● 昨晩に引き続き『雪形』について。
で、このフローリングと小説と何か関係があるの・・・?
主人公のふたり、外科医の信彦と奏子(かなこ)は穂高町の小さな美術館で開かれた、ある内科医院の開業パーティで出会う。
信彦がシャンペングラスを手にとって奏子で差し出す。グラスの中身はヨーグルト、上にかけられているシロップはあかしやの花の蜜だと奏子が指摘する。この先のふたりの会話がなかなかいいのだが、引用はしないでおく。
**松本平でも、梓川や奈良井川の堤防ばかりでなくあかしやの群生する場所がある。**
上の写真はこのあかしやの木を加工したフローリングのサンプルというわけ。これで写真と小説が繋がった。ニセアカシア(ハリエンジュ)を小説ではあかしやとしているが、著者は語感を気にして敢えてそう表現したのだろう。
で、ここからはこのフローリングについて。
手元にあるパンフレットによるとニセアカシアのフローリングは水まわりに適している、堅いので傷がつきにくく土足でもOK、保温性が高くて床暖房にも適しているとのことだ。
アメリカ原産のこの木が日本に持ち込まれたのは明治時代、街路樹として広まったらしいが現在では野生化して小説にもでてくるように河原にも群生している。私は奈良井川の堤防道路を車でよく通るが、しばらく前は藤に似た白い花が咲き乱れ、甘い芳香を放っていた。
この木がフローリングとして商品化されていることを最近知った。松本の業者が製品化したこのフローリング、アルプス公園(松本市内の公園)に最近オープンした施設(用途は忘れた)に使われているとのことだ。
地産地消(建築材料の場合には地産地生とでもしたほうがよさそうだが)を心がけている者としてどこかに使ってみたい。
『雪形』に戻る。
**信彦もコンビニの弁当を食べないわけではないが、プラスチックの四角やら丸やらの容器が好きではなかった。(中略)たとえば材質はプラスチックでもいくつもの容器に別盛りしてあると気持ちが和む。**
こういうところから著者の食に対する考え方を窺い知ることができる。
やはり「文は人なり」だ。そう、私はブログで私をさらけ出している・・・。