■ 8月も今日で終わり。朝晩めっきり涼しくなってきた。夜、窓を開けると虫たちの合唱が聞こえてくる。
『吾輩は猫である』 この小説をもう一度読むことってあるかなぁ・・・。これが最後かもしれないな。
『機嫌のいい犬』 川上弘美の句集。この本は手元になかった。カフェマトカの古本市で買い求めた。書棚に並んだ36冊目の弘美本。
『気候変動とエネルギー問題 CO2温暖化論争を越えて』深井有/中公新書
『低酸素経済への道』諸富 徹 浅岡美恵/岩波新書 書名に「経済」が付く本って他にあったかな・・・。経済成長のためには環境の犠牲もやむなしという環境と経済の対立的な関係を越えて、環境産業の構築を目指せという論旨。
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■ 今週末のミニミニ講座@カフェ バロに向けて火の見櫓モードをキープするために、火の見櫓の記事が多くなるかもしれません。
一昨日(28日 日曜日)の午後、用事があって穂高まで出かけたのですが、私の感度良好なセンサーがこの火の見櫓を見つけました。平面形が3角形の櫓、円形の屋根と見張り台そして踊り場、よくある構成です。
火の見櫓鑑賞のツボに従って、まず全身鑑賞。残念なことに、上方に向かっての櫓の絞り込みが、踊り場のところでイレギュラーしています。流れるような連続的なフォルムが美しいのですが・・・。踊り場の部分は脚部のようなデザインですが、これはちょっと・・・。
次は屋根・見張り台に注目。半鐘に替わってサイレンとスピーカーが設置されていますが、これは残念なことです。火の見櫓にスピーカーは似合いません。
そして脚部。しばらく前に脚部には厳しいですね、とコメントをいただきましたが、確かに厳しいかもしれません。^^; でもこの火の見櫓の脚部は減点する必要はないと思います。
ということでこの火の見櫓の評価は・・・
1 櫓のプロポーション ★★★
2 屋根・見張り台の美しさ ★★★
3 脚の美しさ ★★★★★
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■ この頃、グリーンカーテンという言葉をよく耳にするようになりました。アサガオやゴーヤーのカーテンで夏の冷房負荷を軽減しようという試みですね。
これは昨日(28日)安曇野市の穂高で観察した火の見櫓です。半鐘が付いてはいますが、火の見櫓としての機能はとっくに失ってしまっているようです。脚部の様子(写真下)を見るとかなり前から緑化されていたことが分かります。
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■ 夏休みに茅野まで空飛ぶ泥舟を見に行って来た。その際、高速道路は利用せず、国道20号線を往復した。国道沿いに何基か火の見櫓を見かけたが、車を停める場所もなく、大半はそのまま通過してしまった。
今回取り上げた火の見櫓は国道から少しだけ横道を入ったところに立っていた。敏感になった火の見櫓センサーが作動したので見つけることができた。横道にも、車を停める場所はなかった。偶々信号待ちになったとき、助手席の窓からカメラを火の見櫓に向けて撮ったのがこの2カット。全身写真も上半身写真も(って、人物写真のような表現だが)、きちんと撮れたと自己満足。
スレンダーな美人で、じゃない、スレンダーな櫓で梯子が中に収まらかったのか、外に取り付けてある。3角形の屋根は随分久しぶりのような気がする。見張り台は多角形だが、何角形だろう、12角形?半鐘が屋根の中に入っていないというのは珍しい。ブレースの輪っか(勝手に環状バックルと呼んでいる)が大きく見える。
未来を担う子どもたちに、私たち大人は何ができるのか・・・。
今週末ざっと再読してみよう。
仕事に関係する本はたくさん読むように、仕事に関係ない本もたくさん読むように・・・。
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■ 火の見櫓が全国的に盛んに建てられたのは昭和30年代のことだが、その歴史は江戸時代、明暦の大火にまで遡ることができるという。この大火は1657年(明暦3年)の冬に発生し、江戸の街の大半を焼き尽くしたといわれる。
この大火の翌年に定火消が設けられ、火消屋敷に建てられたのが、火の見櫓の始まりだという(『火の見櫓 地域を見つめる安全遺産』鹿島出版会の「消防団の歩みと火の見櫓」による)。また、耐火建築の蔵もこの大火がきっかけとなって1720年以降に造られるようになったそうだ(『ecoms』33の記事による)。
このころ都市防災の歴史が始まったと言っていいだろう。
ところで、火の見櫓の魅力のひとつに、民家にも通じるデザインのアノニマス性がある。誰がデザインしたのか分からない、そう「詠み人知らずのデザイン」の魅力。
今回取り上げた火の見櫓のような現代のデザイン、構造力学という西洋の知によるデザインとは違った、職人の経験と感性によるしなやかなデザインの魅力・・・。でも、この現代の火の見櫓は昔からある火の見櫓の基本的な構成が踏襲されている。
火の見櫓 みんなちがってみんないい!
■ 諏訪大社上社本宮のすぐ近くにこの道祖神がありました。
双体道祖神の上に幣(ぬさ)が彫られています。神社の近くだから、という単純な理由からなのかどうかは分かりません。神宮寺村と右側にあります。諏訪市中洲神宮寺という地名にこの旧村名が残っています。
地名は自然や歴史を負う文化ですから簡単に消し去っていいはずがありません。
■ 『気候変動とエネルギー問題 CO2温暖化論争を越えて』中公新書で著者の深井 有氏は**一〇〇年後に地球の気温がいくらか上昇することが日本にとってそれほどの重大事なのだろうか。その可能性を減らすために年間一兆円以上も費やすことが、果たして理にかなったことなのだろうか。(後略)**とまえがきに書いている。ここに深井氏の基本的なスタンスが示されているとみてよいだろう。氏は**温暖化防止キャンペーンは費用対効果が疑問であるだけでなく、その科学的根拠も、実は極めて希薄なのだ。**と続けている。
100人で賛否が半々の場合、100人中50人も賛成しているとするか、50人も反対しているとするか、客観的なデータも取り上げる人の考え方というのか、立場によって全く逆の評価になる。
地球温暖化。この問題については類書を読まなくては・・・。本書を読んで、そう感じた。そこで『低炭素経済への道』 諸富 徹・浅岡恵美/岩波新書を買い求めた。
**刻一刻と進行する地球温暖化。この未曾有の環境変動を前に、従来型の経済発展はもはや許されない。いま必要なのは、CO2の排出を大幅に削減し、なおかつ経済を向上させる、新たな成長戦略だ。困難な課題を克服する鍵は、産業構造の転換にある。低炭素化による経済の大いなる可能性と将来ビジョンを示す。**
カバー折り返しのこの一文で、読んでみようと思った。
188 松本市内は小俣の火の見櫓 3角形の櫓に6角形の屋根と見張り台
■ 屋根の軒先が直線ではなく、韓国や中国の寺院のように大きく反っています。見張り台の手すりはいたってシンプル、細い丸鋼だけで構成されています。体重をかけたら手すりが曲ってしまうのでは? と心配です。床にサイレンが置かれていますから、半鐘は叩かなくなってしまったのでしょう。
簡単なトラスで脚部としてのデザインがなされています。
1 櫓のプロポーション ★★★★
2 屋根・見張り台の美しさ ★★★
3 脚の美しさ ★★★
たまたま立ち寄ったコンビニのすぐ近くに立っていました。 観察日 110817
■ 「火の見櫓に呆けていていいのか」という別の私の声が聞こえました、なんちゃって。(^^ゞ で、昨日(17日)、夏休み最後の日はこの本を読みました。
本書では後にクライメートゲート事件と呼ばれることになる2009年の事件がまず紹介されます。**実は、「CO2温暖化」については二〇〇九年に一つの事件が起こっていた。IPPC報告書に「科学的根拠」を提供してきた英国の研究所の内部資料が流出して、温暖化を示すデータの多くが意図的に作られたものであることが白日の下に曝されたのだ。**まえがきより引用
このクライメートゲート事件のことなど全く知りませんでした。日本のマスコミにはほとんど取り上げられなかったからです。「CO2温暖化」に慣らされていると、本書の内容は俄かには信じがたいのですが、客観的な数々のデータが示され、それらの解説を読んでいると、そうか・・・、そうなんだ・・・と次第に思えてもくるのですが・・・。
本書には、地球の気候変動が宇宙線によって主に支配されていることが示されています。宇宙線が具体的に気候とどのように関っているのか、については本書を読んでいただくしかありません。説明するほどきちんと理解できていませんので。
本書に示されている過去1200年間の北半球平均気温と銀河宇宙線強度の時経変化のグラフをみると、細部に至るまで変化がよく対応していることが分かります。
「大気中の二酸化炭素がこれまでの気候変化の主因であったという科学的根拠は存在しない」っていわれても・・・。別の本も読んでみます。
高過庵/設計:藤森照信
昨年の夏(2010年7月24日~8月29日)に茅野市美術館で開催された「藤森照信展 諏訪の記憶とフジモリ建築」で低過庵の構想が示されていました。実現するといいですね。
空飛ぶ泥舟/設計:藤森照信
いいロケーションに浮かんでいます。
金子茶房/設計:柳沢孝彦
諏訪大社上社本宮の前にある「金子茶房」は地元企業の日東光学のショールームに併設されたカフェです。残念ながらカフェはお休みで、内部を見ることはできませんでした。2階のコの字形のフレームを連続的に並べた木造の架構を見たかったのです。どのようにしてドミノ倒しのようにならないようにしているのか・・・。外壁は板張りで塗装は緑色を帯びた黒色、上品な色です。
また出かける機会があるでしょう。
諏訪大社上社本宮
石段と門、その奥の社殿はシンメトリックな位置関係を避けて配置されています。ヨーロッパの建築ならきっちりそのようにに配置するところでしょう。対称性を外して配置する、日本人の美意識の反映だと教科書的に書いておきます。
門の右側の柱は石段のちょうど真ん中にありますがこれは偶然ではなく意図的に配置されたものでしょう。この位置から社殿の唐破風が見えますが手前の木に隠されてその全貌は把握できません。これも計算されたことなのでしょう。
このような配置を「奥性」の演出と捉えることもできるでしょう。
「奥性」の過去ログ
■ 前稿で紹介した茅野市の火の見櫓(右)に負けず劣らずいいプロポーションです。印象が異なるのは屋根・見張り台の形が違うからだと思います。屋根や見張り台が4角形だと男性的な印象になり、円形や六角形だと女性的な印象になります。この2基、似合いのカップルといったところでしょうか。
屋根の納まりがどうなっているのか分かりません。上の屋根が小さすぎ、ということで下の屋根を後から追加したのではないかと推察します。見張り台は随分凝った造りになっています。手すりや見張り台下のデザインに製作者(制作者とすべきかもしれません)のこだわりを感じます。
脚部 櫓の荷重をしっかり受け止めて大地に伝えているということが伝わってきます。
火の見櫓三昧の夏休みに満足。
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櫓の立ち姿 上方へ伸びていくかのようなフォルム、ちょっと細め、美しい! 踊り場の位置も好ましい。
カラスが見張り台の手すりにとまってあたりの様子をうかがっていました。緩やかな勾配の屋根に長めの避雷針、いいバランスです。軒先の飾りも控え目で屋根とマッチしています。
1 櫓のプロポーション ★★★★★
2 屋根・見張り台の美しさ ★★★★★
3 脚の美しさ ★★★★
メンテナンスがきちんとされている様子、状態の良い火の見櫓です。 神長官守矢史料館、空飛ぶ泥舟の近くに立っています。
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■ 細身の櫓 ブレースの方式が丸鋼とリング式ターンバックルから交叉アングルに途中で変わっています。
取り外した半鐘が見張り台に置いてあります。屋根と見張り台の離れはちょっと間延びした感じがします。
脚部 アーチ状の斜材を使っています。
1 櫓のプロポーション ★★★
2 屋根・見張り台の美しさ ★★★
3 脚の美しさ ★★★
大変厳しい評価をしました。
184 塩尻市洗馬小曽部
梯子兼用櫓のてっぺんの腕木に半鐘を吊り下げた簡素なつくりの火の見です。塩尻市洗馬小曽部(せば こそぶ)の金山という集落の火の見櫓です。もうこの先には火の見櫓はないだろうな、と思いながらも車で谷あいの道路を進んでいくと・・・。
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ありました!いままで進んで来た谷あいを見下ろすようなところに。3角形の櫓に6角形の屋根と見張り台、ちゃんと半鐘も付いています。脚部もきちんと造ってあります。律義な人たちが造った火の見櫓、そんな感じがします。別の方向から撮った写真も載せておきます。