■ 『9坪の家』萩原 修/廣済堂(右)を読んだのは10年前のことでした。
ある展覧会に展示された戦後住宅史に残る名作 増沢洵(まこと)さんの自邸「最小限住居」の軸組に魅せられた著者はその軸組を使って自邸を建ててしまいます(リ・デザインしたのは小泉誠さん)。本書にはその顛末が綴られています。過去ログ
巻末には「実験住宅における実験生活の試み」という柏木 博さんの文章が載っています。文庫本の解説文にあたる文章です。**この住まいをどのように住みこなし、さまざまな問題に対応していくのか、ひとごとながら、実に興味深い。実験住宅に生活するとはそうしたことなのだろう。**と文章は結ばれています。
先日雑誌で目にした『9坪の家 つくって住んだ、こんなに快適!』(左)は同じ著者による10年間の生活記録だと思って注文しました。柏木さんと同様の興味を持って読み始めたものの、なかなかそのような内容が出てきません。先の本のレビューから書き始めたにしては随分長いな、と思いつつ読み進みました。
最後の2章だけが新たに加えられていました。書店で手にとって少し立ち読みして、このことに気がつけば、購入しなかったかもしれません。そう、本書は10年前の本の改訂版だったのです。
でも帯の室内写真や本文中に載せられている写真から10年間の9坪(*2)ハウスの経年変化を知ることができました。フローリングは随分色が変化し、2階はふたつの個室に変わっていました。その様子を知ることができただけでも、よかった、と思います。
*1 増沢 洵さんの最小限住居の紹介は省略します。興味のある方はネットで検索してみて下さい。
*2 延床面積15坪(1階の床面積(建坪)9坪+2階の床面積6坪=15坪)