アンドルー・パロットの『The Essential Bach Choir』は、じつにおもしろい著作です。同書は2000年にBoydell Pressから出版されたのですが、手元にあるのは2001年の再版。書名は「本来のバッハ合唱団」と訳せるかと思いますが、バッハが想定した合唱団がOVPP(One Voice Per Part)、ないしは2VPPであったことをさまざまな資料から考証したものです。紹介がずるずる遅れて、すでに出版から20年が経過してしまいましたが、まだまだ読む価値はあると思います。
著者のパロットは1947年生まれのイギリスの指揮者、研究者で、このブログでもOVPPや2VPPでの録音を紹介しています。2008年の投稿「OVPPによる演奏」でふれたOVPPでの録音はさらに増え、あのジョン・エリオット・ガーディナーも、BWV198を2VPPで演奏するようになっています。演奏会場の規模や作品などを考慮した上での例外的な適用と思われますが、ジョシュア・リフキンやパロットが投じた一石は、いまも波紋を広げつつあります。