575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

けごろもに差し込むひかり春浅し  遅足

2022年02月25日 | Weblog

「けごろも」というひらがな表記に何故?と思いつつ魅かれて一票投じた句です。

防寒用の衣服であるなら毛の衣と書いてもよさそうな。

私の知らない本歌取り?もしくは、他に何か含む意があるのか・・・

ひょっとして透ける衣「はごろも」の間違い?(まさか!)

作者のミステリアスな笑顔が浮かんできました。

同じように感じて調べた方も多かったのではないでしょうか。

 

結宇さん:毛衣だと思います。

一本、一本の毛に光が経てるという姿でしょうか。ひかっているのが想像されます。

麗子:木蓮のふわふわの毛でしょうか?

早春にいち早く膨らみ始める木蓮の蕾。そこに光が当たり、近づく春を予感させます。

長かった冬ともお別れです。どこか希望が感じられます。

泉さん:けごろもについて、・・・・毛衣、褻衣、け衣(広辞苑)

 どのけごろもかなと思い、褻衣だと解釈しました。 褻衣=ふだん着

 

今月の自由題を見て気づきました。

木蓮や毛衣しろくひかりをり  佐保子

 

お二人はご夫婦ですので、同じ風景をご覧になっていると想像すると

木蓮の冬越しの芽ととるのがよさそうです。だんだん膨らむ形状は、確かにひらがなが合うように思います。

そこに差し込む光はまだ充分でないけれど、やわらかい春の光の赤ちゃんが宿っているような景色が見えました。

 

    

万葉集の一首を見つけました。

けころもをときかたまけて出でましし宇陀の大野は思ほえむかも

 

ここでの<けころもを>は<とき>にかかる枕詞

「ときかたまけて(時期が近づくと)」を原文で<春冬片設而>と表記することから、

ときは〈春冬〉であり、まさに春浅し。狩りの季節のようです。

この季節にもかけているのかも・・うーん。

謎解きのように思いはめぐります。「どうとってくれてもいいよ」という声も聞こえそう。

さすが宗匠です。 郁子

 

 

 

コメント (3)
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