575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

寒月の研ぎ澄まされた細さかな  麗子

2022年02月11日 | Weblog

麗子さん曰く

新年1月4日の月だったそうです。新月に近い細い細~い月を詠んだとのことでしたが、寒月という響きが静かな夜の空気感まで伝えてくれます。その場にいたわけでもないのに、凍てついた夜空に、鋭い切っ先の刃物のようにとがった月が見えました。

作者はどのような想いで月を見上げていたのでしょう。

 

殿さま:奇を衒うことを避けた正統派の句。すっきりと選び抜かれた語句に惹かれます。

紅さん:確かに研ぎ澄まされたような細い月。情景がきれいに浮かんできます。

能登さん:張り詰めた寒さを感じる。 

千香子さん:細さが、乾いた澄んだ寒い空にある月の特徴をとらえているように思いました。

 

余分な言葉を削りシンプルに表現することで

結果、よりたくさんの景や気持ちまでを想像させてくれる俳句の基本を改めて教えられる思いです。

  

身の回りに様々な情報があふれています。

「盛る」とか「映える(ばえる)」にこだわって

実はとても大切なことをごまかしていないか、振り回されていないか

俳句を通して日々の暮らしを振り返っています。 郁子

 

 

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鐘の音心新たに初昔  泉

2022年02月10日 | Weblog

「初昔」という季語を初めて知りました。除夜の鐘を聞きながら今年一年を振り返り、心新たに新年を迎えた様子が伝わりました。

亜子さん:◎の句。除夜の鐘を聞きながら心新たにする。「初昔」は「去年今年」という季語にも言い換えられますが、この「初昔」という季語が活きていると思います。

竹葉さん:「初昔」という季語が「鐘の音」に響きあってなんと品格のある句かと感動しました。

          ★★★

やはりこの句のポイントは「初昔」という季語だと思いました。元日になってから過ぎ去ったばかりの前年を顧みて、すでに昔となったと感慨深く感じる言葉です。たった一日の違いなのに新年を迎えると何かが違います。それは無事に新年を迎えられた安堵感と新年にかける期待など。心が軽やかで清々しい気持ちになります。

しかし。立春も過ぎる頃になるともう新年の決意はどこへやら。。。

今年も12分の1終わったと感じてしまうのはなぜでしょうか?このあたりでまた心新たに鐘の音を聞きたいものですね。麗子

 

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未来見えぬ カオスの夜に 春時雨 <殿>

2022年02月07日 | Weblog

先の見えない未来<みく>。混沌<カオス>とした夜。春の雨が降ります。

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鳥居棲む 狐ばかされ 稲荷町 <殿>

2022年02月06日 | Weblog

「稲荷町」は東京メトロ銀座線の駅名。稲荷神社の鳥居に棲むといわれる狐。ばかされたのでしょうか。リニューアルされた駅の出入り口で迷います。

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春暁に 風の便りを ひとり聴く <殿>

2022年02月05日 | Weblog

夜明けに耳を澄まします。風はなにか伝えるでしょうか。

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チベットの 月の光は 凍りをり <殿>

2022年02月05日 | Weblog

チベット寺院でオルゴールで聴く若きダライ・ラマ。人権問題で揺れる五輪。ブラッド・ピット主演「セブンイヤーズインチベット」にその根源が描かれています。オルゴールで流れるドビッシーの「月の光」が印象的。https://www.youtube.com/watch?v=m9a_7WFcPlI

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独り居の花一輪の淑気かな  亜子

2022年02月04日 | Weblog

昨日に続いて亜子さんの句をとりあげました。自由題トップ賞です。

作者は 一人住まいとなって二度目のお正月を迎えました。

 

能登さん:少し寂しく静かな新年を、花一輪で表現。見事です

竹葉さん:孤独感はなく、凛とした居住まいを感じさせられましたが、「淑気」という季語からきているのでしょうか

麗子さん:独り居でもきちんと花を生け新年を迎える凛としたたたずまいが伺えます。新年の淑気に満ちた清々しい一句。

決して孤独ではありません

須美さん:独り住まいでも、たった一輪の花でめでたく和やかな雰囲気になる。日頃のきちんとした生活が想像できる

晴代さん:寒気の中の花、淑気そのものです

 

淑気とは、新年のめでたく厳かな気配。具体的なものではないが、正月になって天地の間に瑞相がみちるような感じを受けることをいいます。

私などには高尚すぎてとりくむには難しい季題ですが、

作者はこのブログから知りうるだけでも過去に三句を寄せています。

手をかざす火焔の高さ淑気満つ (2008年)

緞帳の揚がらんとする淑気かな (2015年)

奏者待つピアノの無音淑気満つ (2018年) 

どの句も素敵ですが、

今年は一輪の花に淑気を見ました。

伺うところによるとその花は「赤い薔薇」だったそうです。冷気をまとって鮮やかに赤いその色は作者の心意気であり、

自分へのエールであったようにも思います。

  

立春です。しきりなおしてまた一歩を踏み出すこととしましょう。  郁子

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屋根神の高さに跳ぶや寒雀  亜子

2022年02月03日 | Weblog

名古屋の古い町を歩くと民家の屋根に小さな祠が上がっているのを目にすることがあります。

それが「屋根神様」。名古屋市西区の四間道は戦争被害も免れ、屋根神様を見ることが出来ます。一階の屋根の上に火除けの秋葉神社、津島神社、熱田神宮などの祭神が祀られています。全国的に見てもこの屋根神様の信仰の形は珍しいそうです。

さて、名古屋出身の亜子さん。幼い頃東区に住んでおられ、当番ではしごを使って、この屋根神さまにお供えをした思い出をお持ちです。そして、四間道あたりを亡きご主人とよくお散歩されたそうです。そんな懐かしい場所に元気に飛んでいる寒雀のことを詠まれました。

能登さんからのコメントです。

「近頃、めっきり数を減らした雀、屋根神様のある街には今も健在でしょうか。高く飛ばない雀の特徴も捉えている佳句。」

私もいただきました。屋根神様という言葉選びと、その高さに雀が飛ぶ様子をとらえた所が新鮮でした。

それにしてもこの冬ほど雀に注目したことはありませんでした。見ているようでもしっかり見るということの大切さを実感させられました。そして、コロナが収束したらまた四間道あたりをぶらぶら散策したくなりました。麗子

 

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大寒の 沁みゆく小指 バッハ弾く <殿>

2022年02月02日 | Weblog

バッハを弾きます。しかし、小指がうまく動きません。大寒の冷たさが小指に沁みこんでゆくようです。https://www.youtube.com/watch?v=R9ag9IBXjgs

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スカートの 膝に生まれし 冬日向 <殿>

2022年02月01日 | Weblog

スカートの膝に冬の淡い日差しがさします。淡い日向が少女を暖める午后。

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