goo blog サービス終了のお知らせ 

透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

028 やがて

2010-06-30 | A 火の見櫓っておもしろい

    
028 安曇野市穂高有明  撮影日100630


 

 屋根の一部が欠損しているためなのか、全体的に少し貧弱に見える。屋根の頂部には矢羽根付きの棒状突起(避雷針か)がついている。これはよく見かける意匠だ。

このように老朽化してくるとやがて解体・撤去されてしまうだろう。すべての火の見櫓がたどる道だろうか・・・。


 


浅草寺仲見世通り

2010-06-27 | B 繰り返しの美学


 浅草寺の仲見世通りが「繰り返しの美学」であることには前から気がついていた。昨日(26日)の午前中に出かけた。

雷門から浅草寺(現在工事中)まで、仲見世通りはおよそ250メートルあるとのことだが、同じデザインで秩序づけられた通りは遠近感が強調され、通りの両側に軒を連ねているさまざまな店舗が縁日のような雰囲気を醸し出している。非日常的な空間は歩いていて楽しい。



通りの裏側は壁の色が統一されている。これはべんがら色、でいいのかな。表側とは全く表情が違うが、これも繰り返しの美学のパターンのひとつだ。私は裏側の表情の方が好きだ。

027 火の見櫓観察は続く・・・

2010-06-27 | A 火の見櫓っておもしろい


027 東京浅草

 昨日(26日)、所要があって東京した(「東京する」などという言葉はないが・・・)。午前中は浅草で路上観察。浅草寺近くの店の壁を飾っている「火の見櫓」。火の見櫓に注目していなければ、まず観察することのない飾りだ。

今朝、新宿発7時のあずさに乗車。高架化された国立駅を過ぎたあたりから火の見櫓がないかなと窓の外を見ていた。八王子駅の少し手前(豊田駅寄り)で火の見櫓を見つけた。東京にも火の見櫓がある!それも中央線のすぐ近くに。

山梨県内でも火の見櫓を何基も見た。山梨は長野と同様、火の見櫓の多い県だ。あずさが長野県に入って間もなく、青柳という駅の近くだと思うが、スタイルのよい火の見櫓を2基見た。

どちらも白い綿のシャツと、丈が長くて白いフレアースカートを身につけ、つば付きのやはり白い小さな帽子をかぶったスタイルのよい女性のような火の見櫓だった。オルセー美術館展で観たクロード・モネの「日傘の女性」に喩えてもよい。さわやかな印象だった。

さらに近くには4本の柱がそれぞれ垂直に伸びてそのまま大きな屋根を支えている、直方体の櫓の、いままで見たことのないデザインのものもあった。見張り台は2畳(1坪)くらいあるかもしれない。

いつか観察に出かけたい。まだまだ火の見櫓の観察は続く・・・。


 


― 石造の火の見櫓?

2010-06-23 | A 火の見櫓っておもしろい


― 火の見櫓ではない(太鼓櫓) 
大町市の竃(かまど)神社の前面道路脇にある火の見櫓ならぬ太鼓櫓 撮影日100623

 石造の火の見櫓は珍しい。ネットでこの火の見櫓のことを調べてみると、どうやら大正年間につくられた石造の櫓(?)を昭和35年に修復して火の見に転用したということのようだ。石の表面に刻まれた文字をきちんと読めばこの火の見櫓の由緒が分かるかもしれない。

裏側に梯子が取り付けられている。見張り台の下が1メートルちょっと鉄骨造なのは石造部分が低すぎたということか。デザイン的には石造の上に直接見張り台が載っていたらどっしりと貫禄がある火の見櫓になっただろう。もともとどんな目的で造られた石造物なのだろう・・・。灯籠?

この火の見櫓には前から気がついていたがいままで路上観察する機会がなかった。今日ようやく観察の機会を得た。晴れた日の午前中に改めて写真を撮らなくては。


 竈神社の太鼓櫓


026 あっさり塩味

2010-06-20 | A 火の見櫓っておもしろい



026 松本市梓川 撮影日100605

 ラーメンにたとえればあっさり塩味。すっきりした印象の火の見櫓だ。

上方への絞り込みが直線的。脚部は上方と同じで、アングルとブレースによる構造。円形の見張り台にシンプルな円錐の屋根。フィニアル(頂華)もすっきり、シンプル。

梯子が接地していないのは、この火の見櫓が既に使われていないからだろう。半鐘は吊り下げられたままの状態。叩けばいい音がしそうだけどな。 


 追記:撤去され、現存しない。


― 木を見る 森を見る

2010-06-19 | A 火の見櫓っておもしろい


山形村にて 100523

 半鐘を叩かなくなった今、火の見櫓はホース架けとして、あるいはスピーカー設置櫓としてかろうじて生き延びている。でもやがて取り壊される運命にあるから、今のうちに観察しておかないと。

この火の見櫓の屋根の形はどことなく和風。方形(ほうぎょう)屋根の勾配や反りの強さというか程度が、例えば五重塔の屋根と同じくらいなのかもしれない。どれどれ・・・


東寺の五重塔

四隅のまきひげ状の飾りは神輿にも付いていて「蕨手」と呼ばれるようだ。そうか、めでたい神輿の意匠を火の見櫓の屋根にもってきたのか・・・。

ところで火の見櫓の観察ということでは、近くで火の見櫓を構成している部位を観察することも必要だろうし、風景の中のシンボルとして遠くから観察することも必要だろう。木を見て森を見ないということ、森を見て木を見ないということのないように。

火の見櫓っておもしろい。


 


― フィニアル

2010-06-16 | A 火の見櫓っておもしろい


朝日村の火の見櫓

 西洋館につきものの塔、その先の空に向かって尖っている飾りをフィニアルと呼ぶ。火の見櫓の屋根の先の飾りもフィニアルと呼んでもいいだろう。頂華という呼び方もあるようだが、少し調べてみないとよく分からない。

この部分のデザインは色々、屋根の稜線のカーブも色々。制作者は屋根のデザインには特にこだわっていたのだろう。この部分だけを観察しても面白い。


「はやぶさ」

2010-06-16 | A 本が好き 



 「はやぶさ」の地球帰還とサッカーの対カメルーン戦勝利。いいニュースが続いた。

サッカー、日本は少ないチャンスをものにした。終盤は防戦一方でハラハラしながらテレビを観た。でもまあ、内容がどうであれ勝ちは勝ち。次のオランダ戦はどんな試合になることやら。

「はやぶさ」が様々なトラブルを乗り越えて地球に戻ってきた。7年の長旅だった。本体は大気圏で燃え尽きたが、ちゃんとカプセルを地上に届ける役目を最後に果たした。「はやぶさ」に感情移入してよく頑張ったと涙してしまった。ああ、涙もろい中年。

*****

今から40年前、1970年にアポロ13号は到底考えられない事故(*1)に見舞われたが3人のクルーは奇跡の生還を果たした。

この出来事はドキュメントにまとめられ出版された。邦訳本が新潮社から出ている(『アポロ13号奇跡の生還』ヘンリー・クーパーJr. 立花隆訳)。

*1 **二つあった酸素タンクが二つともだめになり、三つあった燃料電池の二つがだめになり、二つあった電力供給ラインの一つが死んでしまったのだ。燃料電池がだめになるということは、エネルギー源がいっさいなくなるということである。** 訳者まえがきより引用。

「はやぶさ」がトラブルを乗り越えて達成した成果はアポロ13号に匹敵するという解説が昨日(14日)の朝刊に掲載されていた。

科学技術の継承というのは専門技術者の間で行われればそれでいい、というものでもない。一般市民がその内容にふれることがことができるかどうか、また市民がそのようなことを望むかどうか、国の文化度ってこういうところに現れると思うのだが。

『アポロ13号奇跡の生還』のように「はやぶさ」のプロジェクトの全貌を「読み物」としてまとめて欲しい。ネット上のばらばらな情報だけでは物足りない。




 


― コンクリート製の火の見櫓

2010-06-13 | A 火の見櫓っておもしろい

 

 休日。今日は部屋にこもって読書しようと、書棚から取り出したのが『路上探検隊 奥の細道をゆく』。 路上観察学会の会員が山形県まで出かけていって採集した「あれこれ」を収録した本。91年に読んでいる。

表紙の写真は赤瀬川原平さんが採集した「ポストになりたい狸」。赤瀬川さんはこの狸をポストに化けたつもりなんだろうと見る。そして、もしかして赤いポストはちゃんと化けたお母さん狸ではないか、と見る。この想像力ってすごい、やはり作家だ。

パラパラとページをめくっていって、「なぜ山形の火の見櫓はコンクリート製なのか」という見出しが目に入った。藤森照信さんの記事だ。藤森さんも全国の火の見櫓に注目してきたという。本文に**戦前のものは見かけるとタクシーを停めてでも写真をとるようにしてきた。**とある。

その藤森さんがコンクリート製の火の見櫓をみつけた。鶴岡市内で路上観察したコンクリート製の火の見櫓の写真が載っている。

**だいたい火の見というのは全国どこでも木造から鉄骨造へとダイレクトに進化するのがふつうで、コンクリート造という脇道を経過すること自体が異例なのである。**とする藤森さん。

なぜコンクリート製なのか、その理由については名探偵も分からない・・・。


 


024 025 デザインのセンス

2010-06-13 | A 火の見櫓っておもしろい


024 山形村中大池 撮影日100612(現存しない)


025 塩尻市洗馬(小曽部) 100612

 2基の火の見櫓を比べてみると随分印象が違う。

上の山形村の火の見櫓は実に力強く堂々としている。櫓は下から上へと次第に絞り込まれていくが、その形が美しい。4隅のアングル材がなめらかで美しい曲線を描いて上方に伸びている。それを中間部の踊り場が束ね、視覚的にぎゅっと締めている。櫓の頂部をまとめる屋根もこの力強い櫓に相応しく存在感がある。

下は上の火の見櫓と比べると、構造的には少し貧弱な印象を受ける。一番違うのは柱脚部のデザイン。上は4本の脚の踏ん張り方がぴたりと決まっていて安定感があるが、下のは櫓の荷重をしっかり受け止めているということが視覚的に伝わってこない。何十年も風に耐え、地震にも耐えてきたという事実が、構造的に問題はないということの証左なのだが。

*****

超高層ビルは高度な解析によって構造的な安全性が検証されている。でも視覚的に不安を覚えるようなデザインのビルも目にする。見た目に不安定な形は高度な構造解析が可能にしたとも言えるが、やはり基本は視覚的に安心感を与えるデザインをすることではないだろうか。 

上の火の見櫓から東京タワーを連想した。東京タワーは荷重(横方向からの風荷重)によって生じる応力に忠実に対応した形という印象だが・・・。                   


 

 


休日の午後

2010-06-13 | カフェトーク

「こんにちは、お久ぶりです」
「やあ、元気?」
「あ、はい。このカフェ、私も知ってました。前に一度お友達と来たことがことがあります。いいですよね、ここ。テラスの席だと涼しいですね」
「そうだね」
「桜の花見ができたカフェも素敵でしたけど」

「チーズケーキおいしそう。私、コーヒーとチーズケーキにしようかな。U1さん東京に行ってきたんですね、ルーシー・リー展観てきたんですか、いいなぁ」
「ブログ読んだね。ルーシー・リー展は良かった・・・、とにかくきれいなんだよ。特に細かな線文を入れた小ぶりの作品がよかったな」
「陶芸って私も好きなんです。行きたかったな。昨日、書店で「芸術新潮」を見ました」
ルーシー・リーの特集号が出てるね。非常に繊細な感性の持ち主という感じだった」

「やはりそうでした? 小柄な女性ですね。優しそうな雰囲気」
「作品には人柄が出るね」
「文は人なり、っていうけど、芸術作品すべてに当て嵌まる?」
「そう思うよ。人はみんな自分がかわいいから、作品に自分を投影しようとしてる。もうひとりの自分を探しているなんて言えば大げさだけど」

「自分探しですか・・・」
「そう、恋愛ももうひとりの自分探し」
「え~、そうなんですか。ところでU1さん火の見櫓に恋しちゃってますね」
「いや、火の見に恋しても、ね。でも火の見ってみんなちがって、みんないいんだよね」
みんなちがって、みんないいって、金子みすゞでしたっけ」
「? あ、そう。「わたしと小鳥とすずと」だっけ?」

「ええ。私好きですよ、金子みすゞの詩。ところで、火の見櫓っておもしろいですか? 私には分からないな・・・」
「そう? 消えつつあるものの、何だろう・・・、哀愁かな」
「新しくつくられることってもうないんですか?」
「ないだろうね、もう役目を終わっているからね、消えていくだけ」
「なんだか寂しい・・・」

「そこに惹かれているのかも。それに火の見にも人柄が出ているからね」
「人柄が、ですか? 私にはわからないな。あ、風が涼しい」
「水を張った田んぼを渡ってくるから」
「有明山がシルエットになって田んぼに写ってきれい」
「昔ばなしの絵本に出てきそうな形してるね。朝は常念、日暮れは有明山」
「あ、それいいですね、なるほど、です」
*****

「これから、どうする?」
「私、今日は買い物してから帰ります。また誘ってください」
「そう、じゃ今度は暑気払いしよう」


「小布施 まちづくりの奇跡」

2010-06-11 | A 本が好き 



 小布施は長野市の北に位置する小さな町だ。町のHPによると人口はおよそ1万2千人、役場を中心とする半径2kmの円内にほとんどの集落が収まるという。

修景によって景観を整え、魅力的な町をつくりだした結果、毎年120万人もの観光客が訪れている。

『小布施 まちづくりの奇跡』新潮新書は小布施のまちづくりの経緯と現状のレポート。著者の川向正人氏は東京理科大学・小布施まちづくり研究所所長。

街並み保存は建築の「外」の保存に過ぎず、「内」との関係が断たれているから映画のセットのようでそこに生活感が無い。

東京の表参道には個性的な建築が並ぶが、どれも自己完結的なデザインで隣の建築との関係が考慮されていない(デザインされていない)。ケヤキ並木がかろうじて街並みを秩序立てている。ケヤキ並木が無かったら魅力の乏しい街並みになっているだろう・・・(この具体例は本書には出てこない)。

川向氏は小布施のまちづくりのポイントを建築の「内」と「外」をつなぐ「中間領域のデザイン」と「建築と建築の間のデザイン」がきちんとなされていることだと明快に指摘している。

高井鴻山、宮本忠長、市村郁夫、そして環境意識の高い一般住民。小布施町は人に恵まれた。

昨日購入、本日読了。






023 これは・・・

2010-06-10 | A 火の見櫓っておもしろい


023

 塩尻市片丘で見かけた火の見櫓。シンプルなデザイン。高さは4メートルくらい。櫓の下半分が植物に覆われてしまっている。この様子から現在使われていないことが分かる。かつては年に何回も打鐘されていただろうに・・・。

使わなくなっても手入れはして欲しいな、と勝手に思う。続けて書きたいことがあるが控えておく。

それにしても火の見櫓ってあちこちにあるものだ。長野県には火の見櫓が多いらしい。まだまだユニークなデザインのものが見つかりそうな気がする。

火の見櫓の路上観察は続く・・・。


022 火の見櫓いろいろ

2010-06-10 | A 火の見櫓っておもしろい

      
022 塩尻市片丘

 用事を済ませて自宅に帰る途中でこの火の見櫓を見かけた。

カーブミラーと比べると火の見櫓のおよその大きさがわかる。そう、高さは3メートルもない。この火の見櫓は小さいが故に却って存在感があった。なかなか立派な半鐘が吊るされている。

それにしても火の見櫓はいろいろだ。