撮影日2021.08.31 3無33型
火の見櫓が身にまとうドレスはいくつになってもハデハデ
■ 松本と新島々を結ぶアルピコ交通上高地線、8月14日に松本駅からほど近くの田川橋梁が被災した。大雨で田川が増水、河床が削られ、コンクリート製の橋脚が傾いて橋桁が大きく歪んだ。このために松本―新村間が運休、アルピコ交通は同区間をバスによる代行運行で対応している。
SNSパネルに納まる太田さん
上高地線をこよなく愛する太田 岳さん(過去ログ)が上高地線の早期復旧を願ってプロジェクトを立ち上げた。多くの人にSNSパネルで顔写真を撮ってもらい、#はしれ僕らの上高地線 をつけてメッセージを発信してもらうというプロジェクト。これには上高地線の早期復旧はみんなの共通の願いであることを可視化、強調するという意図があるのだろう。太田さんは###が線路に見えるというからかなりの鉄道好きだと思う。
このプロジェクトは複数の地元メディアでも紹介された。同じパネルに納まった顔写真が何枚も何枚も投稿されることを想像すると、なんだか楽しそうだし、大きな力になると思う。
文庫本が整然と並ぶ書架 『鉄道会社の経営』佐藤信之(中公新書2013年)を買い求めた。
太田さんは上高地線を舞台に本を通じた交流を と考えて何年か前から上高地線の電車内で古本市を開催していたが、コロナ禍で中断せざるを得なくなり、今年(2021年)の4月に下新駅で「本の駅・下新文庫」を始めた。毎月1回2日間、下新駅で文庫本を200冊ほど、書架に並べて販売している。この活動にみんなで上高地線早期復旧の願いをアピールするという上記のプロジェクトを加えたというわけだ。彼の行動力に拍手。このすばらしい活動が多くの人たちに広がることを願っている。
こちらの記事を是非ご覧ください。→しましま本店《本の駅・下新文庫》
「愛してる」なんてカンチューハイ2本で言えるなら こんなに苦労しねってことよ
■ 寅さんシリーズ第40作「寅次郎サラダ記念日」を観た。今回の舞台は長野県の小諸と早稲田大学。マドンナの真知子(三田佳子)が小諸病院の医師で、真知子の姪の由紀(三田寛子)が早大生、という設定。
小海線の電車で日本酒の小瓶を窓台に置き、寅さんが車窓を流れる景色を見ながらちびちび飲んでいる。ああ、いいなぁと思う。ぼくもこんな旅がしたい・・・。
寅さん、小諸駅前のバス停で知り合ったお婆さんに自宅に招かれ、酒を飲み交わし、民謡を歌って楽しい一夜を過ごす。翌朝、小諸病院の真知子先生が車でやってくる。お婆さんは病魔に侵されていて余命いくばくもない身だった。お婆さんは家で死にたいとずっと入院を嫌がっていた様子だが、寅さんに優しく説得されて病院へ。寅さんと一緒に車に乗ったお婆さんが、これが見納めだと自宅をしみじみ眺め、そっと手を合わせて拝む。切なくもいいシーンだ。
お婆さんは小諸病院に入院。お世話になったお礼にご馳走すると、寅さんは真知子先生に食事に誘われる。お婆さんから、先生が旦那さんと死に別れて寂しく暮らしていると聞いた寅さん。さあ、これで条件は整った。
ふたりは商店街を歩きながら小諸駅前へ。駅から由紀ちゃんが手を振りながら走ってくる。由紀ちゃんは時々東京からおばさんのところへ来ているようだ。
3人は真知子先生が下宿している立派な旧家へ。ここは小諸、藤村の例の詩が話題になる。小諸なる古城のほとり 雲白く遊子悲しむ この詩の遊子を寅さんは勇士と思って、ガキの頃真田十勇士にずいぶん憧れたとか、とんちんかんな受け答え。これには真知子さんも由紀ちゃんも大笑い。寅さんっておもしろい人ねぇ、となる。お婆さんにも同じことを言われていた。
*****
とらやに帰った寅さん、早稲田大学に由紀を訪ねる。構内で男子学生に声をかけて、教室へ案内してもらう(由紀のことを男子学生が事務室へ行き、学生名簿を調べて日本文学を専攻していることが分かる)。
教室で西洋近代史の講義が始まる。産業革命について説明する教授。産業革命と言えば蒸気機関、ワット。にわか聴講生となった寅さん、教授にトンチンカンな質問をしたうえ、ワットという友人がいると言い出す。ワット、寅さんはが演じたワット君のことを話し出す。教授も講義をやめて、寅さんの話しを聞く。こうなればもう寅さんのペース。学生たちに大うけ。
ワット君とは第20作「寅次郎頑張れ!」で、幸子ちゃん(大竹しのぶ)に恋した若者(中村雅俊)のこと。この作品を観たばかりだから、この話はピンときた。で、この作品のマドンナはワット君の姉の藤子さん。藤子さんを演じたのは藤村志保さん。この芸名は島崎藤村から採られ、志保という名前も初出演した「破壊」の役名だったとのこと。第40作「寅次郎サラダ記念日」は舞台が小諸で、藤村の詩も出てくるから、繋がった。
*****
この作品で由紀ちゃんは寅さんと真知子さんの心を読み取って、それを声に出して相手に伝える役目だと気がついた。
寅さんと再会した由紀は「好意をもってるのよ、寅さんに。死んだ旦那様にこの辺がそっくりでとってもなつかしいって」と告げ、おばさんに電話してあげて、と電話番号を教える。この辺って顔のエラの張った部分のこと。
真知子さんが休みをとって東京の実家に帰ってくる。由紀もここから大学に通っている。
由紀は大学で寅さんに会ったとおばさんに話す。真知子さんは寅さんが柴又に帰っていることを知り、電話して柴又で会うことに。約束の日曜日、とらや(この作品から「とらや」は「くるまや」と名前を変えているが)にやって来たのは真知子さんひとりではなく、真知子の息子、由紀ちゃん、大学で寅さんを案内した学生の茂君(由紀と付き合い始めている)、それから源ちゃんと満男。
夕方、真知子さんたちを柴又駅まで送って行った寅さん。
ホームで「寅さんといると、どうしてこんなに楽しいのかしら」と真知子に言われた寅さん、例によって「いつもバカなことばっかり言ってるから。おれさくらにしょっちゅう怒られてるんだよ」と、まともに返さない。真知子さんは続けて「寅さんと話しているとねぇ、何て言うのかなぁ、私がひとりの女だということを思い出すの」とまで言う。
・・・・・
小諸病院に帰った真知子さん、いや真知子先生が由紀ちゃんに電話で、寅さんの説得で入院したお婆さんが重篤で、明日まで持つか持たないかの状態になり、寅さんに会いたがっていると伝える。
このことを聞いた寅さんは、夜遅くに由紀ちゃんと茂君と車で小諸に向かう。翌朝、小諸病院に着く。でも間に合わなかった・・・。
霊安室でお婆ちゃんと対面して焼香する寅さん。泣きながら外に出ていく真知子先生。廊下で寅さんの胸に顔をうずめて泣く真知子先生。ここだけ切り取ったらなかなか好いシーン。
*****
真知子先生の下宿先、由紀ちゃんが食事の支度をしている。
「青年」と茂君に声を掛け「駅まで送ってくれるか?」と寅さん。
「帰るの~? 今一所懸命晩ごはんの支度してるのに」
仲間が松本で待ってるんだと答える寅さんに
「ダメよぉ、おばちゃまに叱られるわ、あたし」と由紀ちゃん。
「いいか、由紀ちゃん。おばさまは女だ、悲しいことやつらいことがあった時にちゃーんと筋道を立てて、どうしたらいいかなぁと考えてくれる人が必要なんだよ。由紀ちゃんそういう人探してやんな、な」
「でも、その人が寅さんじゃいけないの?」「バカなこと言っちゃいけねぇ おばさまが聞いたら怒るよ」
「寅さん、好きなのね・・・、おばちゃまが」と淋しげに。由紀ちゃんがここでは寅さんの心を言葉にする。
寅さんテーブルのサラダをフォークで一口食べて、「いい味だ」。
寅さんが「この味いいね」と言ったから 師走六日はサラダ記念日
年が明けて由紀から真知子に届いた年賀状
旅だってゆくのはいつも男にて カッコよすぎる背中見ている
この作品で印象に残ったのは、真知子先生が院長室で、仕事から離れて自分を見つめ直したい、と病院をやめたいと院長に相談する場面。院長が強引ともいえる言葉で病院に留まるように説得する。院長を演じたすまけいは第38作「知床慕情」では船長を好演していた。みんなでバーベキューをした時の挨拶はなかなか好かった。そして、この作品で院長として真知子先生に説く力強い言葉もなかなか好かった。院長の話を聞き、病院で働き続けることを決める真知子さんを演じた三田佳子も実に好かった。ここだけでなくホームで寅さんに語り掛ける場面の演技も実に上手いと思った。
寅さんと真知子さんの恋とは言えぬ淡い淡い恋の物語
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(再)松本市新村 3脚〇〇型 撮影日2021.08.28
逆光、火の見櫓がシルエット状に写っている。屋根下に半鐘があるのか分かりにくい。設置してあるのは半鐘ではなく、モーターサイレン。踊り場のところに双盤(型の半鐘)がある。
この火の見櫓、避雷針の飾りが造形的になかなか好い。
(再)東筑摩郡朝日村古見 3脚66型 撮影日2021.08.27
植物の生長力に驚き、火の見櫓が使われなくなっていることを悲しむ・・・。
■ 8月27日は「寅さんの日」、ブログ友だちのコメントで知った。寅さんシリーズの第1作が公開されたのが1969年のこの日だったことにより決められたとのこと。ちなみに記念すべきこの作品のマドンナは御前様の娘の冬子(光本幸子)。
寅さん、恋の現役引退か?
昨日、寅さんの日にシリーズ第20作「寅次郎頑張れ!」を観た。
とらやの2階に電気工事の仕事をしている良介(中村雅俊)が下宿している。良介は行きつけの食堂で働いている幸子(大竹しのぶ)に恋している。このことを知った寅さん、恋のコーチ役を買って出る。寅さん現役引退か・・・。
ある日のある出来事で失恋してまったと思い込んだ良介はとらやの2階でガス自殺を図る。で、2階が大爆発! 幸い良介は軽傷で済んだものの心の傷は深く、故郷の平戸へ帰っていく。良介のことが心配で平戸を訪れた寅さん(寅さんは実にマメだ)、そこで雑貨店を営む良介のお姉さんの藤子と出会う。彼女が結婚に失敗して独り身だと知るや、現役復帰! 藤子の仕事を手伝うことに。
寅さん他にも田舎の旅館の女将に惚れて旅館の仕事を手伝ったり、寺の娘に惚れて、寺に居候して住職に代わって法事を務めたり・・・。
平戸の街で自転車を飛ばす寅さん。ハンドルを握らずにハンドルの下のブレーキを持って走りながら歌うは「憧れのハワイ航路」。
ある日さくらからの電話で幸子にフラれていなかったことを知った良介は姉さんと一緒に東京へ行くことにする。姉さんに幸子を紹介したかったのだ。姉さんもとらやにお詫びしなくてはならないし。
留守番を頼まれた寅さんだが、藤子の後を追うように柴又に帰る。お金が無くなって上野から柴又ま歩いて、寅さんよれよれ。
良介と幸子、藤子、それから寅さん、今回の「恋愛関係者」、それから幸子のおじさんも、タコ社長もいつものように加わってとらやで乾杯、宴会。
さて、この後に重大な出来事が・・・。
宴会の最中に良介が姉に話があると声を掛け、ふたりは2階へ。ちょうど布団を敷いていたさくらにも、一緒に聞いて欲しいと良介。
良介が姉に問う、寅さんと結婚する気があるのかと。その気がないのなら、寅さんが平戸に一緒に帰るのを断らなくてはいけないと、きっぱりと言う。そう、寅さんは藤子と一緒に平戸に帰って、手伝いを続けようとしているのだ。藤子に惚れているが故に。だが、藤子はそのことに気がついていない。いや、気がついているのかもしれないが・・・。
自分が寅さんだったら、姉さんを許さないと、強い口調で話す良介。好きでもないのに、好きなような態度をとって利用しているだけじゃないか、と迫る。
冷静に寅さんシリーズを観ている人は、マドンナに対してこのように思うことがあると思う。ぼくは第3作「フーテンの寅」で旅館の女将(新玉三千代)にこの思いを抱いた。いいように使っているだけじゃないかと。山田監督がすごいのは、ちゃんと客観的に自分の作品を捉えているところだ。
寅さんはこのやり取りを階段のところで聞いてしまう。ここは実にシリアスな場面だ。
翌朝、さくらはアパート(寅さんシリーズを順番に観ていないので、混乱するが、この時はまださくらたちは一軒家に住んではいなかった)の近くで待つ寅さんにお金を入れた封筒を渡す。さくらはお兄ちゃんに実に甘い。旅先で無一文になった寅さんを迎えに行ったこともある。さくらに見送られて寅さん旅へ。
その後、良介は幸子と一緒に平戸に行き、寅さんは旅先で偶然にも旅芸人一座と再会、トラックから大空小百合ちゃんに「車先生!」と声をかけられる。繰り返す、寅さんに偶然はつきものだ。
この作品はやはり良介の姉に対する、いやマドンナに対する指摘がポイントだろう。
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■ 久しぶりの狛犬。東筑摩郡生坂村下生野の五社宮に古い狛犬がある、ということをしばらく前に地元紙・MGプレスの記事(8月11日付)で知った。先日、所用で近くまで出かけた際、五社宮に立ち寄って観賞した。
一般的には向かって右側が口を開けている阿形(あぎょう)の獅子、左側が角があって口を閉じている吽形(うんぎょう)の狛犬、という配置だけれど、ここの狛犬はこの特徴からすると、左右逆。設置するときに左右間違えた、ということでないことは狛犬の姿形から明らか。まあ、何事にも例外はあるもの、この場合も何らかの理由でこうなっているのだろう(と割り切ってしまおう)。以下、便宜的に左右とも狛犬と書くことにする。
▽右側の狛犬
石段を登ったところに鎮座している狛犬。狛犬の際まで階段が迫っているので、正面から写真が撮れなかったが、全体のバランスは良い。目が青い。MGプレスの取材記者も目が青いことに注目したようで、いつ頃から青かったのか、取材を試みたようだが分からなかったという。このくらいの彩色なら気にならない。なかなか顔つきも好い。
▽ 左側の狛犬
つるりんちょな体
尾がつるりんちょ(平滑)な体に貼り付くように彫られている。参拝する時は正面か側面しか目に入らないが、後ろ姿にも注目したい。バックシャンな狛犬も少なくない。
嘉永六丑年という刻字がある。その上の二文字が読めない。下は時?上は分からない・・・。読めないのは知らない漢字だからではなく、知識がないから。左側の文字は惣代世話人と読める。嘉永六年は西暦で1853年、黒船来航の年。この年に建立された。今から270年近く前のことになる。
△ 拝殿
△ 神楽殿
086 松本市高宮北 4脚8〇型 撮影日2021.07.04
撮影日2021.08.21(火の見櫓はもう無い。上の写真とは逆方向から撮影した)
■ 国道19号沿いに立っていた火の見櫓が8月20日に解体撤去された。撤去されたのは戦前、1930年(昭和5年)に建設された火の見櫓で、松本市内では最も古い部類の1基だった。
列車のラストランには多くの鉄道ファンが駅のホームに押し寄せ、停車中の姿を撮影するなどして別れを惜しむ様子がテレビのニュース番組でも取り上げられる。だが、長年地域を見守り続けてきた火の見櫓が取り壊されるという日に、その様子を見守る人はまずいない。
寂しい・・・。
■ 信濃毎日新聞に毎年7月から8月にかけて連載されるインタビュー記事「山ろく清談」がいつ頃始まったのか分からないが、1966年8月19日、今から55年も前の「山ろく清談」に北 杜夫が出ていたことが『マンボウ思い出の昆虫記』(信濃毎日新聞社2013年)で分かる(過去ログ)。
『マンボウ思い出の昆虫記』112頁
今年最後の「山ろく清談」、作家の宮本 輝へのインタビューが24日に掲載された。**70歳を過ぎ再び読書の虫になりました。トルストイの「戦争と平和」、島崎藤村の「夜明け前」・・・。天文学とか遺伝子工学の本も読みます。**と記事の中のにある。
しばらく前に僕が再読を終えた「夜明け前」については、19日のMGプレスの読者投稿欄にも「今、読みたい「夜明け前」」という見出しの投稿が掲載されていた。
投稿者は**読破を試み、途中で心が折れかけたなら、全4巻のうちの最終巻から読むという“奥の手”を試してみるといい。**と書いておられる。僕も同感。最終巻を読めば、主人公の青山半蔵がどのような人生を送ってきたのか気になって、第1巻に戻って、初めから読みたくなるのではないか、と思う。
この長編小説を加賀乙彦は日本の近代小説の白眉、と評しているが、高島俊男は『お言葉ですが・・・』(文藝春秋1996年)で、**へたくそな小説で、あんなものを名作という人の気がしれないが(後略)**(68頁)と手厳しい評価をしている。まあ、評価は人それぞれ。
**木曽路はすべて山の中である。**という有名な書き出しで始まるこの長編は**一つの音の後には、また他の音が続いた。**と、終わる。
何の音なのか、この小説を読んだ人なら直ちに分かるかもしれませんね。ぼくはこんなふうに終わることを忘れていましたが・・・。
C1『新型コロナワクチン本当の「真実」』宮坂昌之(講談社現代新書2021年)
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■ 新型コロナワクチン接種をためらっている人に一読をおすすめしたい本。**本書は、免疫学者である著者が、新型コロナウイルスとワクチンに関する最新の科学的知見を分析して、一般の方々にぜひ知っていただきたい情報をまとめたものです。**と「はじめに」に紹介文がある。
カバーと言った方がよいと思うような幅広の帯に**数年後に悪影響や副作用は出ない?**とある。まさにこのことが心配で接種を控えている人も少なくないと思われるが、本書の中で著者の宮坂昌之氏(*1)はこのことについても、分かりやすく解説している。
本書の構成は以下の通り。
はじめに
プロローグ 新型コロナウイルス感染症はただの風邪ではない
第1章 新型コロナワクチンは本当に効くのか?
第2章 新型コロナワクチンは本当に安全か?
第3章 ワクチンはそもそもなぜ効くのか?
第4章 ワクチン接種で将来「不利益」を被ることはないのか?
第5章 ワクチン接種で平穏な日常は戻るのか?
第6章 新型コロナウイルスの情報リテラシー
第7章 「嫌ワクチン本」を検証する
第8章 新型コロナウイルス感染症の新しい治療法、そして未来
エピローグ
数年後の悪影響について、宮坂氏は
**万が一、新型コロナウイルスの一部が私たちのDNAに組み込まれて、これが子どもや孫まで遺伝するのではないか・・・**
**数年後、ウイルスの遺伝子が動き出して、思わぬ影響をもたらすのではないか**(ともに148頁)
といったことを具体的に挙げ、このような不安に対して、
**mRNAワクチンによって、ウイルスのmRNAが細胞に入っても、そこからDNAが合成されることはないため、私たちのDNAにウイルスが組み込まれることはないのです。**(149頁)とセントラルドグマ(情報の流れの一方向性で、逆行することはない。すなわちDNA→mRNAという流れ、この逆のmRNA→DNAという流れはない)という基本原則により説明している。
さらに、**mRNAワクチンの中にある遺伝子はスパイクタンパク質を作る設計図しかありません。特定のパーツしか作ることができない単純な遺伝子が、複雑極まりないヒト遺伝子の転写制御システムを組み換えることなどできません。**(149、150頁)と説明している。
**そもそもウイルス遺伝子がゲノムに入り込むことを恐れるのであれば、ワクチン接種よりも、生きた新型コロナウイルスそのものが細胞内に入り込む「感染」を恐れるべきです。**(161頁)確かに。
**専門家がマスコミを介して発する情報のなかにも科学的なエビデンスが著しく不足しているものも少なくありません。**とも指摘している。
まあ、様々な情報の中から信ずるに足る情報だけを取り出して、それらをきちんと吟味・判断して接種する、しないを判断するしかないだろう。
*1 大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授(カバー折り返しに掲載されている著者のプロフィールより)
本書をまだ読了しておらず、しかも内容を咀嚼できていないので、本文の引用が多くなっていますが、ご容赦願います。
撮影日時2021.08.24 05:28AM
大丈夫 きっとまたみんなで集まって
わいわいがやがや たのしく飲むことができる日が来るよ
その日まで その日まで・・・
■ 先週の土曜日(8月21日)、ブラタモリで長野県の諏訪が取り上げられた。題して「なぜ人々は諏訪を目指すのか」。
番組の中で諏訪湖は横ずれ断層でできたということが紹介された。番組を見ていて、この横ずれ断層のことを詳しく紹介した新聞記事があったこと、そして、その記事を保管していることを思い出した。昔のことはよく覚えているものだ。
1996年(平成8年)、信濃毎日新聞に「活断層を歩く」というタイトルの記事(写真上)が連載されていて、同年の12月10日付朝刊では松本市街地の軟弱地盤のことが取り上げられていた。この記事にプルアパートベイズンの模式図(写真下)が載っている。この用語はブラタモリには出てこなかったけれど、諏訪湖の形についてこの模式図によく似た図により説明がなされた。
新聞記事には**なぜ、松本駅を中心に沈降し、南北の方向に軟弱地盤が細長く延びているのだろうか。(中略)プルアパートベイズンのモデルで説明できるかもしれないという。牛伏寺断層と松本盆地東縁断層は、真っすぐにはつながらない。二つは、ずれていて、松本市街地で左ステップしている。そう考えた場合、その間が左横ずれ断層の動きから、底抜けになり、くぼ地になる可能性がある。諏訪湖なども、そうだと言われている。** とある。関連サイト→こちら
諏訪では地盤が大きく陥没して諏訪湖ができたが、松本は諏訪程陥没せず、沼地のような状態になったということだろう。諏訪と松本の地形の成因は同じということ。松本の沼地は深瀬と呼ばれていたが、それが深志と変化したと聞いたことがある(ような気がする)。松本がもっと深く陥没していたら、松本にも湖ができていたかもしれない。
ところでブラタモリ、次回(9月11日)は松本、また見なくちゃ。
■ 映画「男はつらいよ」をかなりのハイペースで観ている。全50作(*1)のうち、既に観た作品数は30作を越えた。このあたりで印象に残る場面を作品順に挙げてみたい。
□ 第10作「寅次郎夢枕」。この作品のマドンナは幼なじみの千代(八千草薫)。 ふたりが亀戸天神でデートする場面は印象的。お千代さんが寅さんにもう4時間も経っているけれど、話しがあるのなら話して欲しいという場面。その後、寅さんに結婚を申し込まれたと勘違いしたお千代さんはいいわよと答える。過去ログ
□ 第11作「寅次郎忘れな草」。マドンナはリリー(浅丘ルリ子)。リリーが夜遅くに酔っぱらってとらやを訪ねてきて、寅さんと飲みながら今から旅に出ようと誘う。でもこんなに遅い時間だともう夜汽車もないと寅さんは断る。この時の寅さんは理性的で良識あるおとなの振る舞いをする。寅さんには家があり、家がなくて根無し草の自分とは違うことに気がついたリリーが寂しさに耐えかねて涙する場面。過去ログ
□ 第28作「寅次郎紙風船」。ラスト、マドンナの光枝(音無美紀子)を柴又駅まで送る寅さん。駅前で光枝は俺が死んだら寅の嫁になれって亡くなった旦那から言われ、寅さんにも話してあると聞いているけれど、と寅さんに伝え、寅さんの気持ちを確認する場面。誠実で優しい寅さんに惹かれていた光枝は、寅さんから本気で約束したという返事を期待していたけれど、相手が病人だから適当に相槌を打っていただけだと聞かされる。この時の淋しそうな光枝の表情。過去ログ
□ 第29作「寅次郎あじさいの恋」。マドンナのかがり(いしだあゆみ)と寅さんがかがりの実家の居間で酒を飲む場面と、その後、離れの2階の寅さんが寝ている部屋にかがりが入ってくる場面。それから鎌倉デート、あじさい寺(成就院)で待ち合わせたふたり。かがりが寅さんに気がついたときのうれしそうな表情。過去ログ
□ 第32作「口笛を吹く寅次郎」。マドンナは結婚に失敗して実家の寺に戻っていた朋子(竹下景子)。第28作と同じような場面。やはりラスト、柴又駅のホームで朋子は父親から今度結婚するならどんな人が好いのか訊かれて・・・、寅さんみたいな人がいいって言っちゃたんでしょと寅さんが朋子に代わって答えた後、朋子は頷く。この後の寅さんの答えを聞いた朋子の悲しそうな表情。過去ログ
竹下景子のちょっとしたしぐさや顔の表情が実にいい。彼女が違うマドンナ役で3作品に出た理由はこのことにあるような気がする。
寅さんシリーズのレンタルDVDをTSUTAYA北松本店で借りて観ている。一通り観終わったら、総括的な記事を書きたいと思う。
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第38作までの欠番はレンタル中か欠品ではないかと思われる作品。
*1 第49作「寅次郎ハイビスカスの花(特別篇)」と第50作「男はつらいよ お帰り 寅さん」をカウントせず、寅さんシリーズの作品数を48作とする寅さんファンも少なくないようだ。第50作は2020年1月13日にシネコンで観た。以降、シネコンでは観ていない。それまでは毎年4、5本観ていたのに。
■ 寅さんシリーズ第34作「寅次郎真実一路」を観た。ストーリーはシンプル。大手証券会社に勤めるエリートサラリーマンがある日失踪。失踪した夫を探しに九州に出かける奧さんに同行した寅さんが彼女に惚れてしまう・・・。九州で夫は見つからず、寅さんはとらやに帰ってくる。何日かして行方不明だった夫がとらやを訪ねてきて、寅さんと一緒に家に帰り、一件落着。
マドンナのふじ子を演じているのは大原麗子。彼女は第22作「噂の寅次郎」でもマドンナの早苗を演じている。ふじ子の夫の富永健吉を演じている米倉斉加年は第10作「寅次郎夢枕」で、マドンナの千代(八千草薫)に恋する大学の助教授の役を演じている。この時は八千草薫、いや千代さんに振られてしまったが、この「真実一路」では美人の大原麗子、いやふじ子が奧さん。
上野の居酒屋のカウンターで飲んでいた寅さん、偶々隣で飲んでいた健吉と知り合いになる。寅さんと意気投合した健吉は寅さんの飲み代まで払う。その夜、なぜか寅さんはさくらの家に泊まる。
翌日、寅さんは健吉にお礼を言うために、健吉からもらっていた名刺を頼りに勤め先の大手証券会社を訪問。応接間で健吉を待つ寅さん。健吉が仕事を終えたのは9時。それから二人は連れ立って上野の飲み屋へ。翌朝、寅さんが目を覚ますとそこは健吉の家だった・・・。健吉は早朝6時に勤めに出てしまっている。寅さんとはあまりに違う健吉の日常。寅さんは寝床から遅くに起き出してきて、ふじ子と出会うことになる。
仕事疲れからだろう、ある日健吉は出社せずに失踪。
ふじ子を元気づけようと、寅さんはとらやにふじ子と息子を招く。
「いいわね、寅さん」
「いつもこんなふうに賑やかにごはんが食べられて」
「家族がそろって賑やかに食事するなんて、なんでもないことのようだけど、幸せってそんなものなのかも知れないわね」
いつも夫・健吉の帰りが遅く、息子とふたりで食事するふじ子がこのように言う。前稿の37作「幸福の青い鳥」でも同じことを書いたが、ふじ子のことばは山田監督の幸せに対する基本的な考え方だろう。
既に書いたようにその後、健吉を探しにふたりは目撃情報を頼りに九州は鹿児島へ。鹿児島は健吉の生まれ故郷。寅さん旅費は? 今回はさくらではなくタコ社長から5万円借りる。
鹿児島での健吉探しは結局空振りに終わり、とらやに帰って来た寅さんはなにやら悩んでいる様子。
「あの奥さんに恋するあまり、蒸発しているご主人が帰ってこないことを心のどこかで願っている自分に気づいてぞっとする、ということかなあ・・・」と博がおばちゃんに解説する。
その後の展開の詳細は省略。
マドンナの状況や寅さんとの関係については、いろんなパターンが設定できるけれど、今回のマドンナは夫が失踪してしまっている人妻。この設定で喜劇はあり得ない。全体のトーンは暗く、声を出して笑う場面などあろうはずもなく、楽しく観るということにはならなかった・・・。第15作「寅次郎相合い傘」でも中年サラリーマン(船越英二)が失踪するが、両作品は設定もストーリーも全く違う。相合い傘は良かったなぁ。
寅さんシリーズもいろいろ、ということ。
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■ 寅さんシリーズを続けて観る。で、第37作の「幸福の青い鳥」。
この作品のマドンナ・美保(志穂美悦子)は、寅さんが昔ひいきにしていた旅芸人一座の花形的存在だった大空小百合(丸顔の岡本 茉利が演じた)。小百合が大人の女性となって寅さんと再会する。あの子が大きくなっても、美保のような風貌にはならないだろうな、と思うし、寅さんと再会した時、「寅さん・・・」と声に出したけれど、「車先生・・・」と言ってほしかった。だが、まあ、そこは割り切って、過去の作品とは全く関係の無い独立した作品として観た。
九州に渡った寅さん、筑豊の嘉穂劇場(*1)をのぞき、そこに居合わせた裏方のおじさんから、旅芸人一座の座長が亡くなっていたことを聞く。人が集まらない寂しい葬式だったとも。で、線香をあげに座長の家を訪ねて炭鉱住宅へ。そこで座長の娘、この作品のマドンナ・美保と再会、となった次第。
その晩、寅さんは美保の紹介である旅館に泊まる。現在美保は酒席で客の相手をするコンパニオンをして暮らしていて、寅さんの泊まった旅館でその夜も団体客相手に歌を歌い、酌をしていた。その様子を寅さんは自分が泊まる部屋から静かに見ている。
翌朝、駅のホームで列車を待つ寅さんのところへ美保が香典返しを持って駆け付ける。寅さんは東京に向かうと美保に伝える。
一緒について行きたいという美保に寅さん、「欲しいものはねえのか?」と訊く。「青い鳥」と美保が答える。童話にでてくる青い鳥のことだ。寅さん、カバンから売ネタの残り物の青い鳥の笛を取り出して美保に渡す。
東京に出てくるようなことがあったら、柴又、帝釈天のとらやに寄るように伝え(他の作品でもマドンナに同じことを言う。で、マドンナが後日とらやを訪ねてくることになる)、「幸せになるんだぞ」と寅さんが言うのと同時にドアが閉まり、列車がホームを離れていく・・・。
ストーリーをトレースしていくと長くなるのでこのあたりで端折る。
その後、美保は上京、とらやに電話するも寅さん不在で会えず・・・。その後何日かして、美保は健吾という鹿児島出身の青年(長渕 剛)と知り合う。健吾は画家を目指しながら、看板屋で働いている。健吾も九州出身ということもあり、彼に親近感を抱く美保。
とらやでもめた寅さんが旅に出ようとするところへ、美保がやってくる、というお決まりのパターン。美保はとらやに下宿して近くの中華料理屋で働くことに。寅さん一家の団らんに加わって、美保はいいなぁ、これが幸せということなんだなと思う。そう、家族の団らんこそ、幸せの原点。山田洋次監督もこのことを一番に伝えたいのだと思う。
寅さんは美保の結婚相手探しに奔走。葛飾区役所の結婚相談室を源ちゃんと訪ねて相談員(笹野高史)に相談するが、その時、自分の好みのタイプをしゃべる。
丸ぽちゃが好きなんだよ、と寅さん。八重歯八重歯と源ちゃんが冷やかすように言うと、お前、知ってるなと寅さんは返す。そうか・・・、今までに見てきたシリーズでは誰だろう・・・。朋子さん、りん子さん(ともに竹下景子)かな。
何日かして健吾がとらやに来て・・・、ちょうどそこへ美保が出前でとらやに来て、ふたりは再会。ふたりはそこでもめて、健吾は美保に別れを告げてとらやを後にする。
「おまえはあの男が好きだし、あいつはおまえに惚れてるよ。おれから見りゃ、よぉ~くわかるんだ」と寅さん。さくらにも促されて健吾を追いかける美保。
柴又駅のホームでふたりはすぐ仲直り。健吾は美保と手を繋ぎ、そのまま自分のジャケットのポケットに入れる。まあ、よくある表現だと思うけれど、観ていて気持ちがほんわか・・・・。
その後ふたりは結婚。なんと婚姻届の保証人のひとりは寅さん。寅さんは区役所の結婚相談所を訪ねたとき、用紙をもらってきていたのだった。
ラスト、旅に出た寅さんは芦ノ湖の遊覧船乗り場で鳥の笛を売っている。そこへ若い女性が数人集まって、その内の一人が笛を手にして吹いてみる。なんともかわいい横顔、ストライクゾーンど真ん中、鄙里のおじさん好みではないか。誰だろう・・・、有森也実だった。彼女をマドンナにした作品が観たかったなぁ・・・。
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*1 登録有形文化財