透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

平成最後、4月のブックレビュー

2019-04-30 | A ブックレビュー



■ 平成31年(2019年)4月の読了本は5冊。

『波紋と螺旋とフィボナッチ』近藤 滋/角川ソフィア文庫 自然の造物主が植物や動物のデザインに単純な数理的ルールを用いているのかを解き明かしている。

『オリンピックと東京改造 交通インフラから読み解く』川辺謙一/光文社新書

『鳥肉以上、鳥学未満。』川上和人/岩波書店 食物のニワトリを注意深く観察すればいろんなことが分かる。

『論理的思考のコアスキル』波頭 亮/ちくま新書 ノートを取りながら読んだ。手元に置いて書名と同じ章題の第Ⅱ章に時々目を通したい。

『事大主義 ―日本・朝鮮・沖縄の「自虐と侮蔑」』室井康成/中公新書 一通り読んだが全く知識の無い内容に理解が及ばない。もう一度、今度はノートを取りながら読みたい。





瑞兆 鴇羽色の空

2019-04-29 | E 朝焼けの詩


撮影日時 190429 04:54AM

連休3日目 

普段より早起きする。5時前、既に東の空が朝焼けしている。

『日本の傳統色』長崎盛輝/京都書院 から今朝の朝焼けの色を探す。曙色より少し赤みがある色はないかな。鴇羽(ときは)色! そう、この色だ。

今日は何か良いことがありそうだ。


 


「ライアンの娘」

2019-04-28 | E 週末には映画を観よう



■ 「ライアンの娘」、ネットで調べて1970年(昭和45年)の映画だと分かった。ということは今からおよそ50年前ということになる。当時私はこの作品を映画館(松本の縄手通りにあった「中劇」か)で観た。

主人公の若い女性、ロージー・ライアンが日傘をさして海岸を歩くシーンとロージーに好意を抱く体の不自由な男、マイケルだけが映像記憶として残っている。ストーリーは全く覚えていない。

10連休初日の昨日(27日)の午後、3時間を超えるこの大作をレンタルDVDで観た。映画の中で繰り返し流れるテーマ音楽を思い出した。「そう、このメロディ!」

時は1916年、アイルランドの海岸近く(頻出する海岸の様々なシーンが印象的だ)の小さな村が舞台。村でバーを営むライアンの娘ロージーが主人公。19歳のロージーは中年教師チャールズに愛を告白して結婚するも、新婚生活に物足りなさを感じてしまう。

そこへ敵国(後年、アイルランドは独立運動をする)イギリス軍のランドルフ少佐が赴任してくる。彼は第一次大戦で右足を負傷し、心も病んでいる。父親のバーで留守番をしていたロージーのところへランドルフ少佐がやってくる。

ふたりは恋に落ちる。この不倫がロージーも、夫のチャールズも傷つけ、ランドルフを自死に至らしめる。ロージーは人生の奥深さを知ることとなる。

映画のラスト、離婚を決めたふたりは連れ立って寒村を後にする。

欲求不満な若妻が若くてイケメンの敵国軍人と恋に落ちるという括りもできるが、俗な不倫物語に終わらせないところは、デヴィッド・リーン監督の腕か・・・。

次も同監督の懐かしの作品、「ドクトル・ジバゴ」を観よう。





「論理的思考のコアスキル」

2019-04-27 | A 読書日記



 『論理的思考のコアスキル』波頭 亮/ちくま新書 読了後の備忘録

・思考とは、何かを分かろうとして、情報と知識を照らし合わせたり、繋ぎ合わせたりして意味合い(メッセージ)を得ること(019頁)

・狭義の論理とは既呈命題と次段階の命題とを繋ぐ、「思考の道筋(推論)」(033頁)

・私の言語の限界が私の世界の限界を意味する(ヴィトゲンシュタイン 075頁) 思考は言葉によって成立するということ


論理的思考のコアスキル

1 適切な言語化
 ① 過不足のない言葉の選択
 ② 十全な文の作成
 ③ 文章・文脈の整理

2 分ける・繋げる
(1)分ける
 ① ディメンジョン(抽象水準)の統一 菜の花 花 植物
 ② 適切なクライテリア(分類基準)の設定
 ③ MECEな分け方 相互背反、集合網羅 (もれなく、ダブリなく)
      Mutually Exclusive , Collectively Exhaustive


MECEな分け方を次段階、またその次の段階へと展開していくと、モレもダブリも無い、極めて精緻な“体系”を作ることができる。いくつかのMECEな階層から成る体系は最も論理的な事象の整理の形である。(113頁)

(2)繋げる
 ① コロケーション 事象と事象、概念と概念を意味的関連性によって繋ぐ
 ② アナロジー 構造の類似性で繋ぐ

3 定量的な判断
 ①確率で判断する
 ②統計的に判断する

論理的コアスキルは全て、知識と経験があってこそ機能する。知識や経験が無ければそもそも思考することはできないのである。(155頁)


本書の章立て

第Ⅰ章 論理的思考とは
1 思考とは何か
2 論理とは何か
3 論理展開の方法

第Ⅱ章 論理的思考のコアスキル
1「適切な言語化」スキル
2「分ける」スキル・「繋げる」スキル
3「定量的な判断」スキル
4 アセットとしての知識と経験

第Ⅲ章 コアスキル習得の具体的方法
1 what to do:何を練習するのか
2 how to do:どう練習するのか
3 練習の総量:どれくらいやればよいのか

第Ⅳ章 クリティカル・シンキング
1 ネイチャーとして間違える脳
2 クリティカル・シンキング:それは本当に正しいのか


 


「論理的思考のコアスキル」

2019-04-24 | A 読書日記



■ このところほぼ週2回のペースの朝カフェ読書、非日常から日常のひと時になった。

昨日(24日)の早朝、松本ライフサイトのツタヤで『論理的思考のコアスキル』波頭 亮/ちくま新書を買い求め、隣のスタバで読み始めた。いつもの席でいつも通りホットのショートをマグカップで飲みながら。

物事を論理的に考え、論理的に話すということは必要なことだ。

人に何かを説明する場合、例えばA、B、C、3つの計画案のどれに賛成するのかを説明する場合、何となくA案が良い、では説得力に欠ける。なぜA案に賛成するのか、その理由を論理的に述べないことには説得できない。A案が良いとする自分の結論、その根拠を明快な理路をもって示さないことには、議論にもならない。

この本は参考になるだろう。


 


鯉の季節

2019-04-24 | B 繰り返しの美学


繰り返しの美学 山梨県北杜市高根町にて 撮影日190413

水中を泳ぐ鯉、空中を泳がせようと考えた古の人の発想ってすごい。

同じようなものを繰り返し直線状に並べるとそこに秩序が生まれ、その光景を美しいと感じる。このことを「繰り返しの美学」と称して時々取り上げてきた。

先日、北杜市高根町で目にしたこの光景、まさに繰り返しの美学だ。


繰り返しの美学について(過去ログ)


 


茅葺きの大屋根の民家

2019-04-23 | A あれこれ


茅葺きの大屋根の民家 山梨県北杜市高根町 撮影日190413

■ 今、私の関心事は火の見櫓だが、民家への関心を全く無くしてしまったわけではない。先日山梨県北杜市で火の見櫓巡りをしていて、この民家と出合った。茅葺きの大きな屋根の民家だ。よく手入れされた庭木や生垣の切れ間に見える洗濯物などに生活感がある。現役の茅葺きの民家を見かけたのはずいぶん久しぶりだ。

火の見櫓の原初は江戸初期だが、茅葺きの民家はそれより遙かに古い。縄文時代の竪穴式住居と書きたいところだが、全国各地に復元されている竪穴式住居が茅葺きであることには、異論もある(過去ログ)。まあ、縄文・弥生、その頃に始まった、とざっくりと押さえておけばよいだろう。

この民家の屋根棟に突き上げ屋根の原形を思わせる煙抜きがある(過去ログ)。この辺りも養蚕が行われていたのだろう。この煙抜きを何と呼んでいるのだろう。全国に民家を訪ね歩いていたころであれば、住民の方に訊いただろうが、今は関心が薄れてしまっている・・・。



 


「鳥肉以上、鳥学未満。」

2019-04-22 | A 読書日記



■ 『鳥肉以上、鳥学未満。』川上和人 @スタバ

Q:この本の出版社はどこでしょう。上の写真は画像処理をして出版社を消してあります。



A:岩波書店です。あの堅いイメージの岩波でこんなデザインの本を出版していたとは・・・。



本の内容についてはエピローグから次の件を引用しておく。

**無飛翔性の祖先は、飛行を誘発する条件を持っていた。事実、1億5000万年以上前に彼らは空に一翼をかざし、未知の世界への進出を試みた。しかし、飛行初心者のその体は、まだ祖先の名残を引きずっている。歯のある口、肉々しい尾、重い体、いきなりタカのように自由自在に飛べたわけではない。べらぼうに長い時間をかけ、今に至る空を飛ぶための形を洗練させてきた。
私たちの食卓には、その成果がいとも簡単に紹介されている。真っ白なテーブルクロスに並ぶ小洒落たウェッジウッドに鎮座するのは、単なる栄養源であろうか。否、そこには博物館にも引けを取らない無限の情報が、気の遠くなるほどの長い進化の歴史が、私たちに見出されるのを今か今かと待っている。**(181頁)

例えばモスバーガーでモスチキンを食べる時、ボーっと食べないで、観察すればいろんな情報が得られると説いている。持ちやすい骨の正体は上腕骨。

食肉としてポピュラーなささみはどこの部位の肉か。それは何をするための肉か。この本で知ったが、ささみは翼を持ち上げるための筋肉。

「知らなかった情報」満載本、なかなかおもしろかった。