最近、高層ビルの工事が多いせいか、怖いくらい大きなクレーンを見かけます。大空に字を書くような「くの字」のようなクレーン。まっすぐに伸びる「一の字」のクレーン。春の空に描かれる壮大な文字。
作者の晴代さんからは投句の際、一言「アームの形が女性を応援しているようにみました。」と添えられていました。折りしも、投句の締め切りは3月8日の「国際女性デー」の頃でした。(国際女性デーは1904年、ニューヨークで婦人参政権を求めたデモが起源となり1975年3月8日に制定されたそうです)
そうなのです。「くの字一の字」は春の空のクレーンを、女という文字(くのいち)に見立てておられたのでした。その感性とその歴史観に脱帽しました。それでは皆さんのコメントです。
竹葉さん:「くの字一の字」がとても独特な表現で素晴らしいと思います。
千香子さん:くと、字のリフレーンが効いていてとてもリズムが良いと感じました。
郁子さん:クレーンのアームが空をバックにくの字を浮かび上がらせる。これすごい発見だし、ほとんどの人がなるほどと思うでしょうね。解体バブルと言われているが、街のようすも変わっていく。始動の春にふさわしい一句と思う。
殿:クレーンが伸びて空に一の字を描いたのでしょう。エキセントリックな視点と韻のまとめ方に惹かれます。
★★★
遅足さん、佐保子さんも採られていました。晴代さんはマンションの窓からよく空を見ておられ、遠くの景色を詠まれていることが多いです。以前、「秋思あり肩に雲おき御嶽山」という句も作っておられます。これからも四季折り折りの空の句を詠んでいただきたいです。
それにしてもこの春、全ての女性への応援句として心に刻みたいと思いました。麗子