△ 無暖房建築(060615) △ 躯体の厚さ15cm、断熱材の厚さ30cm しばらく前にスウェーデンの建築家 ハンス・エーク氏の講演を聴く機会がありました。冬期間、暖房用エネルギーを使わない住宅、いわゆる「無暖房住宅」の紹介でした。
最近日本でもこの「無暖房住宅」の研究が進み、施工事例が雑誌などに紹介されるようになりました。 先日、茅野市内で現在建設中の「無暖房建築」を見学してきました。地域密着型小規模多機能介護サービス施設で、鉄筋コンクリート造、2階建て。写真には鉄骨が写っていますが、小屋組みだけ鉄骨造です。この規模の無暖房建築はいままで日本では建設されておらず、この施設が最初の実施例とのことでした。
躯体の外側の白い断熱材の厚さは30cm、一般的な建築の断熱材の厚さは5cmくらいですから6倍の厚さです。尤も北海道ではもっと厚い断熱材(10cm位でしょうか)が普通に使われているようですが。窓はトリプルガラス入りのプラスチック製サッシとペアガラス入りのアルミと木の複合サッシを場所によって使い分けています。
建物の断熱性能を高くすることで冬期間、人や家電製品、調理機器などから発生する熱を屋外に逃がさないようにしています。また換気によって熱が屋外に逃げないように効率のよい熱交換換気設備を設置しています。これで暖房用のエネルギーが不要!になるというわけです。
厳寒期、外気温がマイナス10℃位になっても室温は20℃位に保たれるそうです。但し夏季の冷房用設備は必要です。熱負荷が軽減されますからそれほど能力の高い設備は必要ないでしょうが。
イニシャルコスト(建設費)がアップしますがランニングコスト(暖房代)がかかりません。この施設の場合、確か10年位で建設費の増加分を回収できるとのことでした。
化石エネルギーの枯渇などを考えると、このような「無暖房建築」が標準仕様になる日も遠くないかも知れません。 この断熱材をつくる過程でどのくらいエネルギーを消費するのか、将来解体する際に、きちんと処理できるのかなどについては気になるところです。
完成時にまた見学会が開催されるそうですから、これらの点を確認したいと思います。