今朝は幻の牡丹餅を買いに八時半に家を出た。
歩きである。車の通らない道を選んで歩いた。
川沿いの人影も無くなった桜並木をひたすら歩いていると前を七十恰好のご夫婦がまるで機械仕掛けのように同じ調子で左右左右と手を振り足を合わせて歩いていた。後ろから見ると奥さんがご主人の少し右後ろを歩いているように見えた。きっと亭主関白なのだろう、と想像した。以外と早足で追いつかなかった。国道へ出て横断歩道でやっと一緒になった。ちらっと見ると二人はきちっと横に並んで信号の変わるのを待っていた。奥さんが左肩にバッグを掛けているように思ったのも間違っていた。何も持たずウォーキングスタイルだった。信号が変わったところで私は前を歩きだした。二人は右に曲がると思っていたが後に足音がついてきた。川沿いを少し歩いて左へ曲ると二人はそのまま真直ぐ歩いて行った。十五分ぐらい歩いて再び川に出たところで先ほどのご夫婦に出会った。やはり同じように歩いていた。そこで二人の歩き方の不思議が氷解した。奥さんが旦那さんの右の後ろポケットに左手を入れて歩いていたのだ。奥さんの体が弱いのだと思った。亭主関白どころか思いやり一杯の素晴らしい旦那様だったのだ。人のことなど外からは分からない。
橋を渡ってもう二十分程歩いて目的の牡丹餅の売店への道を山の上の施設で確認すると遠くまで来すぎていた。引き返して山を目指して県道へ出て信号を渡ると目的の牡丹餅を売っているお店だった。急ぎ足で店内の陳列へ向かったが、そこにはもう売り切れてありませんでした。やはり私には幻の牡丹餅でした。楽しみは残しておこう。
歩きである。車の通らない道を選んで歩いた。
川沿いの人影も無くなった桜並木をひたすら歩いていると前を七十恰好のご夫婦がまるで機械仕掛けのように同じ調子で左右左右と手を振り足を合わせて歩いていた。後ろから見ると奥さんがご主人の少し右後ろを歩いているように見えた。きっと亭主関白なのだろう、と想像した。以外と早足で追いつかなかった。国道へ出て横断歩道でやっと一緒になった。ちらっと見ると二人はきちっと横に並んで信号の変わるのを待っていた。奥さんが左肩にバッグを掛けているように思ったのも間違っていた。何も持たずウォーキングスタイルだった。信号が変わったところで私は前を歩きだした。二人は右に曲がると思っていたが後に足音がついてきた。川沿いを少し歩いて左へ曲ると二人はそのまま真直ぐ歩いて行った。十五分ぐらい歩いて再び川に出たところで先ほどのご夫婦に出会った。やはり同じように歩いていた。そこで二人の歩き方の不思議が氷解した。奥さんが旦那さんの右の後ろポケットに左手を入れて歩いていたのだ。奥さんの体が弱いのだと思った。亭主関白どころか思いやり一杯の素晴らしい旦那様だったのだ。人のことなど外からは分からない。
橋を渡ってもう二十分程歩いて目的の牡丹餅の売店への道を山の上の施設で確認すると遠くまで来すぎていた。引き返して山を目指して県道へ出て信号を渡ると目的の牡丹餅を売っているお店だった。急ぎ足で店内の陳列へ向かったが、そこにはもう売り切れてありませんでした。やはり私には幻の牡丹餅でした。楽しみは残しておこう。