芝居の話の最終回。
今回の芝居は、演じる役柄のせいもあるのでしょうが非常にエネルギーが要りました。
今までも『気合』は入れて、芝居をやっていたのですが、今回はちょっと違いました。
僕が演じた役柄は『戦争後遺症で、感情のコントロールが出来ない男』。
この役をやる為に、アメリカ軍のイラク帰還兵の話や、
自衛隊のアフガン派遣を経験した人が罹った精神異常について色々調べました。
ちょっとした事で怒り、暴力的になる。
周囲の人の些細な行動に対して、被害妄想的な感情が湧いてくる・・・・。
これは精神的なストレスの中で、緊張が続く事によって起きる一種の鬱病。
程度の差はあれ、10年ほど前に僕も鬱病になりそうになった時期がありました。
原因は会社のストレス。仕事がきついのは何ともなかったのですが、
人間関係のストレスで、かなり精神的に追い詰められていました。
会社に居る間は元気を装う。それが結構、ストレスを増幅してしまう。
自宅に帰ると、ちょっとした事で怒りっぽくなる。
その当時、子供達はまだ小学生で、些細な事ですぐに兄弟喧嘩をしていた。
普通の家で、普通にある光景です。
それが僕には煩わしかった。子供達に当たり、嫁さんにも当たる。
いつまでもゲームをやって居れば、取り上げて壊してしまう。
2段ベッドの上下で兄弟喧嘩が起きると、ベッドを破壊してしまう。
子供たちが怖がって、部屋に閉じこもればドアを壊してしまうなど・・・・
今考えてみれば、DV(ドメスティックバイオレンス)の日々でした。
しまいには体の調子がおかしくなる。夜は体温調節が出来ず熱くて眠れない。
嫁さんと別々に寝るようになったのはその頃からです。
実はこの一年ほど、その当時に近い状態で、平日になると夜、熟睡できないのです。
やばいなと思っていたところ、インフルエンザに罹患した事もあって
今一人住まいしている「秘密基地」に独りで暮らすことにした。
10年前みたいに、また家族を恐怖に陥れるのが怖くて・・・・・です。
幸いな事に、独りになってマイペースで暮らす事で少し楽になった。
それでも、ここ2カ月くらいはまた気分がおかしくなって、月曜日になると頭痛がする。
登校拒否の子供の気持ちが良く解るようになりました(笑)
帰宅しても何だか落ち着かなかったり、逆に何もしないでボォっとしてたりするので、
最近は、チャンスが有れば意識してライブハウスへ出かけたり、
友人の勧めで始めた、花瓶に花を活ける事で気持ちが安らぐ事をが判ったので、
そう言った事をしながら気分転換を心がけて、何とか週末まで繋いでいます。
週末は、芝居の稽古。これで役作りして自分を変える。
気分転換と云うより、気持ちを切り替えるにはもってこいの時間でした。
一緒に稽古したオジサン達も、僕の我儘に懐の深さで付き合ってくれて、
女性陣が愛情を込めて、いつも僕を励まし、カマってくれるので、
精神的に凄く安定して過ごせる時間になっていました。
芝居では、まさにそう云う精神が安定しない病気を持った男(ダン)を演じ、
それを戦友のジミー、エド、ハリーの3人が支え、守られながら生きて来たという設定。
そんな役を演じるせいで、怒りの芝居でテンションが上がりすぎちゃったり・・・・(笑)
今回は芝居で、今までとは違ったエネルギーが必要だったのは、
そう言った男性陣のチームワークや男同士の絆を見せる芝居と云う事もあったせいなのかな?・・・・
なんて思ったりします。
そう言えば、10年前の時は丁度劇団に入った時。
あの時も、家族のような劇団の皆さんに癒されて、気持ちが安定したのでした。
我々の劇団は、外見ほど和気あいあいな訳ではありませんが、
すくなくとも僕にとっては、『心が癒される仲間』。
劇団の仲間、指導して頂いた先生方、そして演出の座長と、それをサポートしてくれた
若手の劇団員に心から感謝しています。
この劇団を無くさないよう、出来る限り続けて行くのが、我々50代の使命かな?
なんてことを思い始めている今日この頃です。