かって、訪問した信州・小諸に高浜虚子は疎開していました。
虚子が散歩した辺りを歩きました。浅間の噴火もかすかに見えた秋。
懐かしく思いだしました、と結宇さん。
高濱虚子が小諸に疎開したのは昭和19年から4年間。
冬は厳しく、しかし四季の美しい風土に接した虚子。
「小諸時代」と呼ばれる世界をつくりあげ、
のちに「小諸百句」として発表されています。
そのなかから。
淺間嶺《ね》の一つ雷《かみなり》訃を報ず
虹立ちて忽ち君のある如し
虹消えて忽ち君の無き如し
虹を見て思ひ思ひに美しく
人の世も斯く美しと虹の立つ
秋晴の淺間仰ぎて主客あり
この時、虚子が住んだ家は今も「虚子庵」として保存されています。
玻璃戸から歪んで見える浅間を眺めた虚子。
疎開先からふるさとを思う虚子。
その同じガラス戸から浅間を眺めた作者。
虚子の秋思に心を寄せて詠んだ一句と読みました。遅足