今週きいてきたのは、鈴木雅明が2018年に録音した「Masaaki Suzuki plays Bach Organ Works Vol.3」。収録曲中、自由曲(すべてハ調)のみを楽しんでおり、これからきくのはパッサカリアとフーガです。パッサカリアで提示される低音主題は、静寂の中からにじみ出てくるような弱音ではじまり、いきなりびっくりさせられます。フーガはゆったりしたパッサカリアとは対照的に推進力のあるもの。そのフーガのおわりまぎわ、響きの坩堝の中、フェルマータ付きの和音のあと、一瞬の静寂から、鈴木はさらりと即興を入れ、フーガをしめくくっています。弾いているのはフライベルク大聖堂(聖マリア大聖堂)のジルバーマン・オルガン(1714年建造)です。
CD : BIS-2421(BIS Records)