ジョージ・フレデリック・ヘンデルの「復活」は、ヘンデルのイタリア時代の、1708年4月8日に初演された2部からなるイタリア語オラトリオ。ヘンデル後年の英語オラトリオとはちがい、合唱はほとんどなく、宗教的な題材によるオペラといえる作品です。登場人物は、天使、マグダラのマリア、クレオパのマリア、福音史家ヨハネ、悪魔で、合唱は第1部、第2部の最後にのみあらわれます。
貴族同士の対抗意識もあって、「復活」の上演は贅を凝らしたものとなり、ヴァイオリンのアルカンジェロ・コレッリが指揮するオーケストラ(ヘンデルはチェンバロ)も大編成のものでした。序曲の奏法をめぐり、ヘンデルがコレッリのヴァイオリンを奪いとって……、という逸話はこのときのものとみられていますが、逸話の真偽は不明です。
朝の投稿のあと、この「復活」をエマニュエル・アイムとル・コンセール・ダストレエの演奏でききました(Virgin classics 50999 694567 0 1)。アイムたちの編成は、クリストファー・ホグウッドが算出した弦楽器の総数40には、はるかにおよばない半数の17というもの。当時とちがい、いまは女性歌手をとがめだてするものもいなので、天使、マグダラのマリア、クレオパのマリアは、みな女性歌手です。
ところで、1708年といえば、バッハのミュールハウゼン市参事会員交代式のためのカンタータ「神はいにしえよりわが王なり」が初演された年。ぐうぜんにも、このBWV71も編成の大きなものですが、さすがにヴァイオリンだけで23人ということはなかったかと。バッハが「復活」の上演をきいていたら、どういう感想をもったでしょうか。羨望はありながらも、やはり浪費と感じるのか。