師走に入り一気に寒くなりました。いよいよ湯豆腐の出番ですね。
能登さんのこの句は、擬人化の一句。湯豆腐が煮えて「今が食べごろよ」と体を小刻みに揺らします。なんだか豆腐がいとおしく思えるユニークな句ですね。
郁子さん:擬人化がいいですね。
泉さん:ぐつぐつと煮えてくる湯豆腐に合わせて身も動く。
遅足さんも採っておられます。私もいただきました。同じ様子を詠まれた
亜子さんの
ひと揺らぎして湯豆腐の掬はるる
と迷いました。
亜子さんの句のポイントは「ひと揺らぎ」という繊細な動きに目をつけられたところだと思います。煮え過ぎるとおいしくないですもんね。
能登さん:拙句と同じことを詠んでいますが、こちらの方が俳句として上等。
郁子さん:豆腐が鍋から掬われるとき、確かに揺れますね。そこに目をつける作者の鋭さ、それこそ美味しい揺らぎです。
遅足さん、佐保子さんも採られています。
どちらも微妙な湯豆腐の動きを捉えた秀句だと思いました。どちらが上等ということではなく好き好きだと感じました。いずれにしても、鍋にかけてほったらかしではいけませんね。
今度湯豆腐を作る時は、この二つの句を思い出して、鍋の中をじっくり観察して食べ頃を見落とさないようにします。湯豆腐、なかなか奥深いです。
麗子
鍋の中で身を揺らし、食べ頃を教えてくれる豆腐をただ見つめる時間はとても贅沢な時間です。