透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

朝カフェ読書

2019-08-31 | A 読書日記



 毎朝ラジオを聴きながら勤務先に向かう。聴く番組は決まっている。NHKラジオ第一の「マイあさ!」だ。昨日(30日)、番組の中の「マイ!BiZ」というコーナーで、組織の枠を超えて複数の仕事を持つパラレルワーカーの若い女性が語るランチタイム活用法、「年間200時間のランチタイム、どう活用しますか」を聴いた。

その女性は何か新しいことが始まったらいいなという想いからランチタイムに「はじめまして」の人と会うことにしているそうだ。ランチタイムなら1時間、枠が決まっているから気軽に初対面の人と会うことができるという。ここから新たな仕事が始まったりすることもあるそうで、このような行為を「可能性のボタンを押す」と捉えているそうだ。なるほど! 確かに週に5時間、月20時間、年200時間以上にもなるランチタイムを有効に使わない手はない。

私の場合はランチタイムではなく早朝、人ではなく本。しばらく前から朝カフェ読書をしている。週2回、月8回で8時間。ボケーっとしていてもそれまでの早朝、24時間営業している書店で本を探して朝カフェで読み始める。

昨日は朝カフェで『舟を編む』三浦しをん/光文社文庫を読み終えた。本を読み始める朝カフェ、本を読み終える朝カフェ。

新しい辞書の完成目指して日々作業を続ける玄武書房の辞書編集部の人たち。彼らが織りなす人間模様と共にその過程が描かれている。

**一冊の辞書を作るのに、初校から五校まで、校正刷りが五回も編集部と印刷所のあいだを行き来するようだ。校正刷りに修正を入れては印刷所へ戻し、修正が反映されたものが印刷所から送られてきたらまた確認し、といった作業を五回繰り返すということだ**(199頁)そう、私もまったく同じ作業をした。

主人公の馬締(まじめ)と結婚した香具矢(かぐや)は料理人。彼女は編集者のひとりに次のように語る。**「私は十代から板前修業の道に入りましたが、馬締と会ってようやく、言葉の重要性に気づきました。馬締が言うには、記憶とは言葉なのだそうです。香りや味や音をきっかけに、古い記憶が呼び起こされることがありますが、それはすなわち、曖昧なまま眠っていたものを言語化するということです」**(266、7頁)

なるほど! 

この作品は映画化されている。観よう!


時間だ。これから東京する。


いよいよ大詰め

2019-08-30 | H 「あ、火の見櫓!」



 「火の見櫓っておもしろい」を本にしようプロジェクトが大詰め、最終段階を迎えている。タイトルは既に「あ、火の見櫓! 火の見櫓観察記」に決まり、カバーや表紙のデザインも決まった。

今日(30日)の夕方6時過ぎから用紙の打合せをした。カバーは光沢がない方が好いといった私の希望や、本文の用紙は真っ白だと目が疲れて読みにくいなど私の感想を伝えて検討して決めた。本の見返しやとびらの用紙も見本帳から選んだ。しおりもつけることにした。

あとはもう担当のT君にお任せだ。


さて、次は・・・。


「舟を編む」

2019-08-28 | A 読書日記



 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』フィリップ・K・ディック/ハヤカワ文庫を読み終えて、『舟を読む』三浦しをん/光文社文庫を読み始める。三浦さんは『まほろ駅前多田便利軒』(過去ログ)で直木賞を受賞している。また、本作で本屋大賞を受賞している。この作品が話題になったことは知っているが、特に読みたいとは思っていなかった。それが芦田愛菜さんがエッセイ集を出したという新聞記事を読んで(過去ログ)、この小説を読んでみようと思った。

「アンドロイド」は登場人物も多いし、苦手な海外の作品ということもあり、読み終えるのに時間がかかった。が、この作品は登場人物も少ないし、読みやすい。

出版社の辞書編集部に引き抜かれたまじめな馬締(まじめ)君と、彼が暮らすアパートに満月の夜に突然現れたかぐや(香具矢)さん。かぐやさんは大家さんの孫。ふたりの恋の行方は? 

三浦さんの言葉に対する感覚の鋭さ、センスの良さが光る作品。



 


― 消えゆく火の見櫓

2019-08-25 | A 火の見櫓っておもしろい


(再掲)茨城県小美玉市堅倉 6脚〇〇6型(見張り小屋)撮影日160904

 茨城県小美玉市堅倉に6角形の火の見櫓があるとを知り、上京の折に足を延ばして見てきたのは16年の9月4日のことだった(過去ログ)。



残念なことにこの火の見櫓は今年(19年)の1月に撤去されてしまっていた。今日(25日)このことを知った。もうここに行っても火の見櫓は立っていない。

ああ、消えゆく火の見櫓・・・。


 


1209 安曇野市三郷の火の見櫓

2019-08-25 | A 火の見櫓っておもしろい


1209(再 欠番だったので新たに付けた)安曇野市三郷明盛 3脚〇〇〇型 撮影日190824 

 「あ、火の見櫓! 火の見櫓観察記」のカバー折り返しにプロフィールを載せることにした。プロフィール写真の背景にする火の見櫓として選んだのが、これ。



掛けてある消火ホースからこの火の見櫓の高さを推測する。17、8メートルくらいだろう。背が高い部類に入る。なぜこの梯子は目立つのかな? 見張り台がひと回り大きい方がバランスが良いかもしれないなどと勝手な感想。



3角形の櫓に円錐形の屋根が載る。手すりは円形で、手すり子は縦しげ、飾り無し。

梯子を見張り台の床から1m以上突き出している。床下に入れた円弧状の部材は床を支える役目をしている。



踊り場の様子 見張り台と同じように梯子を床面から1m以上突き出している。ここにも半鐘を吊り下げてある。床板も見張り台と同じ構成。デザインはバラバラより統一感があった方が好ましいので、これで可。



脚部についてはもう何回も書いているが、脚の下端まで副部材が伸びていて、トラス脚になっているのが好ましい。脚部について他に書くことがないのかな。





講演「エリ穴遺跡と縄文後晩期の社会」を聴く

2019-08-25 | A あれこれ

 
エリ穴遺跡から出土した耳飾り(配布されたリーフレットより)と缶バッジ

 松本市の郊外、内田地区にエリ穴遺跡という縄文時代中期から晩期にかけて拠点的な集落だった遺跡がある。この遺跡からは全国最多の2,643点もの土製耳飾りが出土しているそうだ。この縄文人がつけていたイアリング、大きなものは直径10cmもあるとのこと。

エリ穴遺跡では耳飾りの他にも様々な祭祀具が発掘されていて、その内の484点が平成31年1月に松本市の重要文化財に指定されたという。

このことを記念して昨日(24日)の午後、市内のMウイングで「エリ穴遺跡と縄文後晩期の社会 ―近隣諸県との比較から―」と題した講演があった。講師は早稲田大学の高橋龍三郎教授(匿名にする必要はないだろう)。彼とは高校1年の時、同じクラスだった。やはり同じクラスだったKさんからの誘いもあり、講演を聴きにでかけた。なお、エリ穴という変わった名前はこの地域の小字名だと市の職員から聞いた。

縄文時代は今から約1万2千年から約2,500年前まで、1万年も続いた時代だが、その後期から晩期は儀礼と祭祀(特に先祖祭祀)が活発化し、社会が階層化する過程にあったという。

取手市の中妻貝塚の多遺体再葬墓の人骨をmtDNA(ミトコンドリアDNA、母系遺伝で継承される)分析した結果、1人の女性のmtDNAをつ人が17人(29人中)という結果だったとのこと。この様なことから、縄文時代の対象期は母系制社会であることが分かったという。縄文時代の社会のことが実証的に分かるというのはすごいことだと思う。

市原市の祇園原貝塚の竪穴式大型住居は二重構造になっているそうで、内側の空間で秘密儀礼が行われていたのではないか、とのこと。祭祀・儀礼の執行役は血縁集団のリーダー(長老)と思われ、秘密の専門的知識があり、儀器を保管していたようだ。社会階層化の芽があったと解されるという。縄文時代は身分差のない、フラットな社会だと思っていたが、そうではなかったようだ。このような時代が延々と続き、やがて卑弥呼が登場するような時代になっていったんだろうなぁ。

高橋教授、いや高橋君はパプア・ニューギニアなどでも調査を続けているそうだが、縄文時代の社会のシステムを考察する上でヒントになるということであろう。

規模がそれ程大きくないエリ穴遺跡でなぜ、日本最多の2,600点もの耳飾りが出土したのだろう・・・。

周辺の集落の人たちもここの耳飾りを使っていて、使っていた人が亡くなるなどして役目を終えた耳飾りを返していたのかもしれない?

古代史はロマンだな。こう書いて本稿を閉じようと思った。

この言葉を検索して、こんな本が見つかった。『ロマンで古代史は読み解けない』坂本貴和子・渡辺英治/彩流社



読んでみたい。


 


宮脇 檀の本

2019-08-21 | A 読書日記

 

 

 建築家・宮脇 檀の本をKさんに差し上げることに。

自室の書棚はカオスな状態だが、建築関係の本を並べてある棚は比較的整然としているので、この4冊を難なく取り出すことができた。まだ他にも数冊あるような気がするが・・・。

『旅は俗悪がいい』中公文庫は1989年3月に読んだ。パラパラとページを繰っていて、第2章「目覚めることが旅である」の「塔 ―― 登ってよし、眺めてよし」という節の次のような件が目に入った。

**高い所に登ってみれば、全体のスケール、拡がり、屋根の形状と材質、建物の規模と分布度、その豊かさ貧しさ、広場や通りの位置、モニュメント(記念建造物)の配置など、なるほど、本当にいろいろなことがわかってくる。だから私は高い所に登るのが好きだ。東京タワー、京都タワーなどという俗な所から始まって、木曽路の奈良井の火の見櫓、大和の宝輪寺の塔、滋賀は五個荘の寺の棟瓦の上などと数えればきりがない。**(41頁)



奈良井の火の見櫓というのはこの火の見櫓(165)のことではないか。

『旅は俗悪がいい』を読んだ30年前に上掲の件で、火の見櫓に関心を持っていたら今や火の見ヤグラー歴40年・・・、と残念にも思う。

Kさん『檀流クッキング』は宮脇 檀ではなく、檀一雄の本でした。






川上弘美の本は私の書棚からYさんのところへ、村上春樹の本はTさんのところへ。次は誰の本を誰に?


 


― これも可、かな

2019-08-21 | A 火の見櫓っておもしろい


撮影日190818

 北安曇郡池田町会染の火の見櫓を数稿前に載せたが、そのすぐ近くの消防団詰所(下の写真の右奥、電柱の横に外壁が茶色の詰所が写っている)に半鐘を吊り下げてあることに気がついた。


池田町会染の火の見櫓

詰所とこの火の見櫓とは100mくらい離れているだろうか。火災予防週間などで団員が詰所に集まっているような時に、詰所からこの位置まで移動して見張り台まで登って半鐘を叩くのはちょっとしんどい(雨が降っていたら尚更)。だが、詰所のドアを開ければそこに半鐘があるというのは楽。消防団員の身になって考えると、詰所の半鐘も可、かな・・・。過去ログ


 


朝カフェ読書

2019-08-20 | A 読書日記

420

 このところ朝カフェ読書は週2回のペース、火曜日と金曜日が比較的多い。

今朝(20日)も7時半から小一時間、いつもの席で『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を読んだ。

いまやすっかり日常となった朝カフェ読書、自覚していないが案外贅沢な時間なのかもしれない。


 


朝焼けの詩

2019-08-20 | E 朝焼けの詩


撮影日時 190820 05:21AM

**放射性降下物の充満した朝の灰色の大気は、太陽をかげらせ、彼のまわりですえた息を吐き、鼻孔にまとわりついてくる。**(14頁)

**この惑星ぜんたいがすでにごみ屑への崩壊をはじめており、残留者たちが居住可能な環境を作るためには、しじゅうそのごみ屑をよそへうっちゃらなければならない・・・**(113頁)

『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』は第三次大戦後の放射能灰に汚染された地球が舞台のSF小説。


現実の地球環境がこんなことにならないように・・・。


 


夏休みの宿題

2019-08-18 | A あれこれ

 9日間の夏休みは今日(18日)で終わり。

自らに課した宿題はどうだったかというと、

読書3冊に対して4冊
『星を継ぐもの』ジェイムズ・P・ホーガン/創元SF文庫
『科学入門』武谷三男/勁草書房(再読)
『日本軍兵士 ―アジア・太平洋戦争の現実』吉田 裕/中公新書
『日本の風景 ふるさとの原型』樋口忠彦/春秋社

映画3本に対して5本
「インビクタス」
「パーフェクト・センス」
「ガタカ」
「ひろしま」NHK Eテレ(17日午前0時5分から)
「インセプション」

火の見櫓のある風景のスケッチ3点に対して1点
「安曇野市穂高有明」

計9つの宿題を課していた。スケッチは1点しか描けなかったが、読書4冊、映画観賞5本だったので、良しとする。
スケッチはもっと涼しくなってから、またしたい。


さあ、明日から仕事じゃ!


火の見櫓のある風景を描く

2019-08-18 | A 火の見櫓のある風景を描く



 9日間の夏休みも今日で終わり。

自らに課していた宿題のうち、読書3冊、映画観賞3本は既に終えていた。残りはスケッチ3点。脳内検索して、絵になりそうな火の見櫓のある風景を探した。穂高方面という条件付きで探して、ここがヒットした。

今日(18日)の午前8時半頃からペン(水性顔料インク)で線描した。所用時間はおよそ40分。暑さが厳しいこと、立ち続けるのがしんどいこと、10時過ぎからカフェトークの約束をしていることなどから、着色は夕方自宅に帰ってからした。着色に要した時間はおよそ50分。

消防団詰所の屋根の色は意図的に変えた。雲の輪郭は描かない方が良いかもしれない。ヤマハの看板のある右側手前の建物は外壁のラインがパース的におかしいが仕方がない。捨て線など引かないでいきなり本チャンの線を引くし、修正ができないから。

火の見櫓のある風景のスケッチはパスしようと思っていたが、最終日にこの1枚を描くことができた。これで良しとしよう。


(再)安曇野市穂高有明 3脚〇〇〇型 撮影日190818