575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

コスモスに風のかたちを見てをりぬ   亜子

2016年10月04日 | Weblog
戦争が終わって、空襲に遭った名古屋の街は一面の焼け野原。
そんな街に帰ってきた少女はコスモスの種を焼け跡の蒔きました。
自然の摂理に従い、コスモスは秋に花を咲かせます。

焼け跡に少女は蒔きしコスモスの風のかたちを見つめておりぬ

きっと少女は未来を見ていたのでしょうね。

実景は、近くの公園のコスモス。近所のオジサンが種を蒔いたそうです。
この場合は風に過去を見ていたのかも・・・

       

  ひと住まぬ七軒長屋稲光

同じ作者の句。
あちこちに空家が目立つようになった昨今。
古い町並みのなかの七軒長屋も例外ではありません。
壊されずに残っていますが、普段は忘れていました。

稲光がその長屋を映し出しました。
昔の生活が一瞬の間、よみがえってきます。
住民の声も聞こえてくるような・・・
映画の一場面のように映像のしっかりした句です。
どこか不安な時代の空気も感じます。

                   遅足


コメント
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