見向きもしなくなる・・・。中学生の時に読んでいる子が多いんだよ。というのがふたりが出した結論。
ぼくはもう一度「伊豆の踊子」を読んでみようと思っている、とは言えなかった・・・。
※ 一覧表(188頁)には「戦争と平和」、「罪と罰」、「復活」など海外作品も入っています。「源氏物語」も。書店で岩波新書の『川端康成』を手に取って他にどんな作品が入っているのか、ぜひご覧下さい。