先日きいた「ノイマイスター・コラール集」の「人はみな死すべきさだめ」。これをきいたその日、きいた時間から数時間もたたないうちに、伯母の逝去の知らせをうけました。偶然なのでしょうが、ちょっと運命的なものを感じてしまいます。そんなこともあったので、これから、「ウァニタス(ヴァニタス)」や「メメント・モリ」をテーマにした作品をきくことにします。
きくのは、1677年に出版された「宗教的倫理的カンツォネッタ集」に収められた「人生のパッサカリア(その者、影のごとく去り)」。何度も何度も「死ぬのは定め」とくりかえされる歌詞は、命のはかなさ、この世のむなしさ、などが織りこまれています。とはいえ、これは一面「生の謳歌」というふうにとらえることもでき、音楽も命のエネルギーに満ちています。
プルハールらによる演奏(Alpha 020)は、そんな力強さがあってすばらしいのですが、今日はちょっと上品で、すました感じのトラジコメディアの演奏(WPCS-4906)できくことにします。ソプラノのル・ブランと、カウンターテナーのデュガルダンが、パッサカリアのリズム上で、節によってはひとりで、またある節ではいっしょに、命の歌をつむいでいきます。