梅の花を巡っている蜂。それを好色な光源氏に喩えました。
このように読むと「子蜂」ではなく「小蜂」が良いと思います。
好色はいまでは余り良い意味で使われていません。
しかし源氏物語の世界には、男女が情を通わせるのは
美しいと考えられていたようです。
平安時代といえば、先日訪れた京都の相国寺にある林光院。
ここに鶯宿梅(おうしゅくばい)という梅の木がありました。
今から千年ほど前、村上天皇の時代のこと、清涼殿前の梅が枯れたので、
紀貫之の娘の家にあった梅を移し植えたところ、枝に一首の歌が。
勅(ちょく)なればいともかしこし うぐひすの宿はと問はばいかが答へむ
天皇の御命令なので致し方のないことではありますが、鶯がやってきて、
私の宿はどこへ行ったの?と問われたら何と答えたらいいのでしょう?
これに深く感じた天皇は梅の木をお返しになり、以後、この梅の木は
鶯宿梅と呼ばれるようになったとのこと。
千年ほど前のお話で、梅の木も何代目かに当たるそうですが、
香りもすぐれ、白または紅、あるいは紅白まじった花が咲くそうです。
私が行った時は、まだ一、二輪ほどの開花でした。(遅足)